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MARK DE CLIVE-LOWE

連載
NEW OPUSコラム
公開
2011/11/21   16:00
更新
2011/11/21   16:00
ソース
bounce 337号(2011年10月25発行号)
テキスト
文/轟ひろみ


国境もジャンルも自在にクロスオーヴァーしてきた才能がトゥルー・ソーツ入りして新作を発表!!



MarkDeClive-Lowe_A

ディーゴやゼッド・バイアスのアルバム・リリースも象徴的な出来事だったが、2000年代初頭のUKシーンで絶大な影響力を誇ったヴェテランたちの圧倒的なセンスと底力を痛感させられる機会が増えてきた。時代が一巡りしたのかもしれないが、ジャンル名と動画リンクだけが虚しく飛び交う流行の消費サイクルのなかで、彼らやバグズ・イン・ジ・アティックらの提唱してきた揺るぎないフューチャー・ソウルの魅力が改めて脚光を浴びているのは間違いないだろう。ここで紹介するマーク・ド・クライヴロウもそのひとり。ニュージーランド出身(母親は日本人)の彼は90年代のロンドンで鍵盤奏者/DJ/プロデューサーとして名を馳せ、日本の沖野修也やJazzy Sport勢とも交流の深い敏腕クリエイターだ。近年は拠点をLAに移しているが、そんなマークが現在のUKらしいクロオーヴァー・ソウルを展開するトゥルー・ソーツと契約したというのはちょっとした事件である。

かくして完成された『Renegades』は、馴染みのベンベ・セグエやタウィア(先述のディーゴ作品にも参加)、ニア・アンドリュースらのヴォーカル陣を配してエッジーなオーガニック・サウンドを編み上げたマークらしいクロスオーヴァーな作品になっている。UKソウルの重鎮であるオマー(彼の最新作もトゥルー・ソーツから再リリースされている!)と名パーカッショニストのシーラEを迎えた“Get Started”のような目玉もあるが、何より格好良いのは、アフロビートやラテン、ブギーも内包しているブロークン・ビーツ本来の魅力をグルーヴィーに更新したサウンドそのもののクールな格好良さだ。ピノ・パラディーノやミゲル・アトウッド・ファーガソンら演奏者/アレンジャーの技量もひとつの流れに溶け込み、大宇宙の星図を真っ黒に拡張している。これは真に大傑作である。


▼関連盤を紹介。

左から、ディーゴの2011年作『A Wha' Him Deh Pon?』(2000Black)、オマーの2006年作『Sing(If You Want It)』(Ether/Tru Thoughts)、シーラEを擁するEファミリーの2011年作『Now & Forever』(Waterfront)、ミゲル・アトウッド・ファーガソンの所属するターン・オン・ザ・サンライトの2010年作『Turn On The Sunlight』(disques corde)

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