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カール・ベーム生誕125年&イシュトヴァン・ケルテス生誕90年特集

ベーム&ケルテス特集

オーストリア出身の大指揮者カール・ベーム(1894~1981)、ハンガリー出身の夭折の名指揮者イシュトヴァン・ケルテス(1929~1973)が、2019年8月28日にそれぞれ生誕125年、生誕90年の記念日を迎えました。この二人の指揮者の生涯と芸術をCD音源を絡めながら振り返ります。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

カール・ベーム(1894年8月28日 - 1981年8月14日)はオーストリアのグラーツ生まれ。グラーツ大学で法律の博士号を取得後、指揮者を目指し1916年(22歳)グラーツの練習指揮者として出発。1917年、ネスラーの歌劇《ゼッキンゲンのラッパ吹き》を指揮してデビュー。1921年(26歳)にブルーノ・ワルターの招きでバイエルン国立歌劇場の第4指揮者となって研鑽を積み、1927年(33歳)にダルムシュタット市立歌劇場、1931年(37歳)にハンブルク国立歌劇場の音楽監督を歴任し、着実にキャリアを高めていきました。1934年(40歳)で名門ドレスデン国立歌劇場の総監督に就任。ハンブルク時代に親交を結んだR.シュトラウスとの共同作業が始まり、1935年(40歳)には《無口な女》、1938年(44歳)には自身に献呈された《ダフネ》を世界初演しました。1943年(49歳)、ウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任。シュヴァルツコップ、ゼーフリートなど才能ある歌手を次々と見いだして、第2次大戦中の困難な時代に素晴らしい芸術的成果を打ち立てました。

戦後、連合軍により2年間の指揮活動停止を命じられますが、活動再開後は再び世界的な指揮活動を開始。1954年(60歳)にはウィーン国立歌劇場に復帰し、1955年11月5日(61歳)の再建された国立歌劇場のこけら落とし公演、ベートーヴェンの《フィデリオ》の指揮を執りました(CD:C813102DR)。1956年(62歳)、自由な客演指揮を望んだベームはウィーン国立歌劇場の音楽監督を辞任。その後、フリーの指揮者としてウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロンドン交響楽団、メトロポリタン歌劇場など世界の一流オーケストラ、歌劇場に出演しました。

日本へは1963年10月(69歳)、日生劇場のこけら落とし公演のためにベルリン・ドイツ・オペラを率いて初来日。ウィーン・フィルを率いた1975年3月(80歳)の来日公演は社会現象となるほどの人気を呼び、後にNHKが収録したライヴ録音が正規にLP化(その後CD化)されたほどでした。1977年3月(82歳)にはウィーン・フィルとの2度目の来日公演が実現しました。1980年9~10月(86歳)にはウィーン国立歌劇場を率いて最後の来日公演を行い、歌劇《フィガロの結婚》全曲や、ベートーヴェンの交響曲第2番&第7番を指揮し、その芸術の最後の輝きを示しました。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

おすすめディスク

(1)ベームの遺産を幅広く収録したBOX!『ア・ライフ・イン・ミュージック』(29枚組 / 限定盤)

カール・ベームがドイツ・グラモフォンに残した録音より、作曲家ではハイドンからR.シュトラウスまで、曲目では交響曲、管弦楽曲、協奏曲、声楽曲、録音年代では1953年から1980年まで、代表的名演を幅広くセレクトしたBOXです。下記2つの音源も収録されています。

『ア・ライフ・イン・ミュージック』(29枚組 / 限定盤) 特集ページはこちら>>>


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ベートーヴェン:交響曲第3番“英雄”~第4楽章
ベーム指揮ベルリン・フィル(1961年12月録音)


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ハイドン:交響曲第92番“オックスフォード”~第1楽章
ベーム指揮ウィーン・フィル(1974年4月録音)

(2)オペラ・声楽曲のDG録音を集大成!『DGオペラ録音全集』(70枚組)

カール・ベームがドイツ・グラモフォンに残したオペラ・声楽録音を全て収録した70枚組BOXが登場!“魔笛”、“ばらの騎士”など充実の収録。“1944年録音の“ナクソス島のアリアドネ”は初CD化!下記2つの音源も収録されています。

『DGオペラ録音全集』(70枚組)特集ページはこちら>>>


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モーツァルト:歌劇“ドン・ジョヴァンニ”~
『ドン・ジョヴァンニ、汝は我を夕食に招いた、このとおり、参上したぞ!』
ベーム指揮ウィーン・フィル、他(1977年7-8月ライヴ録音)


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ワーグナー:歌劇“さまよえるオランダ人”~序曲
ベーム指揮バイロイト祝祭管弦楽団(1971年7月ライヴ録音)

(3)タワーレコード企画盤で聴くカール・ベーム
ベーム晩年のアナログ・ステレオ録音より演奏、録音とも傑出したものを厳選し、タワーレコードでしか買えないSACDハイブリッド盤として発売中です。CDプレーヤーでも再生可能ですが、SACD専用プレーヤーでは更に美しい音質でベームの名演をお楽しみいただくことができます。

 

 

イシュトヴァン・ケルテス(1929.8.28-1973.4.16)は、ハンガリー出身の名指揮者。ブダペストのリスト音楽院で作曲をコダーイとヴェイネル、指揮をラズロ・ショモギー(1907-1988)に師事。ケルテスは指揮者としてクレンペラー(当時のブダペスト国立歌劇場の音楽監督)、ワルター、そしてショモギーから強い影響を受けました。1948年12月17日には、弱冠19歳にしてオール・モーツァルト・プログラムで指揮者デビューをしました。音楽院卒業後、1953年(24歳)にジュール・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者となり、1955年(26歳)にブダペスト国立歌劇場の副指揮者に就任したものの、1956年(27歳)のハンガリー動乱で西側へ亡命。

ローマ聖チェチーリア音楽院の奨学金を得て、指揮をフェルナンド・プレヴィターリ(1907-1985)に師事。優秀な成績で卒業したケルテスは、プレヴィターリの推薦によりローマ聖チェチーリア管弦楽団を2年間で40回、指揮しました。1960年3月(30歳)にはショモギーの推薦によりドイツ南部のアウグスブルク歌劇場音楽総監督に就任。モーツァルトの《魔笛》、《後宮からの誘拐》、《コシ・ファン・トゥッテ》《フィガロの結婚》の公演を成功させ、モーツァルト指揮者としての名声を獲得しました。また、ヴェルディの《リゴレット》、《ドン・カルロ》、《オテロ》、《ファルスタッフ》、R,シュトラウスの《サロメ》、《アラベラ》、《ばらの騎士》も指揮し、イタリア・オペラ、ドイツ・オペラの両方で高い評価を得ました。1960年にはイギリス・デビュー、1961年にはザルツブルク音楽祭とアメリカへデビュー、ベルリン・フィルを始めとするドイツ各地のオケへの客演を開始しました。1962年3月(32歳)にはイスラエル・フィルに初客演し、その後11年にわたって良好な関係を結び、実に378曲もの作品を指揮したと伝えられています。このように、ケルテスはたった4年で国際的な評判を打ち立てました。

レコード録音は1960年3月(30歳)から開始。独Operaレーベルへステレオ録音したバンベルク交響楽団とのベートーヴェン/序曲集(CD:TWSA-1020)がケルテスの初録音と思われます。協奏曲では同年7月20~22日にハンス・リヒター=ハーザーのピアノ、フィルハーモニア管弦楽団と共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲第4&5番が最初のもの(CD:CZS6483092)。一部でケルテスの初録音とする資料もあるユリアン・フォン・カーロイ、フィルハーモニア・フンガリカと共演したリストのピアノ協奏曲集(LP:Electrola)は同年9月7日の録音です。1961年(31歳)には英デッカと専属契約を結び、同年3月22~24日に名門ウィーン・フィルと録音したドヴォルザーク:交響曲第9番《新世界より》(CD:UCCD-7213 / 4834710)の凄絶な名演&優秀録音により、弱冠31歳の俊英指揮者ケルテスの名は、日本など彼がまだ来演していない地域にも轟きました。

1964年(35歳)にはケルン市立歌劇場の音楽監督の重責に就き(亡くなるまで)、その間、ロンドン交響楽団の首席指揮者を兼任(1965-68)。日本には1964年11月にロンドン交響楽団とともに初来日。1964年11月14日、東京文化会館の公演はNHKがステレオ収録しており、2019年1月に世界初CD化されました(CD:KKC2171)。1968年(38歳)には単身で2度目の来日をし、日本フィルとベートーヴェン:交響曲第7番、エグモント序曲、バルトーク:管弦楽のための協奏曲を演奏しました。

1973年(43歳)にはバンベルク交響楽団の首席指揮者に任命されましたが、同年4月16日、イスラエルのテル・アヴィヴで水泳中に高波にさらわれて溺死し、その早世を惜しまれました。曲の一部が未収録で終わったウィーン・フィルとの「ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲」は、ウィーン・フィルが追悼の意を込めて、未収録部分を同年5月に指揮者なしで演奏し、録音を完成させた、というエピソードが残っています。(CD:PROC-1975 / 4834710)。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

おすすめディスク

(1)イシュトヴァン・ケルテス・イン・ウィーン~デッカ録音集(20CD+1BDオーディオ)

この偉大な指揮者と、世界最高のオーケストラの一つ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との結びつきによって生まれた芸術が集められました。オリジナル・アナログ・ソースから新規リマスタリングされたシューベルトの交響曲集、ドニゼッティの歌劇『ドン・パスクワーレ』、ドヴォルザークの交響曲第9番も収録。シューベルトの交響曲集と序曲集が収録された24bit/96kHzのBDオーディオ付き。限定盤。

『ケルテス・イン・ウィーン~デッカ録音集』特集ページはこちら>>>


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ドヴォルザーク:交響曲第9番“新世界より”~第3楽章
ケルテス指揮ウィーン・フィル(1961年5月22-24日録音)


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シューベルト:交響曲第3番~第4楽章
ケルテス指揮ウィーン・フィル(1970年4月&71年10月録音)

(2)コダーイ:組曲《ハーリ・ヤーノシュ》、ガランタ舞曲、孔雀変奏曲

民俗楽器ツィンバロンが活躍する楽しいお伽噺≪ハーリ・ヤーノシュ≫、ジプシー音楽に題材を得た≪ガランタ舞曲≫、ハンガリーの民謡をテーマにした≪<孔雀>変奏曲≫という、コダーイの代表作3曲を収録。コダーイに師事したこともあるケルテスの指揮は、きびきびしたリズムや旋律の巧みな歌い回しなど才気溢れるもので、作品への深い愛情が伝わってきます。


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コダーイ:組曲“ハーリ・ヤーノシュ”~間奏曲
ケルテス指揮ロンドン交響楽団(1964年2月28日録音)

(3)タワーレコード企画盤で聴くイシュトヴァン・ケルテス
タワーレコードではケルテスのデビュー録音を含むオイロディスク音源(日本コロムビア)、及びケルテスが1961年から亡くなるまで専属契約を結んだ英デッカ音源(ユニバーサルミュージック)を独自企画盤としてリリースしています。上段3タイトルがSACDハイブリッド盤(CDプレーヤーでも再生可能ですが、SACD専用プレーヤーでは更に美しい音質でお楽しみいただくことができます)。下段4タイトルが通常CDです。いずれも、本国のオリジナル音源に遡り、現在望みうる最高の音質でお聴きいただくことができます。

 

 

カテゴリ : Classical

掲載: 2019年08月28日 10:00