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インタビュー

Jean-Frédéric Neuburger



来日する度に人気上昇中! フランス期待の新星ピアニスト

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©Carole Bellaiche

フランス期待の新星ピアニスト、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ。日本では、ラ・フォル・ジュルネへの度重なる出演などで、着実に人気を高めている。今年も11月に来日リサイタルを行い、大成功を収めたばかりだ。また、パーヴォ・ヤルヴィ&パリ管の来日公演でソリストも務め、リストの協奏曲第2番と、ラヴェルの左手のための協奏曲を披露。こちらも隅々まで緻密で透徹した秀演を聴かせてくれた。そんなヌーブルジェの最新盤が、ラヴェルのソロ作品集。彼にとってラヴェルは、「ピアノ作品をすべて演奏したことがあり、最も親近感を感じる作曲家」だという。

「豊かな感情や色彩感が、慎み深く秘めやかな筆致で綴られているのが何よりの魅力。そこには、彼が40代で経験した第1次世界大戦から受けた深いペシミズムが関係しているのかもしれせん」

収録曲は、《夜のガスパール》《高雅で感傷的なワルツ》《クープランの墓》の3大名曲。選曲や演奏順には、ヌーブルジェならではの知的なこだわりが込められている。

「ラヴェルのピアノ独奏曲の書法は、年齢を重ねるごとにシンプルになっていきました。リスト的な後期ロマン派の薫りが漂う《ガスパール》、シューベルトの様式を借りた明快で端正な作風の《ワルツ》、そしてネオ・バロック的な《クープラン》と続けることで、作風の変遷をわかりやすい形で感じていただけたらと思って」

その言葉通り、3曲いずれも作品の様式を適切に捉えた精巧なアプローチが光る。中でも聴きどころと言えるのが、《ガスパール》の終曲で、急速な連打音やアルペジオによる複雑な運指が駆使された超難曲《スカルボ》だ。

「大切なのは《スカルボ》の技巧面だけに縛られないで、作品全体を“3つの詩”として客観的に感じること。そうすることで、色彩や感情を冷静に引き出せたと思います。それに、《スカルボ》の下敷になっているリストの《メフィスト・ワルツ》第1番や、ラヴェルの作品全体に色濃く影響を与えていると言われるスペイン音楽。そうした様々な要素を見つけ出す作業も大変有意義でした」

来年1月には、パリのルーブル美術館オーディトリウムで『ヌーブルジェと仲間たち』と題した全6公演の大規模なコンサートシリーズを開催。また演奏以外に、パリ音楽院の教授や作曲家としても活躍するなど、とにかく忙しい。そんな多忙な合間を縫っての趣味は、日本の映画や小説に触れること。大の親日家でもある彼の一日も早い再来日が待ち遠しい。



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2014年01月08日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:渡辺謙太郎(音楽ジャーナリスト)