LFJ2018に登場する主な作曲家
LFJ2018に登場する主な作曲家
テーマ「モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」
LFJ2018では、新しい世界へと開かれた精神が刺激に満ちた異文化と出会って生まれた、さまざまな傑作に光を当てます。 いつの時代も作曲家たちは人生のある時期、母国を離れて外国に移り住みました。主に20世紀には政治的な理由で、多くの作曲家が生まれ故郷や住み慣れた街に別れを告げることを余儀なくされました。かたやバロック時代には、作曲家たちは異国への好奇心に突き動かされ新天地を目指しました。 作曲家たちが自分たちのルーツから遠く離れた場所で書きあげた作品は、どれも意味深く、感動的です。そこにはノスタルジーとともに、「新しい世界」と出会う欲求や希望を感じとることができます。壮大な歴史のうねりと作曲家の人生が交錯して生まれた、心揺さぶるドラマをご堪能ください。
アーティスティック・ディレクター
ルネ・マルタン
(1)全体主義体制から逃れ、新しい世界へ亡命した作曲家たち
ショパン(1810~1849)
ウィーン滞在中、ロシアが祖国ポーランドに侵攻し、パリへの亡命を余儀なくされる。
[演奏曲]ピアノ協奏曲第1番・第2番、マズルカ、バラード ほか
ラフマニノフ(1873~1943)
ロシア革命によりパリへ亡命。その後アメリカへ移住。祖国に帰ることはなかった。
[演奏曲]ピアノ協奏曲第4番、パガニーニの主題による狂詩曲、交響的舞曲、ほか
プロコフィエフ(1891~1953)
ロシア革命でアメリカへ亡命するも、祖国に戻り、スターリン体制では批判の槍玉に。
[演奏曲]ヘブライの主題による序曲、古典交響曲、ピアノ協奏曲第3番、ほか
ストラヴィンスキー(1882~1971)
ロシア革命により帰る祖国を失いパリで活動。第二次世界大戦中アメリカに移住。
[演奏曲]弦楽のための協奏曲、ペトルーシュカからの3楽章、兵士の物語、ほか
コルンゴルト(1897~1957)
ナチスから逃れ、アメリカへ亡命。ハリウッドで映画音楽に革命をもたらす。
[演奏曲]ヴァイオリン協奏曲、ほか
アイスラー(1898~1962)
ナチスから逃れ米国に亡命するも、マッカーシズムにより国外追放。東ドイツに移住。
[演奏曲]ハリウッド・ソングブック、ほか
ヒンデミット(1895~1963)
ナチスから「退廃音楽」の烙印を押され、スイス、アメリカに亡命。戦後スイスに帰還。
[演奏曲]交響曲《画家マチス》、ルードゥス・トナリス、葬送音楽、ほか
シェーンベルク(1874~1951)
ナチスから逃れアメリカに移住し、ロサンゼルスで教育活動に従事。後進を育てる。
[演奏曲]ピアノ協奏曲、ほか
バルトーク(1881~1945)
第二次世界大戦を機にハンガリーからアメリカへ移住。不遇な中、作曲活動を続ける。
[演奏曲]ピアノ協奏曲第3番、管弦楽のための協奏曲、ほか
リゲティ(1923~2006)
ナチスの強制収容所で父と弟が命を落とす。戦後ハンガリーからウィーンへ亡命。
[演奏曲]ムジカ・リチェルカータ、ピアノのための練習曲、ほか
(2)自らの意志で母国を離れ、新しい世界へ移住した作曲家たち
ヘンデル(1685~1759)
27歳でドイツからロンドンに移住。その後英国に帰化し生涯の3分の2を英国で過ごす。
[演奏曲]合奏協奏曲第1番、シャコンヌ、ほか
スカルラッティ(1685~1757)
40代半ばでイタリアからスペインへ移住。亡くなるまでの25年間をスペインで過ごす。
[演奏曲]ソナタ、ほか
ドヴォルザーク(1841~1904)
1892年から2年半チェコからアメリカに移住し、NY国立音楽院院長を務める。
[演奏曲]交響曲第9番《新世界より》、チェロ協奏曲、弦楽四重奏曲《アメリカ》
アルベニス(1860~1909)
30代で祖国スペインを離れフランスとイギリスに移住。その後帰国。
[演奏曲]イベリア、スペインの歌、ほか
(3)魂の深淵に新しい世界を求めた作曲家たち
ベートーヴェン(1770~1827)
30歳頃から聴覚が致命的に悪化し、誰も近づくことのできない心の中の孤高の世界に亡命。
[演奏曲]交響曲第3番《英雄》、ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
シューベルト(1797~1828)
生涯一度もウィーンを離れることはなかったが、放浪者の悲哀を《冬の旅》で描く。
[演奏曲]冬の旅、ほか