ゲルギエフ&LSOによるベルリオーズ・シリーズ第2弾~イタリアのハロルド&クレオパトラの死

SACDハイブリッド盤。「独創的なスタイルと現代的な響きがわたしを虜にしてやまない」とベルリオーズに熱を入れるゲルギエフによるシリーズ第2作。
「イタリアのハロルド」と「クレオパトラの死」は、第1弾「幻想交響曲」と同じく、2013年秋にゲルギエフがロンドン響を指揮して大成功を収めた「ベルリオーズ・プロジェクト」からのSACD化で、実演でも同じ組み合わせで演奏されています。
「イタリアのハロルド」は、素材としたバイロンの長編詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」よろしく、「さまざまな土地の風光や歴史などに、多感なる主人公(独奏ヴィオラ)が触れ、その思いを綴る」という形が採られており、同様に標題的な内容を持つ「幻想交響曲」とは趣きこそ異なるものの、やはり自意識過剰なベルリオーズらしく自叙伝的な性格を持つことになった作品。全篇を通じてヴィオラ独奏より受け継がれるハロルドの固定楽想が用いられる点も「幻想交響曲」に通じる特徴となっています。
ここでヴィオラ独奏を務めるアントワーヌ・タムスティは、「『イタリアのハロルド』の完璧なるソリスト」(Scotsman,April2013)と絶賛される逸材。1979年パリに生まれ、2004年には最難関のひとつとされる「ミュンヘン国際音楽コンクール」で優勝を果たしているタムスティは、2011年4月にミンコフスキ指揮ルーヴル宮音楽隊と「イタリアのハロルド」を録音していたので、およそ2年半ぶりの2種目の内容となります。
ちなみに、タムスティの師であるタベア・ツィンマーマンも、2003年2月にコリン・デイヴィス指揮ロンドン響と「イタリアのハロルド」をライヴ録音していました(LSO0040)。
ゲルギエフは「イタリアのハロルド」を、2007年1月のマリインスキー劇場のニュー・イヤー・コンサートを収めたライヴ映像作品のなかで、バシュメット独奏でフィナーレのみを演奏していたほか、マリインスキー劇場管との実演では同じくバシュメットとの顔合わせで全曲も取り上げて、かねてよりこの作品への情熱にかなりのものがあることを窺わせていました。
ようやくソフトとして全曲が登場するゲルギエフの「イタリアのハロルド」は、「完璧なるハロルド」タムスティと、ベルリオーズ演奏の蓄積も豊富なロンドン響を得たことで、先の「幻想交響曲」と併せてぜひとも押さえておきたいものといえるでしょう。
ローマ賞応募のために書かれたカンタータ「クレオパトラの死」は、斬新すぎる作風と過激な内容により落選となっていますが、まさにそうした面にすでにベルリオーズらしさが横溢しているともいえる作品。
過去にLSOLiveでコリン・デイヴィスによる「キリストの幼時」のレコーディングにも起用されていたカレン・カーギルは、スコットランド出身のメゾ・ソプラノ。声量と美声に恵まれ、ここで要求されるドラマティックな表現にもみごとな対応をみせています。カーギルは2012年4月にもティチアーティ指揮スコットランド室内管と同じふたつのナンバーをレコーディングしていました。
ゲルギエフもまた2003年5月にボロディナをソリストに、ウィーン・フィルを指揮してライヴ録音していたので、およそ10年半ぶりの再録音ということになります。
(キングインターナショナル)

【収録曲】
ベルリオーズ:
・交響曲『イタリアのハロルド』op.16
・カンタータ『クレオパトラの死』H.36~「抒情的情景」「瞑想曲」
【演奏】
アントワーヌ・タムスティ(ヴィオラ)
カレン・カーギル(メゾ・ソプラノ)
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
ロンドン交響楽団
【録音】
2013年11月1日、12日
ロンドン、バービカンホール(ライヴ)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2014年11月06日 15:40