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インタビュー

クラークのアルバムと重要なEP作を振り返ってみよう



『Clarence Park』 Warp(2001)

クリス・クラーク名義で出たファースト・アルバム。「19、20歳の時、初めて一人暮らしを始めた頃に作った」そうで、この頃のIDM〜エレクトロニカを病的な緻密さと童心で磨き上げたような印象もある。エイフェックス・ツインやプレフューズ73を引き合いに出されるほど、アンダーグラウンド界隈では絶賛を浴びた。不気味なジャケもこの時代ならではか。*轟

 

『Empty The Bones Of You』 Warp(2003)

EPの『Ceramics Is The Bomb』を挿んでの2作目は、休暇で訪れたタイにて、「音楽を作らずにいるのが耐えられなくなって」創作に励んだというエピソードが彼らしい。「前作はすぐ作れたんだけど、このアルバムはプロダクションの環境を変えたり、いろいろ勉強しながらとても時間がかかったのを覚えている」。*轟

 

『Body Riddle』 Warp(2006)

ここからクラーク名義に改名。制作プロセスも大きく変貌し、「この作品で生楽器を採り入れるようになったのは自分にとって大きな転機になったと思う」と語る通り、ドラム・マシーンも用いつつ、みずからも生ドラムの練習に励んで仕上げたそう。ビビオとリチャード・ロバーツ(レザレット)が声で参加している。*轟

 

『Ted E.P.』 Warp(2007)

ファンの間ではベストという呼び声も高いEP。IDM、エレクトロニカ、ポスト・ロック、そのいずれにも収まらない強靭なビートと、聴き終えてからジワリと沁みるメロディーが出色だ。キャリアのその後を予見した“Mia Farrow”と、何よりミニマルかつエレガントに仕上げられたビビオのリミックスがグレイト。*島田

 

『Turning Dragon』 Warp(2008)

ハードなテクノ・アルバムとして歓迎された人気作だが、「自分が移住したタイミングとも近いから、ベルリンのテクノからの影響が強く出た作品に思われがちだけど、収録曲の半分ほどは『Body Riddle』を作った時にはもう完成していた」そう。しかも当時はギター演奏を猛練習しながら作っていたという天邪鬼ぶりが笑える。*轟

 

『Growls Garden』 Warp(2009)

初の試みとなるヴォーカル導入曲を表題にしたEP。ヘヴィーなエレクトロサウンドと荘厳なメロディー、ドラスティックな曲展開は他の追随を許さない。またクラーク流アシッド・テクノの“Seaweed”、超絶ファンキーなカットアップ・トラック“Gonk Roughage”など、『Turning Dragon』を踏襲したフロア・チューンも見逃せない。*島田

 

『Totems Flare』 Warp(2009)

EP『Growls Garden』をブリッジにして、前作『Turning Dragon』で支持を得たダンスフロア路線と同じヴェクトルを、さらにマッド&ストイックに研ぎ澄ませていったようなアルバムだ。「前作と同じ方向性だけど、より過激に、そしてポップに仕上げることができたと思う。“Absence”は自分でもとても気に入っているよ」。*轟

 

『Iradelphic』 Warp(2012)

マルティナ・トップリー・バードも招いたオーガニックな一枚で、本人的には『Body Riddle』の続編という意識なのだとか。「前2作は自分の中では寄り道なんだよ。なぜ6年後に続きを作ったかというと、やはり楽器のマスターには時間がかかるから」と説明する通り、ギターやピアノも弾けるようになったことで生じた産物ってことは、今後の習熟次第でまた作風も進化する? *轟

 

『Fantasm Planes』 Warp(2012)

先行したアルバム『Iradelphic』以降のライヴ・セットにインスパイアされ、よりダンスフロアへ接近した小品。ここ数年の諸作よりぐっとBPMを落とし、シンセサイザーのうねりやサイケデリックな空間演出に焦点を当てることで、これまでの彼の作品にはなかった新鮮なトリップ感覚を獲得している。*島田

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年08月29日 19:30

更新: 2013年08月29日 19:30

ソース: bounce 358号(2013年8月25日発行)

ディスクガイド/島田 賛、轟ひろみ

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