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テルデック&エラートの貴重なオリジナル楽器録音、待望の再発売! ワーナー「オリジナーレ」シリーズ

ワーナー「オリジナーレ」シリーズ

バッハやモーツァルトの「時代の音」。テルデック&エラートの貴重なオリジナル楽器録音、待望の再発売!
ワーナー・クラシックス/オリジナル楽器・シリーズ「オリジナーレ」

「オリジナーレ」について 
 ワーナー・クラシックスからオリジナル楽器録音の壮大なコレクションが発売される。シリーズ名はズバリ「オリジナーレ」である。ワーナー・クラシックスは2013年に旧EMI系のクラシック音源が加わる大所帯となったが、このシリーズでは旧EMI系の音源は全く用いていない。1988年に傘下に収めたドイツのTeldecレーベルと、1992年に傘下に収めたフランスのEratoレーベルの過去音源だけで全80タイトルのラインナップが出来上がったのである! いかに両レーベルがオリジナル楽器録音に熱心であったかが判るだろう。
 「オリジナル楽器」とは、作曲家が生きた時代、その楽曲が生まれた時代の楽器のことを指す。ご存知のように、楽器は現代と名称は同じでも材質や形状、機構などが時代とともに変化しており、音量や音色などにかなりの違いが見られる。また、奏法やピッチにも時代や地域による違いがあり、こうしたこと全てに時代考証の光を当て、作品の本質に迫ろうとするのが「オリジナル楽器」を用いる奏者たちの立場である。

TeldecとEratoのオリジナル楽器録音を選りすぐり
 Teldecは、Telefunkenと名乗っていた時代の1958年にDas Alte Werk(ダス・アルテ・ヴェルク)という古楽専門レーベルを立ち上げている。設立当初からレオンハルト、アーノンクール、ブリュッヘンといったオリジナル楽器演奏のパイオニアたちを起用し、他社のアーティストがモダン楽器でバッハやヘンデルを演じる中、早くからオリジナル楽器によるバッハやヘンデルなどを録音し、当時の聴き手に衝撃を与えていた。
 一方のエラートは、独立系レーベルとして1953年にフランスで設立された。芸術責任者のミシェル・ガルサンの下、フランスのアーティストを起用した趣味性の高いLPを数多く制作し、その中心的なレパートリーはバッハ以前の古楽だった。但し、オリジナル楽器録音への取り組みはやや遅く、本格化するのはフランス系以外の奏者を積極的に起用するようになった1980年代以降。中心を担ったのはコープマン、ガーディナー、ロスといった、レオンハルトたちよりも一世代後、かつフランス人以外の演奏家たちである。
 両レーベルには膨大なオリジナル楽器録音が残されたが、CDという商品の性格上、一部有名曲は幾度となく再発売される中、多くの佳作や名演奏が無名の作品ゆえに忘れられ、廃盤となってゆくのは極めて残念なことだった。それを一気に解消するのが「オリジナーレ」シリーズ80点なのである。

第1回発売(2015年3月11日)の注目アイテム
 第1回発売は3月11日の40点。先ず目を引くのがイタリアの鮮烈なアンサンブル、イル・ジャルディーノ・アルモニコのデビュー当時の衝撃作が5点入っていること。エッジの効いた表情やリズムが圧巻で、ヴィヴァルディやバッハが猛烈にリフレッシュしている。これはオリジンル楽器によるロックだ。
 「鮮烈」という意味ではドイツのコンチェルト・ケルンも負けていない。モーツァルトのライバル、サリエリとメンデルスゾーンの協奏曲で、輝かしい響きと一糸乱れぬアンサンブルを聴かせてくれる。共演のフォルテピアノ奏者、シュタイアーの多彩な音色とニュアンス豊かな表現力も素晴らしい。
 フォルテピアノではリュビモフによるベートーヴェンとショパンの詩情あふれる演奏も聴き物だ。シュタイアーとリュビモフが共演したスリリングなシューベルト/4手のためのピアノ作品集も久々に復活する。
 エラートの80年代を支えた3人も揃い踏みしている。イギリスの古楽指揮者ガーディナーは5点で、中でもヘンデルのバレエ音楽集とD.スカルラッティのスターバト・マーテルは四半世紀ぶりに復活する極めて貴重な音源である。オランダの鍵盤楽器奏者、指揮者のコープマンは3点、フォルクレのクラヴサン作品集、バッハの宗教歌曲集、シャルパンティエの二重合唱のための宗教曲集、何れも世界的に廃盤となっている貴重盤である。38歳で亡くなったアメリカの天才鍵盤楽器奏者、スコット・ロスは1点だけだが、ダングルベールの作品集がはやり久々の復刻となる。
 そのロスに師事した曽根麻矢子が2点入っているのも嬉しい。バッハのトッカータ集はロスの教えが活きた美しく魅力的な演奏。それ以上に「ジュ・レーム~チェンバロに恋して」と題したアルバムは、チェンバロ音楽を一般に普及させようとする彼女の真骨頂だ。バッハに始まり、フランス、イタリアの作品を経てカタロニア民謡に至り、またバッハへと戻る選曲と演奏は、楽しさの極みである。
 エラートが90年代にアメリカ出身のクリスティと彼がフランスで立ち上げたレザール・フロリサンを起用してクープラン、シャルパンティエ、モンドンヴィルを録音したのも、当時のフランスの古楽界を映しているようで興味深い。何れもクリスティの精緻なコントロールと澄み切った音楽性により初出時に高い評価を得た録音である。

第2回発売(2015年4月8日)の注目アイテム
 4月8日発売の第2回40点は更に秘曲が並ぶ。男性声楽アンサンブルのア・セイ・ヴォーチによるフランス・ルネサンス作品2枚は、他に国内盤を求めえない珍しい、そして貴重な作品集だ。
 先に挙げたコープマン指揮では1982年に録音されLPレコードで親しまれたモーツァルトの歌劇『魔笛』全曲が世界初CD化で入っている。これはオリジナル楽器と時代考証的演奏による初の『魔笛』録音で、演奏の質も高い必聴盤だ。また、初演の地、ザルツブルク大聖堂で録音されたビーバーの超大作『53声部のミサ曲』も見逃せない1枚だ。
 他にもレオンハルト、スグリッツィ、ロス、カーティス、シュタイアーといった新旧鍵盤楽器奏者の名盤CDがズラリと並び、アメリカの男性合唱団シャンティクリアによるメキシコ・バロック、日本の古楽器アンサンブル、タブラトゥーラによる中世の吟遊詩人を思わせる音楽など、実に幅広い選盤がなされているが、その80点の掉尾を飾るのが日本のバロック・ヴァイオリン奏者、ヒロ・クロサキによるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ全集となっているのが何とも嬉しい。発売から20年が経過したが、いまだにこれに勝るオリジナル楽器によるモーツァルト演奏は見いだせないほどだ。手に入りにくい時期もあっただけに、ご興味のある方はお見逃しのないよう。

 全80点に日本語解説が付き、声楽曲には歌詞対訳が付くので、今回のCDは日本語文献としても極めて貴重なリリースとなっている。コレクター目線でアドバイスすれば、(1)他にCDの少ない珍しい作品であること、(2)対訳が求めにくい声楽曲であること、この2点をポイントに優先順位をつけていくと良いと思う。
 CDのフィジカルとしての意味や有難さを、これほど実感させてくれるシリーズはないだろう。
(タワーレコード本社 板倉重雄~intoxicate#114記事より)

【古楽とは】
「古楽」(初期音楽/Early Music)は、古典派音楽よりも古い時代の音楽 =中世、ルネッサンス、ごく初期のバロック音楽の総称です(日本ではバロック音楽すべてが含まれる場合もあります)。根強い、多くのファンをもっており、90年代には「癒しの音楽」として、グレー・ゾーンに至るまでファン層が広がっていました。

【古楽演奏について】
作曲された時代の楽器、演奏方法は、時代を経るにつれ変遷を遂げてきています。近年の「古楽」ジャンルの録音は、19世紀から20世紀にかけて確立されたクラシック音楽の演奏様式ではなく、現代の楽器とは異なる当時の楽器で、音楽史研究に基づいて、作曲当時の演奏様式にのっとった演奏によっています。今回の「オリジナーレ」選定にあたっては、奏法、楽器にポイントを置いて選定しました。

【古楽録音で大きな実績をもつ“エラート”そして“テルデック”レーベル】
メジャー各社、古楽の専門レーベルを設立していますが、エラートとテルデックはその中でも最古参のレーベルです。
約50年前よりテルデックでは、ピリオド楽器を用いた演奏の録音を開始しており、当時は“斬新なレーベル”として一世を風靡しました。

【当シリーズの特長】
オリジナル楽器による演奏を80タイトル厳選。
すべて日本語解説・歌詞対訳付。
ジャケットは、できるだけオリジナルなものを使用。
価格:1枚物 1,512円/2枚組 2,484円/3枚組 3,348円/4枚組 4,104円 という廉価盤。(ワーナークラシックス)

(1)2014年3月11日発売新譜 40タイトル

WPCS-16101 イル・ジャルディーノ・アルモニコ/ヴィヴァルディ:四季
WPCS-16102 イル・ジャルディーノ・アルモニコ/戦いと嵐~ビーバー&ロック作品集
WPCS-16103 イル・ジャルディーノ・アルモニコ/ヘンデル:イタリアン・カンタータ集
WPCS-16104 イル・ジャルディーノ・アルモニコ/ヴィヴァルディ:リュート&マンドリンのための協奏曲集
WPCS-16105 オディル・バイユー/アラウホ:オルガン作品集
WPCS-16106 ジョン・エリオット・ガーディナー/カリッシミ:最後の審判
WPCS-16107 ジョン・エリオット・ガーディナー/ヘンデル:バレエのための音楽集
WPCS-16108 ジョン・エリオット・ガーディナー/F.クープラン:コレッリ讃
WPCS-16109 ジョン・エリオット・ガーディナー/D・スカルラッティ:スターバト・マーテル
WPCS-16110 ジョン・エリオット・ガーディナー/パーセル:聖チェチーリアの祝日のオード
WPCS-16111 クリスティ& レザール・フロリサン/シャルパンティエ:真夜中のミサ
WPCS-16112 クリスティ& レザール・フロリサン/F・クープラン:ルソン・ド・テネブレ
WPCS-16113 クリスティ& レザール・フロリサン/シャルパンティエ:ヴェルサイユの楽しみ
WPCS-16114 クリスティ& レザール・フロリサン/モンドンヴィル:グラン・モテ
WPCS-16115 トン・コープマン /フォルクレ:クラヴサン作品集
WPCS-16116 シャンティクリア/パレストリーナ:レクイエム, 雅歌
WPCS-16117 シュタイアー、リュビモフ/シューベルト:ハンガリー風ディヴェルティメント
WPCS-16118 ブリュッヘン、クアドロ・オトテール/3つのリコーダーのための作品集
WPCS-16119 マリー=クレール・アラン/ニコラ・ド・グリニ:オルガン曲集
WPCS-16120 マリー=クレール・アラン&フライブルク・バロックo./ヘンデル:オルガン協奏曲集
WPCS-16121 アレクセイ・リュビモフ/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「ワルトシュタイン」 
WPCS-16122 ジュリアーノ・カルミニョーラ/ヴィヴァルディ:協奏曲集
WPCS-16123 プレガルディエン& コープマン/バッハ:宗教歌曲集
WPCS-16124 アレクセイ・リュビモフ/ショパン・バラード集
WPCS-16125 シュタイアー& コンチェルト・ケルン/サリエリ&シュテファン:ピアノ協奏曲集
WPCS-16126 シュタイアー& コンチェルト・ケルン/メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲&二重協奏曲
WPCS-16127 ソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ/ヴェネツィアのバロック
WPCS-16128 ソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ/ラ・フォリア~18世紀後半のイタリア・バロック音楽
WPCS-16129 曽根麻矢子/トッカータ
WPCS-16130 曽根麻矢子/ジュ・レーム~チェンバロに恋して 
WPCS-16131/2 [2CD] イル・ジャルディーノ・アルモニコ/バッハ:ブランデンブルク協奏曲
WPCS-16133/4 [2CD] トン・コープマン/シャルパンティエ:二重合唱のための宗教曲集
WPCS-16135/6 [2CD] スコット・ロス/ダングルベール:チェンバロとオルガンのための作品集
WPCS-16137/8 [2CD] ルイ・ドゥヴォ/シャルパンティエ:ルソン・ド・テネブレ
WPCS-16139/40 [2CD] クリストフ・ルセ/ヴェルサイユでダンス(太陽王ルイ14世の宮廷とオペラの舞曲)
WPCS-16141/2 [2CD] キアーラ・バンキーニ,ジョン・ホロウェイ/ルクレール:2つのヴァイオリンのためのソナタ集
WPCS-16143/4 [2CD] グスタフ・レオンハルト/クーナウ:聖書ソナタ
WPCS-16145/7 [3CD] アンドレアス・シュタイアー/シューベルト:ピアノ・ソナタ第16番, 後期ピアノ・ソナタ集
WPCS-16148/50 [3CD] ユゲット・ドレイフュス/バッハ:チェンバロ協奏曲全集
WPCS-16151/4 [4CD] フランス・ブリュッヘン/テレマン:ターフェルムジーク(全曲)

(2)2015年4月8日発売新譜 40タイトル

WPCS-16155 A Sei Voci/カルパントラス:『エレミアの哀歌』
WPCS-16156 A Sei Voci/ギヨーム・コストレ:『音楽』
WPCS-16157 Ens サジタリウス/ムリニエ:死者のためのミサ曲 ,モテット集
WPCS-16158 Ens サジタリウス/デュ・コーロワ:死者のためのミサ曲
WPCS-16159 コープマン&アムステルダム・バロック/ビーバー:53声部のザルツブルク大聖堂のためのミサ
WPCS-16160 アンドレアス・シュタイアー/ファンダンゴ~スペインのチェンバロ音楽
WPCS-16161 アンドレアス・シュタイアー/バッハ:編曲によるチェンバロ・ソナタ
WPCS-16162 スーザン・グラハム/モーツァルト、グルック:アリア集
WPCS-16163 ルチアーノ・スグリッツィ/ルイエ:組曲とレッスン
WPCS-16164 ルチアーノ・スグリッツィ/クレメンティ:ピアノ・ソナタとワルツ
WPCS-16165 スコット・ロス/バッハ:チェンバロ名演集
WPCS-16166 バルバラ・シュリック/モーツァルト:歌曲集
WPCS-16167 ヒロ・クロサキ&キャトル・ヴィオロン/魔法のヴァイオリン
WPCS-16168 トーマス・ビンクレー/カルミナ・ブラーナ~1300年頃の手写本より
WPCS-16169 ペドロ・メメルスドルフ指揮 マーラ・プニカ/ミサ・カンティレーナ~中世イタリアの幻想
WPCS-16170 ボストン・カメラータ/プロヴァンスの祈り~エレミアの哀歌
WPCS-16171 アイヴォー・ボルトン&セント・ジェイムズ・バロック・プレイヤーズ/シャルパンティエ:テ・デウム , 聖母被昇天のミサ
WPCS-16172 ヤープ・シュレーダー/ルクレール:ヴァイオリン協奏曲
WPCS-16173 ルイ・ドゥヴォ/ゴセック:レクイエム
WPCS-16174 ルイ・ドゥヴォ/シャルパンティエ:死者のためのミサ曲
WPCS-16175 ルイ・ドゥヴォ/ジルースト:ルイ16世の戴冠式のミサ曲
WPCS-16176 ミケーレ・バルキ/バッハ:様々な作曲家からの編曲協奏曲集
WPCS-16177 ルイ・ドゥヴォ/フェルディナント・シューベルト:レクイエム
WPCS-16178 シャンティクリア/メキシカン・バロック1
WPCS-16179 シャンティクリア/メキシカン・バロック2
WPCS-16180/1 [2CD] ジョン・エリオット・ガーディナー/パーセル:アセンズのタイモン、ダイオクリージャン
WPCS-16182 タブラトゥーラ/蟹
WPCS-16183 タブラトゥーラ/放浪
WPCS-16184 ルイ・ドゥヴォ/フィオッコ:ミサ・ソレムニス
WPCS-16185/6 [2CD] ウィリアム・クリスティ /ラモー:《ゼフィール》《花飾り》
WPCS-16187/8 [2CD] クリスティ& レザール・フロリサン/モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り
WPCS-16189/90 [2CD] エドワード・ヒギンボトム/ペルゴレージ:聖母マリアの夕べの祈り
WPCS-16191/2 [2CD] ル-カ・ピアンカ/バッハ:リュート作品集1
バッハ:リュート作品集2
WPCS-16193/4 [2CD] シュタイアー& コンチェルト・ケルン/モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番・第19番・第9番「ジュノーム」・第17番
WPCS-16195/7 [3CD]アラン・カーティス/バッハ:イギリス組曲&フランス組曲
WPCS-16198/200 [3CD]アーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス/バッハ:マタイ受難曲(2000年録音)
WPCS-16201/3 [3CD]コンチェルト・ケルン/メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲全集
WPCS-16204/6 [3CD]トン・コープマン/モーツァルト:歌劇「魔笛」(全曲)
WPCS-16207/9 [3CD]グスタフ・レオンハルト/バッハ:チェンバロ協奏曲集
WPCS-16210/3 [4CD]ヒロ・クロサキ&リンダ・ニコルソン/モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ全集

カテゴリ : Classical

掲載: 2015年01月13日 18:00