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【追悼】アレクサンドル・トラーゼさん 69歳 NHK「スーパーピアノレッスン」でおなじみ

アレクサンドル・トラーゼ

ジョージア(グルジア)系アメリカ人の名ピアニスト、アレクサンドル・トラーゼさん(1952年5月30日~2022年5月10日)がインディアナ州サウスベンドの自宅で亡くなりました。69歳でした。重厚なエネルギーと高い技術が統合されたピアノ演奏で知られ、日本でもNHK「スーパーピアノレッスン」の講師としておなじみの音楽家でした。心よりご冥福をお祈りいたします。

トラーゼさんは約2週間前の4月23日に体調不良をおしてコンサートに出演し、ストラヴィンスキーのピアノ協奏曲とショスタコーヴィチの同第2番を弾き切りましたが、翌日の病院の診断で2曲目のショスタコーヴィチの演奏中に急性心不全を起こしていたことが判明。入院して経過観察後、退院していました。明日5月14日の土曜日には、イリノイ・フィルとプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を演奏する予定になっていました。

作曲家の父のもと、1952年にトビリシに生まれたトラーゼさんは、モスクワ音楽院に進んで、ゲンリフ・ネイガウスの流れを汲むヤコフ・ザーク、レフ・ナウモフといった名教授に師事。1977年に卒業すると、同年の第5回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの第2位となり、国際的な演奏活動を開始。1983年にアメリカへ亡命後は、インディアナ大学サウスベンド校のピアノ科教授となり、ソリストとしてアメリカ国内の複数の主要オーケストラと共演を続けました。アメリカでトラーゼさんの訃報が流れると、元教え子や指揮者たちから、“great man”、“mentor”、“legend”と称える賛辞がソーシャルメディアに寄せられました。

CDは、国内盤では1997年録音のスクリャービン《プロメテウス-火の詩》(デッカ)、輸入盤では2010&11年録音のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番&第2番(Pan Classics)が出ています。ともに名盤として知られるもので、とくに後者はパーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送響との共演、レコード芸術誌2021年11月号『新時代の名曲名盤500』で音楽評論家の鈴木淳史さんが第2位に挙げられているほどの素晴らしい演奏です(近日再入荷予定)。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

カテゴリ : Classical

掲載: 2022年05月13日 00:00