こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

南里沙

クロマチック・ハーモニカの不思議な魅力と可能性

南里沙は、天与の才能をもつクロマチック・ハーモニカ奏者。3歳でピアノ、12歳からオーボエを始めて、神戸女学院大学音楽学部音楽学科オーボエ専攻卒業。在学中にクロマチック・ハーモニカの音色に魅せられて研鑽を積み、わずか2年で世界大会に準優勝の快挙を成し遂げた。その後も国内外の数々のコンクールに優勝し、ジャズ、ポップス、クラシックなどジャンルを超えた活動を展開している。

かつて教育の場や大衆的な楽器として誰もが親しんでいたが、時代の変遷とともに知らない人のほうが多くなってしまった。その昔吹いた経験のある人にはその響きを思い出してほしい、知らずに育った人にはクロマチック・ハーモニカの素晴らしさを知ってもらいたいと思い、色々な活動を始めたという。

多彩な表情と彩り豊かな音色、なめらかによく歌う音楽性、素晴らしい技巧、そして開かれた音楽嗜好を持つ南里沙はレパートリーも豊富で、その数は数百曲を超す。メジャーからのリリース第1弾となる本作『Mint Tea』でも、ジャンルに捕らわれることなく、ひたすら美しく優れたメロディを選りすぐり、多彩なレパートリーを収録。

録音には、第一線で活躍している音楽家たちが多数参加し、クロマチック・ハーモニカの魅力的な音色と、ときめきのカンタービレを堪能させてくれる。

「この楽器を中心にして音楽を奏でることが可能なことを知ってもらえたら嬉しい。リスナーの心に伝わる演奏がしたい」という。こだわっているのは「音色、響き、そして音の消え方です。音を吹き終えた後も、リードの振動の、最後の余韻まで意識して吹きたいと思っています」

作曲家の丸山和範氏が南里沙のために書いた《クロマチック・ハーモニカ・コンチェルト》を、去る1月、ブルガリアの国立ソフィア・フィルをバックに世界初演し、大喝采を浴びた。この時のアンコール曲が、デビューCDのボーナス・トラックに収められている。

「小さな楽器を携えてオーケストラの中心に立てたのも、クロマチック・ハーモニカのための協奏曲を演奏できたのも嬉しかった。無限の可能性を秘めた楽器だと思うので、日々チャレンジしながら、4オクターヴ+2音の音域をフルに生かして演奏していけたらと思っています。クロマチック・ハーモニカの音色をぜひ聞いてみてください。きっとこのメロディ楽器の魅力がわかっていただけると思います。ハーモニカが誕生して今年で101年目。私たち奏者が、楽器の魅力と可能性をさらに引き出してかなければいけない時だと思っています」

LIVE  INFORMATION

ミニライブ・サイン会
5/24(金)タワーレコード渋谷店

『メジャーデビュー“Mint Tea”ツアー』
7/16(火)STB 139
7/18(木)Flamingo the Arusha
http://southrachel.p1.weblife.me/

掲載: 2013年05月20日 15:46

ソース: intoxicate vol.103(2013年4月20日発行号)

interview&text : 横堀朱美