【Mariinsky】ゲルギエフによる『指環』第2弾~「ラインの黄金」
ゲルギエフ&マリインスキーによる「ニーベルングの指環」、第2弾は「ラインの黄金」!
第1弾の「ワルキューレ」に続き、今回も名歌手勢揃いで、“ワーグナー・イヤー”における大注目のリリース!
2010年6月9日のマリインスキー劇場のコンサートホールでの演奏会形式上演を中心に念入りに収録を重ねたもので、ゲルギエフの力の入れようが感じられます。
第1弾の「ワルキューレ」(MAR0527)と同様、ここでも優れたキャストが集められています。ヴォータンは美声バスのルネ・パーペ。パーペは、「ラインの黄金」のヴォータンを、バレンボイムの指揮でベルリンとミラノでも歌っており、さすがよくこなれています。悪役も得意とするパーペですから、時々利かせる凄みもさすが。もう一人のドイツ人、ローゲのシュテファン・リューガマーもベルリンでバレンボイムに重用された万能型テノール。モーツァルトも歌う人なので、柔らかくけれどずる賢いローゲを巧みに歌っています。この二人以外はマリインスキー劇場から育った優秀な歌手たちが起用されています。アルベリヒには、度々の来日で日本でも有名なバリトン、ニコライ・プチーリン。この荒々しくも油断ならぬアルベリヒは秀逸。ヴォータン、ローゲ、アルベリヒの場面は、ゲルギエフの緊張感のある指揮も含めて、今回の録音の聞きどころです。巨人兄弟にも、エフゲニー・ニキーチンとミハイル・ペトレンコというマリインスキー劇場から国際的に羽ばたいたバス二人を惜しげもなく投入。さらにフリッカには、スカラ座やメトの来日公演にも参加して評判だったエカテリーナ・グバノワ。ラインの乙女まで、優れた人材を起用できるのはさすがゲルギエフ。そのゲルギエフの音楽は、華やかさや迫力、重厚さで押すワーグナーではなく、細部まで神経を巡らせ、歌とオーケストラが良く絡み合うことでワーグナーが本来狙った効果を上げる音楽作り。しばしば歌付きの交響詩のようになってしまうワーグナーのオペラが、もっと繊細かつ斬新な音楽劇であることをゲルギエフはよく分かっています。ことに対話が重要な「ラインの黄金」ではその効果は絶大。もちろん、必要なところではマリインスキー劇場管弦楽団がフルで稼動する華麗な音楽も引き出しています。
優秀録音がSACDハイブリッド仕様で発売というのも嬉しいもの。オーディオマニアも注目です。
【曲目】
ワーグナー:「ラインの黄金」
【演奏】
ルネ・パーペ(Bs ヴォータン)
ニコライ・プチーリン(Br アルベリヒ)
シュテファン・リューガマー(T ローゲ)
エフゲニー・ニキーチン(Bs ファーゾルト)
ミハイル・ペトレンコ(Bs ファーフナー)
アンドレイ・ポポフ(T ミーメ)
エカテリーナ・グバノワ(Ms フリッカ)
ヴィクトリア・ヤストレボワ(S フライア)
ズラータ・ブリチョワ(Ms エルダ)
アレクセイ・マルコフ(Br ドンナー)
セルゲイ・セミシュクール(T フロー)
ジャンナ・ドンブロフスカヤ(S ヴォークリンデ)
イリーナ・ワシリエワ(Ms ヴェルグンデ)
エカテリーナ・セルゲーエワ(Ms フロースヒルデ)
ワレリー・ゲルギエフ(指)マリインスキー劇場管弦楽団
【録音】
2010年6月7-10日、2012年2月17、18日、4月10日、サンクトペテルブルク