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インタビュー

サカキマンゴー



親指ピアノとマリンバの共演コンサートがアルバムに

7月に急逝した音楽評論家中村とうよう氏が生前に企画していたリンバ(アフリカの親指ピアノ)とマリンバ(アフリカの木琴がルーツ)との共演コンサートが、氏をしのんで9月12日に行なわれ、DVDつきのライヴ・アルバムにまとめられた。アフリカで両者の共演が伝統的に行なわれてきたという話は聞かないので、本格的にはこれがたぶん世界初の試みだろう。豊かなノイズ成分を持つ親指ピアノと涼しい音色のマリンバの共演によって響きの美しさが倍増し、リズム面の実験も楽しめる作品に仕上がっている。

「タンザニアでフクウェ・ザウォーセさんにリンバを習っていたとき、同じところを習っているのに、先生の弾くフレーズが毎回ちがうんです。あれ、おかしいなと思って、チャカチャとチャッチャカのどっちですかとたずねたら、何のことだと言われて、話がかみ合わない(笑)。ぼくのかぎられた体験の中ですけど、アフリカの他の人とやったときも、そのちがいを区別できないことがあった。おもしろいのは、区別できる人間は、タタタタタタ…と弾いている途中で、タッタタタッタタ…と変えると、テンポが変わっちゃうんですが、向こうはテンポを変えずに演奏できる。これは実はたいへん高度なことで、われわれは、やっぱり黒人のリズムっていうのはタメがきいてて、まねできないねと言ったりしている(笑)。そこで、それを逆手にとって、クラシックで細かなリズムが区別できる教育を受けたガジュマル・アンサンブルに、途中から譜割りを変えて演奏してもらったりした。するとフレーズは変わらないのにぐっと盛り上がるんですよ」

アフリカの音楽を手がかりにすることによって見えてくるのはそれだけではない。

「ヴァンパイア・ウィークエンドの《ホワイト・スカイ》もやってますが、ガジュマル・アンサンブルの北澤恵美子さんがニューヨークで聴いて気になっていた曲らしいです。家に帰ったらぼくもCDを持っていた。ちょっと聴いてつまんないと思ったきり聴いてなかった(笑)。この曲のモトネタはたぶん南部アフリカの木琴の音楽だと思うんです。それを日本人のマリンバ奏者が元に戻して弾いている倒錯した感じがおもしろいというか(笑)、コロンブスの卵状態というか、ヴァンパイア・ウィークエンドがわれわれの演奏を聴いたら、あ、バレちゃったな、と思うんじゃないでしょうか(笑)」

LIVE INFORMATION
○1/8(日)出演:サカキマンゴー&リンバ・トレイン・サウンド・システム 会場:和歌山リンバ・トレイン・サウンド・システム
○1/28(土)出演:キウイとパパイヤ、マンゴーズ/サカキマンゴー

会場:月見ル君想フ
http://sakakimango.com/


カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2011年12月27日 12:53

ソース: intoxicate vol.95(2011年12月10日発行)

取材・文 北中正和