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PEACE DAY TOKYO 2011 @ 東京・代官山UNIT 2011年9月21日(水)

連載
ライヴ&イベントレポ
公開
2011/09/28   18:00
更新
2011/09/28   18:00
テキスト
文/谷崎テトラ


PEACE DAY TOKYO_特集カバー



平和を実現するきっかけにする日



「一年に一度でもいいから、戦争や紛争、あらゆる暴力を止めたい」

人類は有史以来、人が人を殺さなかった日はない、と言われている。1年に1度でもいいから、戦争や紛争、あらゆる暴力を止めたい。人が人を殺さない日をつくろう。それが〈ピースデイ〉(*1)だ。



9月21日は国連の定める平和の日


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9月21日、国連の定める〈平和の日〉にあわせて代官山UNITで〈PEACE DAY TOKYO〉が開催された。キーワードは〈寛容・対話〉。まず身近な友人たちや家庭、職場、自分の身の回りでの小さな価値観の違いや、意見の相違を超えて対話していくことの大切さを発信したいという主旨で始まったイヴェント。

この考えに賛同したbonobos、Port of Notes、宮城愛がライヴを通じて、音楽によるピース・メッセージを発信。伊勢谷友介×谷崎テトラによるダイアローグ・セッション、映画「THE DAY AFTER PEACE」の予告編紹介などが行われた。


あいにく台風15号が直撃した当日だったが、イヴェントは30分遅れでスタート。ピースなメッセージがコラージュされるオープニング映像と、俳優・伊勢谷友介の声によるナビゲーションで開幕した。〈3.11〉以降の価値感の変化のなかで、心をオープンにするような優しい音楽、静かな言葉、美しい映像とポジティヴなメッセージによるピースフルな一夜となった。



平和を実現するために、いちばん大切なことは何?



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いまの原発問題は戦争と似ている――bonobos

〈ピースデイ〉に集まったアーティストは〈平和〉についてどんなメッセージを持っているのだろうか? bonobosの蔡忠浩は平和を実現するヒントとして、こう語る。

「僕らのバンド名の〈ボノボ〉っていうのはコンゴやザイールに住む猿なんですけれど、彼らは群れのなかに争いごとが起ころうとすると性行為をするんですよ。そこでたまった鬱憤、ストレスを発散させるんです。彼らはオス、メスに限らず、オスとオス、メスとメス、老若男女、あいさつを交わす感じで性行為を行っていて、それによって争いを避けてるんです。そういうのを観ていると、そこにヒントがあると思う。なにか問題が起きたときに、解決する方法は暴力じゃない。人間は戦争だったり、暴力という手段になるんですけれど、彼らはそういう手段を持ってないわけですよ。だから、人間だったら話し合い、対話とか、そういう方向に持っていく。

いちばんシンプルなのは――みな、自分は悪くないっていうじゃないですか? でも自分も悪い、自分が間違っている可能性があるというのをほんの少し考えるだけで、自分以外の人に対する想像力はそこから生まれてくる。それがいちばんシンプルで根本的なこと。みんながそういうふうに一斉に思えば、争いなんかなくなる。

僕は在日でもあって、〈戦争では韓国が被害者〉っていう教育を受けてきたんですが、一方でそれが偏った教育であるという自覚もある。日本が戦争をせざるを得なかった経緯もわかる。いま原発の事故って太平洋戦争のときに起きたこととすごく似ているじゃないですか。与えられる情報を鵜呑みにしないこと。それはいまの原発のことも同じ」。


Port of Notes_A2



Port of Notes_A



自分の尺度でしかないことに気付くこと――Port of Notes

Port of Notesは、96年にヴォーカリスト・畠山美由紀とギタリスト・小島大介により結成されたデュオ。2人だけによるシンプルなセットで全国各地でライヴを行っている。

「アメリカでもテロがあって、日本でも震災と原発事故があって、世の中が厳しい状況にあって改めてピースってことが意識されてると思うんです。反戦ということではなく、もっと日常生活のなかから、許し合う気持ち。ひとりひとりは違った時間軸で生きていて、いろんな感じ方があって、でもそれは自分の尺度でしかないことに気付くこと」(小島)。

「〈9.11〉からも10年経つんだけど、イラクやアフガニスタンでは報復戦争の名目で何万人もの人が死んでいっていて、メディアを見ているとどうしても一方的な報道だったと思うの。Port of Notes はテーマとして反戦を明確に歌うことはないけれども、隣の人とピースフルな関係を保っていくのも同じ。それは恋愛や家族のことも同じ。自分がどう相手の人の心を開くことができるか。そんなことを、音楽を通じて伝えたい。」(畠山)。

今回のライヴでは、Port of Notesの初期のメンバーにも声をかけたという。〈ピースデイ〉では〈みんなで音を出す〉ということに意味があるんじゃないかと考え、温かなバンド・サウンドのステージを展開した。


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日常に溢れている幸せをどれだけ見つけられるか――宮城 愛

この日の〈ピースデイ〉で特筆すべきは、弱冠18歳のシンガー・ソングライター、宮城愛のステージ。今回が首都圏初登場で、通常は徳島県神山町在住で普段は家族と共に自然のなかの田舎暮らしをしている。〈ピース〉――この言葉について、彼女はこう語る。

「平和って、別な言葉で言い換えると〈幸せに気付くこと〉だと思うんです。平和でないと、幸せに気が付けないし。

自分が幸せであること。周りとの調和が取れていること。日々の暮らしのなかで、たくさん溢れているものがピースだと思うんですよ。それをどれだけ見つけられるか。飼っている犬と遊んだり、家族でご飯を食べたり、薪を割ったりとか。いつも平和やなあって思えること。見つけられるときって、自分もピースで、気分が落ち着いて、心が静かなとき」。


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1年に1度でもいいから、戦争や紛争、あらゆる暴力を止めたい! ――ピース・ダイアログ 伊勢谷友介×谷崎テトラ

イヴェントのエンディングは伊勢谷友介×谷崎テトラによるダイアローグ・セッションで、〈日本におけるPEACEとは何か?〉をテーマにしたトークが行われた。二人はInterFMでの番組〈KAI presents EARTH RADIO〉(*2)でナビゲーターを務めている。番組でも〈ピースデイ〉を呼び掛け、今回の企画にも〈EARTH RADIOチーム〉が企画・演出などに関わってきた。

〈ピースデイ〉の経緯はジェレミー・ギリ監督のドキュメンタリー映画としても描かれている。世界各地で〈国際平和デー〉をひとつのきっかけにして世界平和を実現していこうという〈ピースデイ〉。この日は、平和についての話し合いや紛争地の人道支援が行われる。そのたった1日の休戦でも、それが365日に拡大していければ、戦争はなくなる。

今年が第1回となった〈PEACE DAY TOKYO〉。この会場以外でも日本全国でピースデイ・イヴェントが開催された。今後は4月の〈アースデイ〉と並んで、9月の〈ピースデイ〉も、広がっていくかもしれない。


PEACE DAY TOKYO


2011年9月21日、代官山UNITにて開催。
出演:bonobos、Port of Notes、宮城愛、伊勢谷友介、谷崎テトラ
特別協賛:貝印、KAI TOUCH EARTH

(*1)〈ピースデイ〉とは
毎年9月21日は国連の定める「平和の日(インターナショナルデイオブピース)」=ピースデイ。
「一年に一度でもいいから、戦争や紛争、あらゆる暴力を止めたい」という思いからはじまった国連デー。
この日はジェレミー・ギリというたった一人の青年の働きかけで実現した。その模様はドキュメンタリー映画「THE DAY AFTER PEACE」に描かれている。
http://www.peaceday.cc/

(*2)KAI presents EARTH RADIO 〜地球のことは自分ごと〜
毎月最終土曜日にInterFM と岐阜放送でオンエアされているラジオ番組〈KAI presents EARTH RADIO〉。
今回の〈PEACE DAY TOKYO〉のチームが企画・プロデユースに関わっている。

KAI presents EARTH RADIO
MC:伊勢谷友介
毎月最終土曜日 18:00~19:00
InterFM 76.1MHz/岐阜放送 ぎふチャン 1431kHz
http://www.kaitouchearth.jp/
番組は上記WEBでも配信中