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第51回――ティーナ・マリーを悼む

永遠にリサイクルされ続けるTのメロディーとグルーヴ

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2011/05/25   00:00
更新
2011/05/25   00:00
ソース
bounce 331号 (2011年4月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

最近もJ・スターリンの“When It's Real”(2010年)で本人の歌ごとベタ敷きされていたように、ティーナ・マリーの大ネタとして知られているのは、フージーズの“Fu-Gee-La”やMICHICO“GOLD DIGGA”(2003年)、モブ・ディープ“It's Alright”(2006年)で引用された“Ooo La La La”だろう。実際にヒップホップ界でのティーナ需要が急増したのは、ローリン・ヒルが同曲を口ずさんだ96年以降のことだ。

特に、原曲自体がラップ入りでもあった“Square Biz”は、ファームの“Firm Biz”(97年)、メイスの“Love U So”(97年)、スヌープ&イーストサイダズの“Crip Hop”(2001年)などで立て続けにネタ使用されている。同曲はこれまた97年にペインテッド・バイ・ナンバーズのハウス・カヴァーも生まれていて、このようにティーナの楽曲はアレンジと歌メロの両面から再利用しがいのある素材だということか。

その意味ではカヴァー・ガールズが取り上げた“I Need Your Lovin'”のボトムはジェイダキス&ニーヨの“By My Side”(2008年)に転用されたし、ガラージ・クラシックの“Behind The Groove”は多様なミックスCDで活用されている。忘れちゃいけないのはリュダクリス“Child Of The Night”(2004年)で使われた“Portuguese Love”の、バー・サンバによるラテン・ハウス・カヴァーだ。今後もティーナの曲は幅広い文脈から何度でも生まれ変わってくるのだろう。

 

▼関連盤を紹介

左上から、J・スターリンの2010年作『Prenuptial Agreement』(SMC)、フージーズの96年作『The Score』(Ruff House/Columbia)、ファームの97年作『The Album』(Aftermath/Columbia)、メイスの97年作『Harlem World』(Bad Boy)。右上から、イーストサイダズの2001年作『Duces 'N Trayz: The Old Fashioned Way』(Doggystyle)、ジェイダキスの2009年作『The Last Kiss』(D Block/Roc-A-Fella/Def Jam)、リュダクリスの2004年作『The Red Light District』(DTP/Def Jam)、バー・サンバの2004年作『4』(ATO)