クリスチャン・マクブライド&インサイド・ストレイト
現代最高峰ベーシスト、クリスチャン・マクブライドが“インサイド・ストレイト”で快演奏を聴かせてくれる2013年作。
一時はエレクトリック的な路線に行ったこともあるマクブライドが、<Mack Avenue>に拠点を移し、このユニットの第1作目である2009年『Kind Of Blue』で見事にジャズの本道を行く真正面路線に回帰。本作でも、その延長線上と言えるストレート・アヘッドな演奏が痛快なまでに決まりまくります。
メンバーは2つのユニット編成で、ピアノにピーター・マーティン、クリスチャンと名タッグを組んで来たカール・アレン、スティーヴ・ウィルソン、ウォーレン・ウルフと、前作とほぼ同様の面々によるベテランを中心としたユニットが1つ。
そしてもう1つは、スティーヴとウォーレンはそのままに、新進のピアニスト、クリスチャン・サンズと、ドラマーのウルセス・オウエンズ・ジュニアという若手を迎えたユニット。
エルヴィン・ジョーンズさえも彷彿とさせるダイナミックなドラミングに、従来からのメンバーでもあり、どちらのユニットでもサックスとして君臨するスティーヴ・ウイルソンもアルトでコルトレーン的な演奏をご披露! サンズのピアノもマッコイばり。ベテランに負けない気骨溢れる演奏に驚かされます。そんな演奏を受けてベテラン・ユニットも負けじと、貫禄、余裕の心地よいスウィング感で、またクリスチャンの素晴らしいベース・ソロ、ドラマティックな展開、5人の強靭なスウィングなど、緩急を実にうまく織り交ぜ、即興の面白さとメロディの塩梅も絶妙に聴かせます。期待のヴァイブ奏者ウォーレン・ウルフとサックスのユニゾンに、ピアノのブロック・コードも決まり、コンビネーションもガッシリ。ウルフのソロ部で聴く4ビートのカッコよさには体も自然に揺れます。
とにかく、超絶なことをやっていても、さらりとこなしてしまうクリスチャン。そのベースが、ややもすると技術偏重をイメージさせる"超絶"という言葉を使うのも憚られる風格も持った重厚なものになっているのも言うまでもありません。その重厚感が数々の先輩アーティストも魅了しているのは、今のシーンが物語っています。
【パーソネル】
Christian McBride(b)
Steve Wilson(as、ss)
Warren Wolf(vibes)
Peter Martn(p)
Carl Allen(ds)
Christian Sands(p)
Ulsses Owens, Jr.(ds)