衝撃的実話に基づく栄光と転落の物語『レーサー/光と影』
ロードレース界にその名を轟かせた女王の数奇な半生
世界各国の大会で数々の好成績を残したロードレース界の女王ジュヌビエーブ・ジーンソンの半生を描いたヒューマン・サスペンス。
ロード・サイクリング・チャンピオンシップで、弱冠17歳にして女子ジュニア部門で優勝し、その後2000年のシドニーオリンピックではカナダ代表選手として活躍するなど、着実にロードレース界にその名を轟かせる一方、コーチの指示のもとドーピング行為を繰り返し、測定結果をもみ消し続けていた彼女の栄光と転落の物語を忠実に再現した映画です。実際のレースさながら撮影を敢行し、大規模な空撮も多用した臨場感溢れる映像や、天才アスリートならではの心の葛藤や深い闇、また、数ヶ月に及ぶ過酷なトレーニングを経て、代役なしでレースシーンをこなした新星ロランス・ルブーフによる渾身の演技も必見です。
監督:アレクシス・デュラン・ブロー
製作:リチャード・レイロンド『ワールド・オブ・テロ ~破滅へのカウントダウン~』
脚本:ソフィー・ロレイン/キャサリン・レジェ
撮影:イヴ・ベランジェ
出演:ロランス・ルブーフ、パトリス・ロビタイユ、ヴァンサン・ルクレール、デニス・ブシャール、ルネ=ダニエル・デュボア
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5月29日に開催された『レーサー/光と影』DVD発売記念、特別上映会に行ってきました。
元プロロードレース選手の田代恭崇さんがトークイベントのゲストとして参加。作品のテーマであるドーピングなどについてお話されました。
映画の感想は『一人で観たんですが、苦しかったです(笑)自分が選手の時のことを思い出しました。スポンサーや、チームメイトなどの中での駆け引きなどを鮮明に思い出しました。』
作品の主人公は実際の選手ということで『選手としてベルギーの有名なレースで優勝したり、ジュニアの世界選のタイムトライアルや、ロードレースのチャンピオンだったという事ですごく強い選手だったと思います。』
実際、ドーピングとは一体どういうものなのかという質問に『自転車競技自体が、長時間何日も走るので、スポーツの中でも最も過酷なスポーツの一つと言われているので、ドーピングも非常に横行していた時代がありましたが、今はクリーンになっています。検査も厳しくなり、試合以外にもドーピング検査があり、チームが選手を管理して守っているが、(ドーピング)なくなってはいません。』
選手はかなり制限されてしまうのではないでしょうか?『一般の風邪薬もドーピングの禁止薬物が入っているので、専門医師にかかるなどして禁止薬物が入っていないものを処方してもらうなどがあり、さらに競技外検査もあり、自宅に朝一番に検査員が来てドーピング検査をします。1時間以内に対応しなかったり、3回合わないと“ドーピングした”とみなされたりします。選手は義務なのですが、大変さがあります。』
田代さんはオリンピックにも出場されていますが『優勝してゴールのところから、ドーピング検査員が僕のそばについています。表彰式が終わるとドーピング検査を受けます。検査が終わるまで解放されないため、3時間いたこともあります。』この辺りは作品でも描かれていて、かなり大変だと思いました。細かく描写されているのだなと、お話を伺っていて感じました。
レースシーンについては『すごくリアルでした。後で気づいたのですが、女子全日本チャンピオンも出てきていますので、よく見て探してください!』とのこと。
ストーリーに入り込みすぎて、白熱のレースシーンに前のめりだったのに!確認するのを忘れてしまいましたので、DVDで確認したいです。
最後に見どころを『すごく人間模様を捉えた映画だと思います。主人公に自分を置き換えて観ていただくと苦しみと葛藤がわかるんじゃないかなと思います。』とのこと。
短い時間でしたが、ドーピングの興味深いお話が聞けたかと思います。選手の大変さや、ロードレース界の実情を聞いてからこの作品を見るとさらにツラさが…苦しさが…リアルに感じ取れ、最後には主人公の新たな挑戦に少しでも光りを、と願うばかりでした。
Text:Naomi Jomori