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インタビュー

天平

欧州12カ国・音楽武者修行で掴んだ生きる感動、命の輝き

クラシック、ジャズ、プログレ…と様々な音楽によって育まれた、パワフルで美しい自作曲をピアノの翼にのせ、NY~東京を拠点に演奏を続けてきた彼。2010年にはデジタルピアノを背負い、3カ月半に渡って欧州12カ国を旅した。

「ピアノという楽器が生まれ音楽の歴史が刻まれた場所で、僕が何を感じ自分の楽曲がどのように受け入れられるのか、試してみたかったんです」

本サード・アルバムはその音楽武者修行の集大成である組曲《Journey in Europe》を核とする1枚。「ポーランドの激動の歴史に想いを馳せ、現地のライヴで即興演奏した」という《History of Warsaw》や、「偉大な作曲家や演奏家を生んだ国で、音楽に対して熱心でストレートに気持ちをぶつけてくる聴衆に、即興で応えるように演奏した」《ウ クライナ幻想曲》など、魂を揺さぶられた鮮烈な体験から生まれた楽曲が収められている。

「ただ今回はその前編で、次作のVol・2で旅を完成させる予定。後編にはフラメンコやアイリッシュの旋律、アウシュヴィッツの地で僕が感じたことなどを盛り込もうと思っています」

表題曲《火の鳥》はアルバム全体を貫くテーマ。

「輝く命の象徴なんです。時を超えた永遠の存在」

東日本大震災の後作曲した《レクイエム》と《Rising Sun》は〈命〉という主題に向き合った。《Rising Sun》では彼の友人でもあるヴォーカリストたちをフィーチャーしコラボレーションして収録されている。

「初めての試みでしたが、自分のなかでは特に歌の伴奏という意識はなく、ミュージシャン同士がセッションする感覚で作りました。これまでピアノだけでいろ んな世界を伝えてきたつもりですが、歌詞があってこそ人にダイレクトにメッセージを届けられる場合もあると思う。それに震災直後と比べると、被災地の現状 を伝える報道も徐々に薄くなってきた今こそ、想いを届けたくて…」

昨9月のボランティアライヴに続き、3月には被災地にピアノを贈るチャリティも立ち上げた。

「阪神淡路大震災で自宅の全壊を経験しているので復興には時間と根気が必要だってわかるんです。支援もこれからが正念場。本当に音楽のケア が必要となるのは、家が建ってからですもんね」

7月にはボランティア企画『伊勢半島秘境コンサート』、9~10月には欧州ツアーを予定。今年も天平は燃えている。


2012 LIVE INFORMATION
○7/3(火)和歌山県高野町中央公民館
○7/4(水)奈良県天川村洞川中学校
○7/5(木)奈良県十津川村
○7/6(金)三重県熊野市入鹿中学校、三重県熊野市神川町旧神川中学校
○7/7(土)奈良県下北山村きなりの郷
○7/8(日)三重県熊野市波田須町天女座ホール
○7/10(火)三重県紀北町紀伊長島若者センター
○7/11(水)和歌山県田辺市中辺路町コミュニティーセンター
○7/12(木)和歌山県那智勝浦色川町色川中学校
○7/13(金)和歌山県古座川町公民館
○7/19(木)静岡県富士市ロゼシアター
○7/29(日)神奈川県座間市ハーモニーホール座間(小)
○9・10月ヨーロッパツアー
○11/10(土)岐阜サラマンカホール
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カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2012年05月08日 11:08

ソース: intoxicate vol.97(2012年4月20日発行号)

取材・文 東端哲也