聴くまで死ねないピアノの名盤ベスト20
聴くまで死ねないピアノの名盤ベスト20!
すべての音楽ファンの方へ、クラシック・ピアノの作品の中でぜったいに聴き逃すことのできない名盤を20枚選びました。作曲家の生年順に並べています。
12の長調と短調のすべての調を用いて作曲され、ショパンを始めのち作曲家にも多大なる影響を与えたJ.S.バッハの傑作「平均律クラヴィーア曲集」。第1番の前奏曲はグノーの「アヴェ・マリア」の伴奏にも使用される人気曲です。この作品の代表的名盤がこのリヒテルによる演奏。残響豊かなサウンドによる録音で、情感豊かに奏でられ、類いまれな美しさを持つ名演盤です。
これを聴かずしてグールド、そしてゴールドベルクは語れない!1955年のデビュー・アルバムで、それまでの常識を覆すセンセーショナルな演奏で世界を衝撃の渦に巻き込んだグールドが、四半世紀を経て最晩年のグールドが残したデジタルによるステレオ・スタジオ再録音盤。デビュー・アルバムとは全く異なる驚愕的なアプローチで聴くもの心を離さない、まさに鬼才・グールドの墓碑銘といえる永遠の名盤です。
アバドのDGデビュー盤がアルゲリッチとの「プロコフィエフ&ラヴェル:ピアノ協奏曲」であり、若き頃より数々の共演を重ねてきたアルゲリッチとアバドが、2013年ルツェルン音楽祭にて約10年ぶりに共演したライヴ録音盤。円熟味の出てきたアルゲリッチのピアノが実に素晴らしく、また、アバドが組織し育て上げ、数々のモーツァルト作品の名演奏を繰り広げてきたモーツァルト管弦楽団とも見事に調和し、モーツァルト録音史に残る世紀の名演がここにあります。
ベートーヴェンが作曲した5曲のピアノ協奏曲の最後にして最大の規模を誇るピアノ協奏曲第5番「皇帝」。とにかくスケールが大きく、豪華絢爛で勇壮なこの作品は、まさに「皇帝」の名にぴったりのピアノ協奏曲の名曲です。今作は、ポーランドの出身で20世紀を代表する名ピアニスト、ルービンシュタインが、ピアニストであり指揮者の若きバレンボイムと共演した演奏。ルービンシュタインは録音時85歳を超えていますが、年齢の衰えなど感じさせず、輝かしい音色とタッチで聴かせる同曲の代表的名盤です。
ベートーヴェンは全部で32曲にも及ぶピアノ・ソナタを作曲しており、このアルバムにはその中でも特に人気の高い「悲愴」「月光」「ワルトシュタイン」「熱情」というタイトル付きの4曲のソナタを収録。ドイツ=オーストリア作品の大家として高く評価されたドイツの巨匠ピアニスト、バックハウスのベートーヴェン演奏は、レコード史に残る金字塔として知られています。数あるベートーヴェン録音の中でも屈指の奥深さを持つ不朽の名盤です。
ウィーン生まれの作曲家シューベルトはわずか31歳という若さで亡くなってしまいましたが、600曲以上の歌曲や「未完成」などの交響曲、多くのピアノ曲など不朽の名作を残しています。この即興曲集は、死の直前に書かれた作品で、シューベルトならではの美しいメロディが次々と現れる名曲です。オススメは、「千人に一人のリリシスト」と評されるルーマニアのピアニスト、ラドゥ・ルプーによるこちらの演奏。繊細で美しいこの名曲をルプーの美質である詩的で抒情性あふれる演奏で作品の魅力が味わえます。
ショパンの母国ポーランドが誇る名ピアニスト、クリスチャン・ツィメルマン。1975年、当時史上最年少の18歳でショパン国際コンクールに優勝し、マズルカ賞とポロネーズ賞も受賞。これを機に世界的ピアニストとして活躍していきます。ツィメルマンは完璧主義者として知られ、その奏でる音楽は全くの隙を見せない素晴らしいものばかり。このピアノ協奏曲集も、ショパン没後150年を記念した録音で、理想的な演奏をするために自ら優秀な若手奏者を選んで組織したポーランド祝祭管弦楽団を組織し演奏。細部にまでツィメルマンの意思が徹底された奇跡的な名演です。
数あるショパン・アルバムの中でもひときわ光り輝くショパンを代表する名盤中の名盤がこのポリーニによる「練習曲集」。「別れの曲」や「革命」といった誰もが知るショパンの名曲を含み、その芸術性の高さで人気の作品です。1960年ショパン・コンクール優勝したポリーニが、これ以上ないともいえる完璧なテクニックと高い音楽性を発揮し、多くの人を驚愕させた圧巻の不朽の名盤です。
「ピアノの詩人」ショパン。数多くのピアノ曲を作曲し、名曲の多いショパンですが、中でも人気の高い作品が、甘美で夢想的なメロディの宝庫である「夜想曲」。ゆるやかなテンポから繰り出される抒情的な曲調で癒しの名曲としても知られています。この曲のオススメ盤は、1996年レコード・アカデミー賞を受賞した名盤である、マリア・ジョアン・ピリスによるこちらの演奏。ピリスが奏でるピアノの音色はとにかく美しく、精細な表現力よって作品の魅力を十二分に引き出しています。
ドイツ・ロマン派を代表する作曲家ロベルト・シューマンの傑作にはピアノ曲が多く、その代表曲が「子供の情景」と「クライスレリアーナ」。「子供の情景」は子供の頃を回想している大人たちのために作曲された作品で、シューマンの作品の中でも最も有名な「トロイメライ」を含む小品集です。「クライスレリアーナ」はショパンに献呈された作品であり、個々の曲は調性や速度などが対比されつつ構成された作品です。20世紀最大のヴィルトゥオーゾ・ピアニスト、ホロヴィッツの冴えわたったタッチと技巧で奏でられた名演盤です。
神童として幼少の頃よりピアニストとしても活躍していたハンガリー出身のフランツ・リスト。類稀なるテクニックを持つピアニストであったために、作曲した作品はどれも超絶技巧の難曲ばかり。ピアノの難曲の代名詞ともいえる「ラ・カンパネラ」はパガニーニの演奏に接し、刺激を受けて作曲されたもの。イタリア語で「鐘」を意味し、鐘の音を模したオクターヴの跳躍が非常に難しい作品です。"リスト弾き"として一世を風靡したキューバ出身のヴィルトゥオーソ・ピアニスト、ホルヘ・ボレットが円熟期に録音した圧巻の演奏でお楽しみください。
バッハ、ベートーヴェンと共に「ドイツ3B」と称され、ドイツ音楽の歴史を継承した作曲家ブラームス。このピアノ協奏曲第2番は、ブラームス円熟期に作曲された名曲で、冒頭のホルンの牧歌的なソロとピアノの掛け合いから聴き入ってしまいます。現代屈指の名ピアニスト、ポリーニが30代の時に、同世代の名指揮者アバドと共演した録音です。この頃のポリーニは恐ろしいほどの強靭的なピアノを聴かせ、勢いのあったアバドと共に圧巻の演奏を聴かせてくれます。
坂本龍一氏の愛聴盤として知られるグールドの代表的名盤の一つです。バッハのイメージが強いグールドが、ブラームス晩年の作品から間奏曲を集め録音した、隠れた名盤。郷愁と渋いロマンに満ちたブラームス晩年の枯淡の境地を、慈しむように演奏しています。グールドが亡くなった1982年の最後録音「バラード集」と「2つのラプソディ」から2曲ずつ収録され、その滋味深い演奏に心が打たれます。
チャイコフスキーとラフマニノフという屈指の人気を誇るピアノ協奏曲の名作2曲を収録。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は、冒頭でのホルンの吹奏に続いてピアノの和音が力強く連打され勇壮に始まります。チャイコフスキーならではの華やかな作風で人気の作品です。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、超絶技巧に甘美なメロディが相俟ったラフマニノフの屈指の人気曲。ラフマニノフを聴くなら最初に聴くべき名曲です。1950年代当時、西側で「幻の名ピアニスト」と噂されていたリヒテルが、初めて西側で披露した凄演。リヒテルの強靭なタッチが印象的な名盤です。
現代を代表する名ピアニスト、マルタ・アルゲリッチが演奏したチャイコフスキー&ラフマニノフの名協奏曲の豪華カップリングで収録したアルバムです。ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、第2番と並ぶ人気曲で、ラフマニノフ自身が初演を行い、超絶技巧による屈指の難曲として知られています。いずれもアルゲリッチ30代後半の演奏ですが、天性の閃きを持ったこのピアニストならではのひとつの頂点を示す演奏がお聴き頂けます。ライヴならではの臨場感をともなって圧倒的な熱演がくりひろげられます。
ロマン派を代表するピアノ協奏曲の傑作シューマンの「ピアノ協奏曲」。初演は妻のクララが担当。ロマンティックなメロディが印象的で、聴きどころ満載の名曲です。そのシューマンに魅せられた北欧を代表する作曲家グリーグによるピアノ協奏曲。ティンパニーのロールに続いて奏でられるピアノの打鍵はインパクト抜群です。ロシアの巨匠リヒテルの個性が遺憾なく発揮された録音であり、漲る気迫を注入する巨匠のピアニズムに感嘆させられます。
印象主義音楽を開拓したドビュッシーの多くの作品の中でも、特に親しまれているのがピアノ曲です。絵画的で色彩感に満ちたその音楽は、聴き手のイマジネーションを無限に刺激します。代表的名曲「月の光」を含む『ベルガマスク組曲』、夢の中を漂うような「夢」、「亜麻色の髪の乙女」や「アラベスク」などドビュッシーの代表的名曲を網羅。フランスの名ピアニスト、モニク・アースによる流麗で小粋、ピアノの響きも美しく、詩的な情感に溢れた演奏です。
20世紀初期のフランス音楽界に大きな影響を及ぼした作曲家エリック・サティ。音数が少なくシンプルながら、非常に印象深く心に残る名曲「ジムノペディ」は癒しの名曲の代名詞として知られています。また、「犬のための本当にぶよぶよした前奏曲」や「でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい」など変わったタイトルを付けることでも有名です。サティといえばやはり2つの作品全集を録音したフランスのピアニスト、チッコリーニは外せません。その明晰で美しい音色と味わ深い演奏はチッコリーニにしか出せない名演を繰り広げています。
ドビュッシーと共にフランス印象主義音楽の旗手として活躍したモーリス・ラヴェル。作曲技法に優れたラヴェルならではの複雑な和声によって精緻で響きの豊かな作品を多く生み出しました。夢幻的な美しさを持つ代表的名曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」、色彩的な響きが美しい「水の戯れ」、友人の子供のために作曲し、「マザー・グース」の仏語訳である「マ・メール・ロワ」など収録。近代フランスのピアノ音楽のスペシャリストである名女流ピアニスト、モニク・アースの演奏で作品の魅力をご堪能ください。
近代を代表する二人の作曲家、フランスのラヴェルとロシアのプロコフィエフによる人気ピアノ協奏曲をカップリング。天才的な管弦楽法で多くの人気作を残したラヴェルのピアノ協奏曲は、ジャズの要素も取り入れ、色彩感豊かであでやかな名曲。プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番は、革命後にアメリカとフランスでピアニスト、作曲家として活動していた時の作品で、アメリカで初演されたプロコフィエフの代表的名曲です。めまぐるしく演奏されるピアノは圧巻です!現代屈指の名ピアニスト、アルゲリッチの若き日に録音された名盤。鋭い閃きと躍動感溢れるスリリングな演奏は、今なお色褪せない屈指の名演奏です。