渋谷慶一郎の名盤ファースト・アルバムがリマスターで待望のリイシュー
ATAKから2004年12月に発売され、「電子音楽の歴史のすべてを統べる完璧な作品」と評されたファースト・アルバムがパワーアップして再登場!発売時から驚異的な音質の良さが大きな話題となっていたが、それが今回さらに磨きがかかるとどこまでいってしまうのか?全曲をリマスタリングによって完全にリニューアル、1曲目と11曲目は今回の盤にのみ収録の完全な新曲です。本作は、発売後も驚異的なロング・セールスを記録し、サインウェーブルネッサンスからそれ以降の橋渡しを決定づけたアルバムとして大きな影響をシーンに与えてきました。また、このアルバムをきっかけにラップトップ・ミュージックは次の段階への移行も余儀なくされたとも言われています。
誰が言ったのか?、数学は芸術ではないと。
誰が言ったのか?、計算は創造ではないと。
誰が言ったのか?、物理は神秘ではないと。
誰が言ったのか?、人工性と有機性は逆立するなどと。
世界を司る論理と、世界を造り出す思考との、果てしなき鬩ぎあい。
そこに美は生まれ得ぬなどと、誰が言ったのか?
厳密さと精確さは、計算可能性は、エモーショナルな感動と、けっして矛盾しない。
音は数であり物でもある。
そのことに思い当たった時、新たな旅が始まる。
誰が言ったのか?、それは音楽ではない、などと。
サイン・ウェイヴ・ルネッサンスを経たクリック&カッツ/グリッチ・レボリューションは、電子音楽の歴史を大きくドライヴさせた。
その営みの全てを統べる完璧な作品が、今ここにある。
音の粒子と構造の中で、無限の「音楽」が脈打っている。
このアルバムは、まぎれもない「作曲家」=渋谷慶一郎の最高傑作である。
佐々木敦(HEADZ/FADER)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2011年10月05日 13:00