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田部京子による待望の新譜は、12年振りとなる待望の協奏曲

田部京子

 

内面から横溢するロマンティシズムと、古典的な格調高さを見事に両立させた至芸!
田部の協奏曲は、1995年発売のモーツァルト(第9番&第24番)、2000年発売のベートーヴェン(第4番&第5番)の2枚がありますが、いずれも瑞々しく迷いのないタッチと誇張を排した衒いのない音楽性で、高く評価頂きました。今回、12年振りとなるファン待望の協奏曲録音が、教鞭をとる上野学園の協力のもとで実現しました。共演は、真摯な音楽性で若手のホープと目され、田部が最も信頼する実力派指揮者の一人である下野竜也が率いる紀尾井シンフォニエッタ東京。会場となった上野学園の石橋メモリアルホールは、田部の《ブラームス:後期ピアノ曲集》でその優れた響きはすでに証明済み。最高の布陣で臨むことになった収録は、公演のライヴを含む形で進められましたが、名盤ひしめく同曲の中で、期待に違わぬ見事なアルバムとなりました。

田部の演奏は、いつもながらの隅々まで目配せの行き届いた丁寧な演奏でありますが、思い切りのよいテンポの緩急などロマンティックな楽興に心奪われる瞬間が多いことに、嬉しい驚きをおぼえる向きも多いのではないでしょうか?ライヴならではのアレグロの疾走感の一方で、同じ楽章内でも緩やかな楽想の部分では、ゆったりとした時間の流れと拍節感の中でロマン的な感興を振りまきます。シューベルトやシューマンでの田部の佳演に通じるこのようなロマン的美質は、第21番で披露されている田部自作のカデンツァにも色濃く現れており、第20番で採用されたベートーヴェン作のカデンツァとも見事にバランスされています。言わば、「古典派の側から少しばかり扉を開けて、ロマン派の世界を垣間見る」かのような今回の田部の演奏。それでいながらモーツァルトらしい自在さに溢れ、古典派の格調高さをいささかも失わないあたりは、正に至芸といえましょう。その演奏は、奏者の主観が色濃い往年の演奏スタイルと、その反定立としての「オーセンティック志向」が席巻した20世紀後半の演奏史を、二項対立を超えて鮮やかに集大成し、教条主義の先にある新たなステージのモーツァルト演奏の到来を感じさせます。田部という名手を得て、まさにこの時代に生まれるべくした生まれた名盤です。

その田部を支えるのは、下野竜也指揮紀尾井シンフォニエッタ東京。田部の緩急に絶妙のバランスで自在に寄り添うその演奏は、テーマからバス、内声までの各声部が誠に雄弁に彫塑され、新鮮な感動で聴き手の耳を奪います。丁寧に整えられたバランスといい、その仕上がりは、まさに「超一級品」。第21番第2楽章冒頭の名高いメロディーの美しさなど言葉を失うほどです。

 

【曲目】
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調、第21番ハ長調
【演奏】
田部京子(ピアノ)
下野竜也(指揮)、紀尾井シンフォニエッタ東京
【録音】
2012年3月14~15日、上野学園 石橋メモリアルホール

 

田部京子

 

※田部京子~アニバーサリー・イヤーに向けての企画が続々進行中!
田部京子は、リサイタル・デビュー20周年(2012年)、CDデビュー20周年(2013年)を迎えます。この2年連続のアニバーサリー・イヤーに向けての企画が続々進行中です!

 

 

 

・企画第1弾
《ブラームス:後期ピアノ作品集》
アルバム 2011年12月21日発売 COGQ-58
・企画第2弾
《モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調、第21番ハ長調》
アルバム 2012年07月18日発売 COGQ-60
・2013年春(予定)
《ブラームス:ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲第3番》
共演:カルミナ四重奏団
・2014年春(予定)
《ベートーヴェン:後期ピアノソナタ集》
《モーツァルト:ピアノ協奏曲》のリリースも計画中

【田部京子 プロフィール】
田部京子は国内はもとより海外のオーケストラとの共演を重ねるなど、すでに国際的ピアニストへの道を着実に歩んでいる。常に新鮮で清冽な余韻を残す鮮烈な演奏は数多くのファンを魅了し、コンサートばかりでなくCDでも根強い支持を集めている。
北海道室蘭市生まれ。4歳よりピアノを始め、故田中希代子氏に認められ指導を受ける。
東京芸術大学附属音楽高校入学後、田村宏氏に師事。高校在学中、第53回日本音楽コンクールに最年少で第1位に輝き注目を集めた。東京芸術大学に進学後、文 化庁派遣芸術家在外研修員としてベルリン芸術大学に留学、クラウス・ヘルビッヒ氏に師事。エピナール国際ピアノコンクール第1位、シュナーベルコンクール 第1位、ミュンヘン国際音楽コンクール(ARD)第3位、ショパン国際ピアノコンクール最優秀演奏賞など、輝かしい成績を収めている。
これまでに、バイエルン放送響、モスクワ・フィル、ワルシャワ・フィル、バルセロナ市立管、ポーランド放送響、バンベルグ響、サンノゼ響、リンツ・ブルックナー管、ローザンヌ室内管、ヴュルテンベルグ室内管、マンチェスターカメラータ室内管、フランツ・リスト室内管、ウイーン木管アンサンブル、カルミナ四重奏団 ほか多数共演。また、アルバン・ベルク四重奏団などから共演者として指名されるなど、世界のトップ・アーティストからも厚い信頼をよせられている。
1997年にはカーネギーホール主催によりワイル・リサイタルホールでニューヨーク・デビューを飾っている。
国内でのリサイタルや主要オーケストラとの共演も多数、常に高い評価を受けている。レコーディング活動も活発で、DENON、CHANDOS(英)より合わ せて20枚以上がリリースされている。シューベルトのソナタ集の録音は、いずれも各方面から絶賛されており、日本を代表するシューベルト弾きとしても注目を集めている。その他メンデルスゾーン「無言歌集」、吉松隆「プレイアデス舞曲集」、同ピアノ協奏曲「メモ・フローラ」、シベリウス、ドビュッシー、グリーグの各作品集なども多くの話題を集めており、アメリカのステレオ・レビュー、イギリスのBBCミュージックマガジン、グラムフォン、ドイツのフォノフォルム各誌でも絶賛されている。これまでに、村松賞(音楽部門大賞)、第4回新日鉄音楽賞などを受賞。
現在、日本を代表するピアニストの一人として幅広く活躍している。

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2012年07月05日 18:57

更新: 2012年07月05日 20:00