パオロ・ディ・サバティーノの幻盤『Threeo』が澤野工房より復刻
サバティーノが煌めく音色で色彩感溢れるメロディを紡ぐ。2000年にリリースされるも入手困難となっていた幻の名盤『Threeo』がここに蘇る。
冒頭からのけ反るような音が出てくるのである。重量級のリズム陣がブルースはかくあるべしと握りしめた拳に、現代的洗練を込めて迫り来る。対するサバティーノはタメを利かせた見事なノリで、ピアノを朗々と鳴り響かせ、今にもスピーカーから飛び出してきそうな活きの良さだ。
続くラテン曲となれば、これはもうオラシオ・エルナンデス無双。負けじとジョン・パティトゥッチは得意の6弦ベースで技巧の限りを尽くし、サバティーノが煌めく音色で、色彩感溢れるメロディを紡ぐ。まるで美音のシャワーのようなこのトラックをハイライトに、全編恐るべきテクニックを駆使しながら、難解なところが一つもない。そして寂寥感のある名曲“The Old Country”でもほんのりとした暖かさを滲ませて、リスナーに音そのものをすくい取る至福な時を過ごさせてくれる。だからピアノ・トリオの新名盤として、リリース以来愛され続けて来たのだろう。
また名盤の大切な条件は再発されることにある。本作はサバティーノが1999年にシカゴの名門クラブ〈JAZZ SHOWCASE〉に出演したことを契機に、同地の〈Hallway〉レーベルからリリースされたが、気がつけば入手困難な状況で、タイミングを逃したファンからは歯噛みの大合唱だったのだ。しかし真に優れた作品がそのまま埋もれる事はない。ファンの声に応えるかのように澤野工房が動いた。それは信頼出来る「耳」からのお墨付きでもある。名盤の第二の誕生と言えよう。『Threeo』が傍にあることで、我々はこれからも幸福な時間を過ごせるのだ。
(ライナー・ノーツより Text by 羽根智敬)
次回入荷予定なし!現在庫分のみで終了。パオロ・ディ・サバティーノ『Threeo』の輸入再プレス盤はこちら!
パオロ・ディ・サバティーノ最新作『Distant Look』
ジョン・アバークロンビーが全面参加。オリジナル曲を中心に、映画『アガサ/愛の失踪事件』(1979年) の主題歌“Close Enough For Love”、ホーギー・カーマイケルの“Skylark”、バド・パウエルの“Tempus Fugit”のカヴァーも収録。