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ハロウィンにちなんだクラシックの名曲特集 2020

ハロウィン・クラシック特集

ハロウィンとは小学館のデジタル大辞泉によると、「諸聖人の祝日の前夜(10月31日)の祭り。秋の収穫を祝い悪霊を追い出す古代ケルト人の祭りが起源。米国では、ジャック‐オ‐ランタン(カボチャの提灯(ちょうちん))などを飾り、仮装した子供たちが近所の家々からお菓子をもらう」とあります。近年、日本でもすっかり定着した感があり、10月中旬になると、ハロウィンのカボチャになぞらえた広告や飾り付けが目立つようになり、仮装した子どもたちが楽しげに街に出る姿も見られるようになりました。
そして、クラシック音楽でも、ハロウィンに合わせて、悪霊や魔女が出てくる作品のCDが発売されるようになりました。ここでは、ハロウィンと対になる儀式、4月30日から5月1日にかけての「ヴァルプルギスの夜」(邪悪な魔女たちが宴(サバト)を催すとされる)の関連CDと合わせてご紹介いたします。

特集その1:ハロウィンおすすめディスク

ハロウィンの最強コンピ!『ハロウィンパーティークラシック』

バレンタインを抜き、クリスマスに次ぐ規模となった、国民的狂乱行事ハロウィン。非日常の衣装にメイク。着飾った大人たちの気分を盛り上げる、不思議でホラーなクラシック・映画音楽をたっぷり収録。2016年の初発売以来、ハロウィンの定番として親しまれています。

【収録曲目】
1.オペラ座の怪人 序曲(ロイド・ウェッバー)
2.前奏曲 嬰ハ短調「鐘」(ラフマニノフ)
3.魔王D.328(シューベルト)
4.付随音楽「ペール・ギュント」第1組曲 作品46 山の魔王の宮殿で(グリーグ)
5.交響詩「はげ山の一夜」(ムソルグスキー/リムスキー=コルサコフ編曲)
6.こびとの行進~抒情小曲集第5集、作品54より(グリーグ)
7.レクイエム ニ短調 K.626 より 怒りの日(モーツァルト)
8.「仮面舞踏会」より ワルツ(ハチャトゥリアン)
9.交響詩「魔法使いの弟子」(デュカス)
10.ミステリー・ゾーン テーマ(コンスタン)
11.ヴァイオリン・ソナタ ト短調「悪魔のトリル」-第2楽章:アレグロ(タルティーニ)
12.劇付随音楽「真夏の夜の夢」 妖精たちの行進(メンデルスゾーン)
13.水族館~組曲「動物の謝肉祭」(サン=サーンス)
14.バレエ音楽「眠りの森の美女」作品66-第一幕 ワルツ(チャイコフスキー)
15.3つのグノシェンヌ グノシェンヌ第1番(サティ)
16.マリオネットの葬送行進曲(グノー)
17.バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71 第2幕第3場 パ・ド・ドゥ ヴァリアシオン2 こんぺい糖の踊り(チャイコフスキー)
18.精霊の踊り(グルック/クライスラー編)
19.「火祭の踊り」~バレエ音楽「恋は魔術師」より(ファリャ)
20.ハリー・ポッターと秘密の部屋 ハリーの不思議な世界(J.ウィリアムズ)

「ハロウィン」をコンセプトとしたケント・ナガノの2015年録音

音楽監督ケント・ナガノとモントリオール交響楽団によるデッカ録音第2弾。ハロウィンをキーワードに、主に悪魔や魔女を題材に作曲された管弦楽曲の作品集です。前監督デュトワとの名演が長らく代名詞として語り継がれてきたモントリオール交響楽団ですが、ケント・ナガノという最良のコンダクターを音楽監督に迎え新本拠地メゾン・サンフォニク・ド・モンレアルで、また新たな魅力あふれる演奏が展開されることとなり、今後への期待も一層高まります。

【収録曲目】
デュカス:交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」
ドヴォルザーク:交響詩「真昼の魔女」Op. 108
ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(R=コルサコフ編)
バラキレフ:交響詩「タマーラ」
サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」
アイヴズ:ハロウィーン
【演奏】
ケント・ナガノ(指揮) モントリオール交響楽団
【録音】
2015年10月, モントリオール、ラ・メゾン・サンフォニーク・ド・モンレアル

その名も「Witches' Brew (魔女の秘薬)」!アナログ・ステレオ超優秀録音による古典的名盤!!

ステレオLP時代が幕あけとなる1957年に、英デッカの名物プロデューサー、エリック・スミス(大指揮者シュミット=イッセルシュテットの子息)と、伝説的な録音技師、ケネス・ウィルキンソンが組んで、魔女が嘲笑するようなオーケストラ作品を集めて、リアルでダイナミックな音響をデモンストレーションするために作り上げたコンセプト・アルバム。63年前の録音にも関わらず、その音の生々しい迫力は今聴いても最優秀!海外盤のSACDハイブリッド盤とLPレコードで手に入ります。

【収録曲目】
アーノルド:"タモ・シャンター"序曲 Op.52
ムソルグスキー:組曲"展覧会の絵"~小人(ラヴェル編)
ムソルグスキー:交響詩"禿山の一夜"(リムスキー=コルサコフ編)
サン=サーンス:交響詩"死の舞踏”
フンパーディンク:歌劇"ヘンゼルとグレーテル"~魔女の騎行
リスト:メフィスト・ワルツ第1番

【演奏】
アレクサンダー・ギブソン(指揮)ロンドン新交響楽団
【録音】
1957年12月、キングズウェイ・ホール、ロンドン

最も過激な「はげ山の一夜」の名盤!

「はげ山の一夜」では、リムスキー=コルサコフ版を底本としつつ、3か所のカットを施しさらにコーダを変更するなど、オーケストレーションの改変ぶりが凄まじい。それにより原色的な色彩効果とダイナミックな迫力、全曲に漲る緊張感が増し、前後左右の楽器が掛け合う目に見えるようなステレオ効果が重なり、この作品の怪奇性が増しています。またコーダの変更により、「はげ山」に平穏が訪れるどころか、悪魔が勝利の雄叫びを挙げる場面などレイボヴィッツの幻想は止まるところを知りません。英デッカの名手ケネル・ウィルキンソンが録音を担い、オーケストラの魅力をフルに開示させた名録音として知られています。

【曲目】
ムソルグスキー
1.交響詩「はげ山の一夜」[R=コルサコフ&レイボヴィッツ編]
2.展覧会の絵[ラヴェル編]
【演奏】
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ルネ・レイボヴィッツ
【録音】
1962年1月17日(2)、1962年2月6日(1)、ロンドン、キングスウェイホール

メフィスト・ワルツ~悪魔たちのクラシック

ヨーロッパの妖怪変化をテーマとした作品を集めたアルバム。どの作品も大植英次&ミネソタ管が作り出す千変万化の色彩感が炸裂した演奏で、アルバムのテーマである悪魔や呪いといった雰囲気を、幻惑的にときには滑稽に描いています。リストのメフィスト・ワルツ第1番。ドイツに古くから伝わる悪魔メフィストフェレスに魂を売り渡した主人公ファウスト。2人が訪ねた居酒屋での出来事が描写されたのがこの第1番です。サン=サーンスの「死の舞踏」は、アンリ・カザリスの詩“夜中の12時、死神が現れる...時計の音とともに骸骨達が現れ踊り始める...そして夜明けの雄鶏の鳴き声とともに墓場に逃げ帰る”というタイトル通り不気味な内容。ロシア民話に出てくる妖婆「ババ・ヤガー」を題材としてリャードフの交響詩。ゴーゴリの戯曲「聖ヨハネ祭の夜のはげ山」を音楽化したムソルグスキーの代表作「はげ山の一夜」。スコットランドの魔女伝説に基づく詩を題材にしたアーノルドの「タム・オ・シャンター」序曲。そしてゲーテによる物語詩のフランス語版に着想を得たデュカスの交響詩「魔法使いの弟子」。教会のミサに出席せず、村人が止めたのにもかかわらず狩りに出かけた伯爵に罰が襲いかかるというストーリーを基にしたフランクの交響詩「呪われた狩人」。そしてJ.シュトラウスIIのポルカ「暁の明星」(ルシファー・ポルカ)。キリスト教では、ルシファーは堕天使の長でありサタン(悪魔)と同一であるとされています。

【収録曲目】
リスト: メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」
サン=サーンス: 交響詩「死の舞踏」
リャードフ: 交響詩「ババ・ヤガー」
ムソルグスキー: 交響詩「はげ山の一夜」
アーノルド: 序曲「シャンターのタム」
デュカス: 交響詩「魔法使いの弟子」
フランク: 交響詩「呪われた狩人」
J.シュトラウスII: ポルカ「暁の明星」
【演奏】
大植英次(指揮)
ミネソタ管弦楽団
【録音】
1997年10月 ミネアポリス、オーケストラ・ホール

 

特集その2:「ハロウィン」&「ヴァルプルギスの夜」の名曲ベスト3

サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」


参考映像:ケント・ナガノ指揮モントリオール交響楽団

「夜中の12時、死神が現れる...時計の音とともに骸骨達が現れ踊り始める...そして夜明けの雄鶏の鳴き声とともに墓場に逃げ帰る」。死神が奏でるヴァイオリン、骸骨のワルツを演じるフルート、骸骨の骨のぶつかる音を表現するシロフォン。サン=サーンスはアンリ・カザリスの詩を見事に音楽化しています。
冒頭にも掲載したケント・ナガノ指揮の最新盤、同じモントリオール響の黄金時代を築いたデュトワの名盤、フランスの往年の大指揮者パレーの歴史的名演、北京生まれの新鋭ユジャ・ワンによる珍しいピアノ版を集めました。

ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」原典版


参考映像:クラウディオ・アバド指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

「聖ヨハネ祭前夜、禿山に地霊チェルノボグが現れ手下の魔物や幽霊、精霊達と大騒ぎするが、夜明けとともに消え去っていく」様子を描いた名作
ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」原典版
※リムスキー=コルサコフによる編曲版で広く知られるようになった「はげ山」ですが、近年ではムソルグスキーの荒削りな原典版も見直され、しばしば演奏されます。ここでは原典版の演奏を集めました。

ベルリオーズ:幻想交響曲より第5楽章「魔女の夜宴の夢」


参考映像:ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

第5楽章で「ヴァルプルギスの夜」の魔女たちによるサバトを描いた問題作!上記参考映像は、第5楽章が始まってしばらくしてからグレゴリオ聖歌の「怒りの日」が物々しく引用される部分です。オススメCDは、サバトの狂宴を最もテンション高く表現した往年のフランスの巨匠ミュンシュのパリでの極め付けのライヴ録音。2枚目、最新録音のロト盤は1830年の初演当時の楽器や奏法にこだわった演奏で、独特の鮮烈・多彩な音色感とダイナミックな迫力が最高!3枚目のクレンペラー盤は、1、2枚目とは対照的に落ち着き払った佇まいが却って怖ろしく、ラストは圧巻のクライマックスを築き上げます。そして4枚目には2016年7月にパリ国立高等音楽院で収録された珍しい室内楽版。これが部分的に譜面を離れた翻案あり、ジャズ・バンドの導入あり、チンドン屋のようなさびれた音響ありの大注目盤。怖いもの聴きたさで選ぶならコレです!
(タワーレコード)

カテゴリ : Classical キャンペーン

掲載: 2020年10月08日 00:00