【Profil】ウィーンの名匠スワロフスキーの「指環」がお安くなって復活
カラヤンも起用したチェコの名ソプラノ、クニプロヴァーのブリュンヒルデ
バイロイト級歌手多数!
日本が誇る名バス岡村喬生の本領もここにあり!
ワーグナー録音史上に名高いスワロフスキーの「指環」が“Profil”から復活です。解説書によると、ドイツのPolyband 社とイタリアのFratelli Fabbri社の企画だったそうで、1968年8月にニュルンベルクで一気にセッション録音されています。
LP盤では米国の“WESTMINSTER”社が発売していましたが、日本ではあまり知られることなく終わりました。全曲のセッション録音としては1965年秋に“DECCA”社が完結していましたが、御存知の通り、これは各作品をバラバラに録音したもので、また当初から全曲録音として企画されたものではありませんでした。それに対してこちらは短期間に集中録音されたもので、「指環」1作として考えると、これが最初のレコード用セッション録音と言えるかもしれません。
この録音は日本人にとっては、日本が誇る偉大なバス、岡村喬生がファーフナーで参加しているのが嬉しいもの。ご存知の通り岡村は1960、1970年代にドイツ語圏で活躍していました。この録音はオーストリアのリンツ市立歌劇場に所属していた頃のもの。ドイツの実力派歌手たちと堂々と渡り合う歌は実に立派、これこそドイツで活躍した岡村の高い実力を今に伝える貴重な録音です。
バイロイトで活躍した歌手も多々参加。フリッツ・ウールは1957年から1964年まで毎年出演、特に1961~1964年にジークムントを歌ったことで知られています。ウルズラ・ベーゼは1958年~1965年にかけて出演、1965年は両フリッカを歌っています。ルート・ヘッセは、1960年から1966年まで出演した後、1979年にも出演しているほど。ヘロルド・クラウスは1959~1961 年まで毎年出演、1960、1961年は両ミーメを歌っています。ロルフ・キューネは、1971、1974年と出演、1974年はアルベリヒを歌っています。
一方、バイロイトには出演していなくともワーグナー歌手として有名な人も多数。ナジェジダ・クニプロヴァーは、1967、1968年とザルツブルク復活祭音楽祭でのカラヤン指揮の「ワルキューレ」でブリュンヒルデを歌っています。この録音でも彼女のブリュンヒルデが一番の聞きもの。オットー・フォン・ロールはシュトゥットガルト歌劇場で14年間も大活躍したバスバリトン。ロルフ・ポルケはグラーツ歌劇場の筆頭バリトン。ジェラルド・マッキーは米国から西ドイツに渡って活躍したテノールの一人で、レーゲンスブルク、フランクフルト、カッセルの歌劇場で活躍。
ハンス・スワロフスキーは、今日では指揮者以上に名教師として知られています。門下生は、クラウディオ・アバド、ズビン・メータ、マリス・ヤンソンスなど多数。スワロフスキー自身は、理知的で曖昧さを許さない現代風の指揮者で、短期間で「指環」全曲を録音するという大任を見事やりおおせています。
今回、ワーグナー生誕200年を記念してお求めやすいお値段での発売です。
これまで「知っている人がいない」と手を出せなかった方も、この機会にぜひどうぞ!
ワーグナー:「ニーベルングの指環」
「ラインの黄金」
ロルフ・ポルケ(Br ヴォータン) ロルフ・キューネ(Br アルベリヒ) フリッツ・ウール(T ローゲ)
オットー・フォン・ロール(Bs ファーゾルト) 岡村喬生(Bs ファーフナー) ウルズラ・ベーゼ(Ms エルダ)
ルート・ヘッセ(Ms フリッカ) ヘロルド・クラウス(T ミーメ) ハイデマリア・フェルヒ(S フライア) ルドルフ・クノル(Br ドンナー)
ハーバート・ドーサント(T フロー) リゼロッテ・ベッカー=エグナー(S ヴォークリンデ)
アンジェリカ・ベルガー(S ヴェルグンデ) ヒルデ・ロスナー(Ms フロスヒルデ)
録音:1968 年7月26-28日、8 月3、12日
「ワルキューレ」
ジェラルド・マッキー(T ジークムント) ディータ・ゾンマー(S ジークリンデ) ロルフ・ポルケ(Br ヴォータン)
ナジェジダ・クニプロヴァー(S ブリュンヒルデ) オットー・フォン・ロール(Bs フンディング) ルート・ヘッセ(Ms フリッカ)
ハイデマリア・フェルヒ(S ゲルヒルデ) リゼロッテ・ベッカー=エグナー(S オルトリンデ)
アンジェリカ・ベルガー(Ms ヴァルトラウテ) マルギット・コベック=ペータース(Ms シュベルトライテ)
ベラ・ヤスパー(S ヘルムヴィーゲ) ヒルデ・ローザー(S ジーグルンデ) エリカ・シューベルト(Ms グリムゲルデ)
イングリット・ゲリッツ(Ms ロスヴァイセ)
録音:1968 年8 月3、6、8-12日
「ジークフリート」
ジェラルド・マッキー(T ジークフリート) ヘロルド・クラウス(T ミーメ) ロルフ・ポルケ(Br さすらい人)
ロルフ・キューネ(Br アルベリヒ) ナジェジダ・クニプロヴァー(S ブリュンヒルデ) 岡村喬生(Bs ファーフナー)
ウルズラ・ベーゼ(Ms エルダ) ベラ・ヤスパー(S 森の小鳥)
録音:1968 年7月29-31日、8 月1、14、15日
「神々の黄昏」
ジェラルド・マッキー(T ジークフリート) ナジェジダ・クニプロヴァー(S ブリュンヒルデ)
オットー・フォン・ロール(Bs ハーゲン) ルドルフ・クノル(Br グンター) ロルフ・キューネ(Br アルベリヒ)
ディータ・ゾンマー(S グートルーネ) ルート・ヘッセ(Ms ヴァルトラウテ) イングリット・ゲリッツ(Ms 第1のノルン)
マルギット・コベック(Ms 第2のノルン) シウ・エリクスドッター(S 第3のノルン) ベラ・ヤスパー(S ヴォークリンデ)
リゼロッテ・ベッカー=エグナー(S ヴェルグンデ) エリカ・シューベルト(Ms フロスヒルデ)
録音:1968 年8 月3、5、6、15-17、19日
ハンス・スワロフスキー(指)大交響楽団(チェコ・フィルハーモニー管弦楽団お
よびプラハ国立歌劇場管弦楽団の団員から成る),合唱団
14時間57分