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ジム・オルーク、6年振りの新作にして、実に13年半振りとなるヴォーカル・アルバム

ジム・オルーク

これぞまさしく待望。ジム・オルーク、2009年の『ザ・ヴィジター』以来、約6年ぶりのオリジナル・アルバムにして、2001年の『インシグニフィカンス』以来、じつに13年半ぶりとなるヴォーカル・アルバムがついに完成! 毎度のことながら、ジム・オルーク以外の誰にも作り得ない、さらに『ユリイカ』(1999 年)、『インシグニフィカンス』を凌駕する、正しく圧倒的な最高傑作!

すべての楽器を自身で演奏した、全一曲の衝撃のインストゥルメンタル・アルバム『ザ・ヴィジター』を2009年にリリースして以降、細野晴臣やカヒミカリィらが参加したバート・バカラックのカヴァー・アルバム、『オール・カインド・オブ・ピープル~ラヴ・バート・バカラック』や、石橋英子や長谷川健一、前野健太といったアーティストのプロデュース、復活したクリスチャン・フェネスとピーター・レーバーグ(ピタ)とのユニット、フェノバーグや、石橋英子と山本達久と結成したバンド、カフカ鼾としての活動、敬愛する故・若松孝二監督の『海燕ホテル・ブルー』をはじめとする映画音楽の制作、多岐にわたるアーティストとのコラボレーションやゲスト参加等、相変わらずのワーカホリックぶりを見せている東京在住の音楽家ジム・オルーク。2013年6月の、東京、六本木のスーパー・デラックスにおける6日間すべて違う演目という驚異のライヴ企画『ジムO 六デイズ』も大きな話題となった彼が約6年ぶりにリリースするニュー・アルバム『シンプル・ソングズ』!

本作の最大のトピックは、ジム・オルークが2001 年の『インシグニフィカンス』以来、じつに13年半ぶりに発表するヴォーカル・アルバムだということだろう。まさに待望のアルバムである。しかしジム・オルークは、我々の期待をはるかに上回るものを届けてくれた! ジム・オルークの音楽的ヴォキャブラリーを凝縮したかのような、丹念に練り上げられたメロディを備えた、細部まで緻密にアレンジされた起伏に富んだ楽曲のクオリティの高さはもはやおそろしいほど。アコースティック・ギターの爪弾きからバンドが一体となった演奏まで、静と動を行き来する、計り知れないほど奥行きのある楽曲がじつに感動的だ。より渋みを増した歌声もなんとも味わい深い。

『シンプル・ソングズ』はまた、ジム・オルークとって初の日本で録音した歌もの楽曲のアルバムである。ここ数年、活動を共にしている石橋英子、須藤俊明、山本達久、波多野敦子の4人に加え、高田漣らがゲストで参加している。ジム・オルークと丁々発止の演奏を繰り広げる日本のミュージシャンたちにも注目してほしい。

ギタリスト、ジム・オルークがたっぷりと堪能できることもまた、『シンプル・ソングズ』の魅力のひとつである。デレク・ベイリーやジョン・フェイヒィ、ヘンリー・カイザー、レッド・ツェッペリン、ジェネシス……、さまざまなアーティストからの影響、その要素を吸収して独自のスタイルにした唯一無二のギター・プレイがぎっしりと詰まっている。

サウンド・クオリティについてはもはや言わずもがな。いつもながら、丁寧に作り上げられた見事な工芸品のような音響空間は幻想的ですらある。徹頭徹尾ジム・オルーク、なにもかもが破格の傑作がここに誕生した!

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掲載: 2015年04月13日 17:07