【追悼】音楽評論家 諸石幸生さん 73歳 音楽雑誌やラジオで活躍
諸石幸生さん
※レコード芸術編集部より提供いただきました
レコード芸術誌やCDのライナーノーツでお馴染みの音楽評論家、諸石幸生(もろいし さちお)さんが2022年4月9日、虚血性心不全のため亡くなりました。73歳でした。
諸石さんは1948年6月26日、佐賀市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、(財)音楽鑑賞教育振興会で10年間、鑑賞指導の普及・啓蒙に努めました。また1982年には『演奏家大事典』(2分冊)の編纂も行ないました。この『演奏家大事典』は、ネット時代以前に現れた日本語による最も信頼できる演奏家情報の労作で、筆者も表紙がボロボロになるまで使い込んだものでした。
その後フリーの音楽評論家、ジャーナリストとして活動を開始。新聞、雑誌、CD解説などで活躍したほか、ラジオのパーソナリティも長年務めました。レコード芸術誌では「交響曲」の月評を担当し、レコード・アカデミー賞選定委員長を2006年度から2017年度までの12年間務めました。また、朝日新聞では1995年から99年、2010年から今年3月まで、CD評筆者を務めました。主な著書には以下のものがあります。
『トスカニーニ―その生涯と芸術』(音楽之友社、1989)
『クラシック新鮮組―明日の名演奏家250名の音楽ポートレート』(JICC出版局、1992)
『クラシック最新の名演名盤1001』(講談社+α文庫、1998)
『クラシックがわかる超名盤100』(音楽之友社、2005)
トスカニーニ研究は諸石氏のライフワークの一つでしたし、『クラシック新鮮組』は『演奏家大事典』の続編というべき内容で、30年経過した今読んでも、演奏家選定のバランスの良さと先見性、記述の正確性に驚かされます。
タワーレコード企画盤では朝比奈隆&大阪フィル『ベートーヴェン: 交響曲全集(1991-92)+朝比奈隆「私とベートーヴェン」インタビュー付』で、朝比奈氏と諸石氏の60分を超える対談インタビューがCDで収められているほか、シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデン『ブルックナー: 交響曲選集』で、ライナーノーツ(序文原稿)を執筆されました。
ここに謹んで哀悼の意を表し、氏のご冥福を心からお祈り申し上げます。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
CD
朝比奈隆&大阪フィル『ベートーヴェン: 交響曲全集(1991-92)+朝比奈隆「私とベートーヴェン」インタビュー付』には朝比奈氏と諸石氏の対談インタビュー(60分)がCD収録され、シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデン『ブルックナー: 交響曲選集』では、ライナーノーツ(序文原稿)を読むことができます。
カテゴリ : Classical
掲載: 2022年04月15日 17:30