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インタビュー

松永貴志



スイングの流体

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17歳だった2003年に、早熟のジャズ・ピアニストとして、華々しくデビュー。その後、松永貴志は映像系の作曲家から気さくな語り口のDJまで、活動の範囲を悠々と広げて来ている。そうした彼にとって、今年はアルバム・デビュー10周年。松永はそんな節目に合わせて、5年半ぶりとなる自己名義リーダー作をリリースする。

「今までいろいろなテレビ番組の音楽を作ってきましたが、それをCDには収録してはいなかったんです。それらは1分ぐらいの番組用のもので、曲として完成させてないものもありました。今回はそういう曲を括り、10周年の形としてまとめられればと思いましたね」  収録曲の多くは、アニメ『坂道のアポロン』や『報道ステーション』などのために、彼が書いた曲。また、オープナーの《The Magic Cat》は新曲だ。

「『報道ステーション』の曲は、一番最初に作った曲です。大勢の人が見るものですから、それまで自分のなかで制限していたものをすべて外して作りました。そして、以降、放送の仕事をよくするようになりました。それらは、話を受けると僕もプラスαを提案させていただいて、楽しんでやっています。あれって松永がやっていたんだ、と言われると、うれしいですね」

新作は、これまで乖離していた〈ジャズ演奏家の彼〉と〈映像音楽作家としての彼〉が無理なく交錯したアルバムとも言えるのではないか。そして、松永というとデビュー時からピアノ・トリオ表現の印象が強いが、今作もトリオでレコーディングされている。

「10周年ですし、これまで一番活動して来たのはトリオだったので、トリオで録りました。ピアノ・トリオという編成で作っていない曲を、トリオでやってみたという感じもありますね。確かに、今作はピアニストとしての面と作曲家としての面がうまくまじっていると思います」

リズム・セクションは大友良英ほか様々な敏腕ジャズ・マンから厚い信頼を受けるベーシストの水谷浩章と、ドラマーの佐野康夫。佐野は大学のジャズ研出身者ながら、基本J-ポップの世界で活躍する売れっ子奏者だ

「佐野さんとは、僕も『坂道のアポロン』の音を録ったときに始めて知り合い、今回が2度目なんです。最初の時、僕のオリジナルの曲を完成させる力がものすごくて驚きました。ドラムで物語を作ることができる方で、もうスーパー・ドラマーですね。だから、今回はぜひ佐野さんに叩いてもらいたいと思ったんです。そして、水谷さんは19歳のころからずっとライヴで一緒にやらせていただいて、本当にやりやすいです」



LIVE INFORMATION


『~松永貴志デビュー10周年記念~松永貴志ピアノトリオ』
○2014/1/24(金)18:45開演
会場:名古屋市港文化小劇場
出演:松永貴志(P)鳥越啓介(b)広瀬潤次(ds)
www.bunka758.or.jp 



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2014年01月08日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:佐藤英輔