女性シンガー・ソングライターRei、長岡亮介(ペトロールズ)協力の元にミニアルバムをリリース
小柄でまだあどけなさも残る容姿からは想像に余りあるほどのギタープレイのスキルと、大地を抱擁するような力強い歌声が聴こえる。その歌は、自らの音楽的なルーツを絶え間なく愛でながら、そのルーツを超越していく意志を見せている。時代に束縛されず多くのリスナーとコミットするシンガーソングライターはそうやってポップとポピュラリティの両翼を手に入れ、音楽人生という絶対的に不可侵な物語を、歌に閉じ込める。彼女、Reiが作り上げた1stミニアルバム『BLU』を聴いてそんなことを思っている。
Reiが幼少期をニューヨークで過ごし、4歳でクラシックギターを始め、5歳でブルーズに出会ったというバックグラウンドはとても重要なエレメンツだし、それが彼女を特別な歌うたいたらしめているのは間違いない。しかし、本作で語るべきは、冒頭で述べたように、彼女の原風景から現在地に至るまでの“青の季節”を普遍的な音楽として舞い踊らせていることだ。
そういった意味においても、プロデューサーを務めた長岡亮介(ペトロールズ)の存在は大きい。彼もまた自身の音楽的な原点であるカントリー/ブルーグラスというルーツミュージックを、極めて独創的かつ現代的に昇華しているアーティストだからだ。長岡だからこそ、Reiのネイティブな音楽性とそこに満ちている可能性の通訳ができたし、向こう側にいるリスナーとの橋渡し役を果たせた。
自分が鳴らす音楽はどこに向かっているのか。この歌を誰のために歌うのか。その答えはひとつじゃないし、時間と作品を重ねるごとに更新されていくことを彼女は理解しているはずだ。ただ、現時点で確かに言えることはReiが最初に編んだ『BLU』は、とても眩しく忘れがたい輝きを放っている。
三宅正一(Q2)
タグ : J-インディーズ
掲載: 2015年01月29日 11:38