ジョージ・リンチ率いるリンチ・モブ約6年振りとなる新作日本先行発売
80年代にドッケンのメンバーとして数々の名演を残し、今なおギター・ヒーローとして根強い人気を誇るジョージ・リンチ。近年は様々なプロジェクトで活動している彼にとってホームと呼べるリンチ・モブが、オリジナルのフル・アルバムとしては約6年振りとなるアルバム『レベル』を完成させた。オニ・ローガン(ヴォーカル)、ジェフ・ピルソン(ベース)、ブライアン・ティッシー(ドラムス)という新布陣でレコーディングされたこの作品は、ジョージの活きのいいギター・プレイを満載したファン必聴のアルバムである。
リンチ・モブの歴史は1989年にドッケンが解散後、ジョージがドッケンのメンバーだったミック・ブラウン(ドラムス)と共に新バンド結成へと動き出したことで始まる。オーディションでオニらを獲得したバンドはアルバム『ウィキッド・センセーション』(1990年)でデビューを果たすと、オニに替わってロバート・メイソン(ヴォーカル)を迎えて2ndアルバムの『リンチ・モブ』(1992年)をリリース。しかし、グランジ・ロックの台頭などにより、バンドは解散してしまう。
再結成ドッケンでの活動を経て、1997年からジョージはリンチ・モブを復活させると、いくつかのプロジェクトを合間に挟みつつ、激しいメンバー・チェンジを繰り返しながら、アルバムの制作とツアーを実施。2008年にはオニを起用し、原点に帰ったような内容のアルバム『スモーク・アンド・ミラーズ』を発表した後、『LOUD PARK 09』へ参加するなど活動を本格化させると、ミニ・アルバム『サウンド・マウンテン・セッションズ』(2012年)、アコースティック・アルバムの『アンプラグド:ライヴ・フロム・シュガーヒル・スタジオス』(2013年)をリリース。そして、新曲7曲にリマスターされた既発曲4曲を加えたアルバム『サン・レッド・サン』(2014年)に続いて制作したのがこの『レベル』である。
アルバムは全曲ジョージが作曲(2曲に『サン・レッド・サン』でキーボーディストとして参加していたドニー・ディックマンが共作)、オニが作詞を行なっており、彼らのルーツである70年代のハード・ロックをベースにしつつ、現代的な音の厚みやグルーヴを取り入れたような楽曲が並んでいる。原点に帰った『スモーク・アンド・ミラーズ』をさらに進化させたような楽曲はどれもパワフルで、ジョージの活きのいいギターも耳を惹く。
ストライパーのマイケル・スウィートとのスウィート&リンチ、キングスXのダグ・ピニックとKORNのレイ・ルジアーによるKXMといったプロジェクトが高い評価を獲得し、ノリに乗っているジョージだが、彼のメインのバンドであるこのリンチ・モブの『レベル』はそんなジョージのミュージシャンとしての充実ぶりを表現したアルバムだと言える。