追悼 クシシュトフ・ペンデレツキ(1933年11月23日 - 2020年3月29日)
現代ポーランドを代表する作曲者、指揮者で「広島の犠牲者に捧げる哀歌」の作曲で知られるクシシュトフ・ペンデレツキ氏が3月29日、クラクフで亡くなりました。86歳でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。
ペンデレツキ氏は母国ポーランド作曲界において重要な位置を占め、国際的な評価も確立しました。当初12音技法を用いて作曲していましたが、60年代に入り、トーンクラスターの手法(ある音から別の音までの全ての音を同時に発する)による一連の作品で世界的な評価を得ました。その代表作が1960年に作曲された52の弦楽器のための「広島の犠牲者に捧げる哀歌」です。彼の初期の実験的な音楽語法は、後に三和音やユニゾンなどへの伝統回帰や、自作や他作から引用するコラージュ的手法を用いることにより変化してゆきました。
代表作ご紹介
管弦楽曲
ペンデレツキの管弦楽曲には、8曲の交響曲、シンフォニエッタ、52弦楽器のための「広島の犠牲者への哀歌」、2曲のヴァイオリン協奏曲、ヴィオラ協奏曲、2曲のチェロ協奏曲、フルート協奏曲があります。
「広島の犠牲者に捧げる哀歌」(1960)
交響曲第2/4/6/7番
ヴァイオリン協奏曲第2番/チェロ協奏曲第2番
前者はアンネ=ゾフィー・ムターに、後者はムスティスラフ・ロストロポーヴィチに捧げられました。
フルート協奏曲(1992)
声楽・合唱曲
ペンデレツキの作曲で最もよく知られているのは、1965年に完成した「ルカ受難曲」です。1984年作曲の「ポーランド・レクイエム」はポーランドが経験した幾多の厳しい歴史をも題材に盛り込んだ衝撃的大作。「怒りの日」は第一次世界大戦開戦100年にあわせて2014年に作曲されました。「怒りの日」を含むペンデレツキ:管弦楽付合唱作品集vol.1(2564603939)は、グラミー賞(最優秀合唱音楽アルバム部門)を受賞しました。
「ルカ受難曲」
「ポーランド・レクイエム」
「怒りの日」
室内楽
ペンデレツキは室内楽の作曲は比較的少ないです。しかし、これら小編成アンサンブルのための作品は、彼のキャリアの開始から近年に至るまで、彼の作曲スタイルの変化を反映しています。
2曲のヴァイオリン・ソナタ
3曲の弦楽四重奏曲
六重奏曲(2000)
カテゴリ : Classical
掲載: 2020年03月30日 18:00