驚愕!?マイルス名盤『Kind Of Blue』の丸ごとレゲエ・カヴァー
遂に世界初CD化!謎が謎を呼んだプロジェクトの全貌が明らかに!!
1981年の春、ジャマイカのスタジオ・ミュージシャンのグループがニューヨーク州立大学の音楽教授ジェレミー・テイラーの監督の元、ニューヨークに招集された。その答えがこの『Kind Of Blue』のレゲエ解釈=『REGGAE INTERPRETATION of Kind of Blue』である。
世界的なジャズ・ミュージシャンで教育者として知られたテイラーは、世界で最も優れた音楽のひとつであるレゲエ・ミュージックを学ぶ為に何度かジャマイカを訪れた。「私の初めてのジャマイカの旅は私の人生に於いて最も目を見開かされる音楽的体験だった、私はスノッブな音楽教育を蹴散らすような、沢山の比類なきミュージシャンに出会った。彼らの演奏は米国の優れたミュージシャンと呼ばれる人々よりも音楽的で味わい深く、躍動的なものだった。彼らの才能を私の同僚が十分に理解し学ぶ事が出来るショーケースの方法を、色々な手段で私は探さねばならなかった」
この声明はこのアルバムの基本的なコンセプトとなっている。テイラーは最も愛され、全ての時代でよく知られたモダンジャズ作品を取り上げ、それをレゲエ・ミュージシャンの手に委ねた。つまりそれがレゲエ・ミュージシャンに見出したものを彼の同僚たちに十分理解させることが出来る手段だったのだ。残念なことに、このセッションを監督した数週間後、ヨーロッパの講演で訪れていたパリのホテルでテイラーは亡くなってしまった。アルバムの最終ミックスは完成することなく、アルバムも発表されることはなかった。但し、コレクターの間では長い間この作品の噂が話題になり、80年代にはラフ・ミックスを使用した海賊版のカセットも出回ったそうだが、これまで1度として公式に発表されることはなかった。
『Kind Of Blue』リリース50周年の節目にあたる2009年初頭。SEACRET STASHレコードがこの作品の発売に着手し、遂にはジェレミー・テイラーの遺族との交渉を始めたのであった。結果、最終ミックスを施し、レーベル・プロデューサーによって全ての楽曲のダブ・ヴァージョンも収録されたこの作品、当時はヴァイナルのみのリリースというマニアには堪らない発売形態もあってか、クラブ・シーンを中心に一部で大きな話題になったのも記憶に新しい。「遺族の意向で(アナログ)発売以降2年間はCD化をしないで欲しい」というレーベル側からの意向もあり、リリースを断念せざるを得なかった…という経緯もこの作品の持つミステリアスな魅力をより輝かせる結果となった。
マイルスの生前に果たしてこの音源が彼自身の耳に入っていたのかどうかは知る由もないが、しかしながら多ジャンルを取り込み生涯自身の変革を恐れなかったマイルスなら、あの独特のしゃがれた声でこうボソリというに違いない。「おいブラザー、なかなかやるじゃないか」と。
須永辰緒氏コメント
2009年にひっそりとリリースされた謎のアナログ。アナログのみのリリースという形態は自分としては非常に興味深く、嬉しかったものです。しかし、それ以上にもっと多くの音楽愛好家にも聴いて欲しいと思い、そこから2年間交渉を続けついに世界初CD化に漕ぎ着けました。確証はありませんがこの時期(81年当時)のNYのレゲエシーンを検証するとローランド・アルフォンゾやロイド・ブルワッキー・バーンズなどの影も見え隠れします。というのもクレジットが一切残っていないのです! 近年稀に見る神秘深く凄い作品の予感がします。