【追悼】ピアニスト ラドゥ・ルプーさん 76歳 「千人にひとりのリリシスト」
叙情味あふれる演奏で「千人にひとりのリリシスト」の異名をとった名ピアニスト、ラドゥ・ルプーさんが4月17日、スイス、ローザンヌの自宅で息を引き取りました。76歳でした。2019年9月に引退し、病気療養中でした。
ルプーさんは1945年11月30日、ルーマニアのガラツ生まれ。12歳で演奏会を行なうほどの早熟ぶりを見せ、1959年からブカレスト音楽院でムジチェスクに学び、1961年にはモスクワ音楽院に留学、ネイガウス親子に師事しました。1966年のヴァン・クライバーン国際コンクールをはじめ、エネスコ、リーズの各国際コンクールで1位となり、1969年にロンドン・デビューし、本格的な活動を開始しました。1972年にアメリカ・デビュー、1978年にはザルツブルク音楽祭に登場しました。また我が国へも1973年の初来日以降、度々来日して、素晴らしい演奏を示してくれました。
レコード録音は1967年、ルーマニアでのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番(ブゲアヌ指揮シネマトグラフィso)が最も古く、次いで1970年に《皇帝》(コンタ指揮ルーマニア放送so)が録音されました。1969年リーズ国際コンクールでのライヴ録音もBBC放送からLP化されました(廃盤)。リーズ国際コンクールの優勝により、英デッカとの専属契約ができ、1971年にベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番(フォスター指揮ロンドンso、初出品番:SXL6503)、及びシューベルトのピアノ・ソナタ第14番&ブラームスの小品集(初出品番:SXL6504)でメジャー・デビューしました。協奏曲、器楽曲以外ではシモン・ゴールドベルクとのモーツァルトとシューベルトのヴァイオリン・ソナタ、チョン・キョンファとのフランスのヴァイオリン・ソナタ。デッカ以外にも、テルデックへバレンボイムとのデュエット、ソニーへペライアとのデュエット、旧EMIへプレヴィンとのモーツァルト:2台のピアノのための協奏曲、バーバラ・ヘンドリックスとのシューベルトの歌曲集を録音しました。
ここに謹んで哀悼の意を表し、ルプーさんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
書籍
ルプーが公認した唯一の書籍『ラドゥ・ルプーは語らない。──沈黙のピアニストをたどる20の素描(デッサン)』
CD
協奏曲
器楽曲
室内楽曲
SACDシングルレイヤー盤
※ 再生にはSACD専用機器が必要です