2015年6月度タワレコメン!DATSのデビューCD『DIVE』
2015年6月度タワレコメン!
新たな局面を迎えた東京のインディーズ・シーンから現れたクールな音楽至上主義者達。新しい時代のシティ・ポップをリードするのはこのDATSだ!
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おもしろいことになってきた。
まだまだ東京を中心とした動きではあるが、日本の音楽シーンに新たなトレンドが生まれ、10年代後半を象徴する大きな潮流になりつつあるんだからわくわくせずにいられない。
チルウェイヴ以降のダンス・ビートも含むエレクトロニカやネオ・サイケデリック・サウンドの影響を受けながらそれだけに止まることなく、洋楽・邦楽、さらには時代の新旧を問わない幅広い音楽を吸収することで、それぞれにユニークなインディ・ポップを奏でる若いバンド達を指して、“新しい時代のシティ・ポップ”という言葉が使われるようになったのは、Yogee New Wavesがいわゆる全国流通音源をリリースした前後ぐらいからだろうか。気がつけば、そのYogee New Waves の他にもYKIKI BEATや神戸から東京にやってきたThe fin.など、少なくないバンドが注目され、東京のインディーズ・シーンは新たな局面を迎えるとともに、さらなる活況を呈しはじめていた。
それがもっと大きな動きになるのも時間の問題だろう。火つけ役となるバンドさえ現れればいい。Yogee New Wavesなのか、The fin.なのか。いや、それが今回、デビューCDとなる『DIVE』をリリースするこのDATSであったとしても不思議ではない。盛り上がりはじめたばかりの若いシーンだ。数ヶ月の差ならまだまだ全然、追いつける。
東京のユース・カルチャーを活性化させることを掲げ、13年に活動をスタートさせたDATSはその後、自主企画イベント「MUSIC WORLD」を含むライヴ活動を行いながら、14年にはサマーソニックの新人発掘オーディション「出れんの!?サマソニ!?」でクリマン賞を受賞し、同年のサマソニに出演を果たした。その後もロンドンのマルチ・インストゥルメンタリスト、トム・ヴェックやオーストラリアのインディ・ロック・バンド、ラスト・ダイナソーズの来日公演でサポートを務めることで、その存在をアピールしてきた。
そして、満を持してリリースする今回の『DIVE』ではキラキラと鳴るシンセも使いながら、どこか80年代っぽい雰囲気もある彼ら流のディスコ・ナンバー「Candy Girl」をはじめ、4曲のダンス・ロック・ナンバーを披露している。
エッジーなサウンドとポップな歌の組み合わせを楽しませる4曲は、まさに今のシティ・ポップの息吹を伝えるものだが、ロサンゼルスで生まれ、ワシントンDCで育ったという杉本亘(Vo, G)をはじめ、グローバルかつジャンルレスにさまざまな音楽を聴いてきたというメンバー4人がフェイバリットに挙げる国内外の多彩なアーティストの顔ぶれを考えれば、この4曲の他に彼らがどんなひきだしを持っているのか気になるところではあるけれど、とりあえずはライヴハウスをダンスフロアに変える4曲を収録した、この名刺代わりの1枚をきっかけに彼らがさらなる注目を集めることはまずまちがいない。DATSの快進撃はここから始まる。
<ライター・山口智男>