エラ・フィッツジェラルド奇跡の発掘音源『ライヴ・アット・シャトークア』
1968年7月にシャトークアにて行われたコンサートを収めた音源になります。『イッツ・オールライト・ウィズ・ミー』で幕を開ける今作は、カウント・ベイシー楽団のピアニストも務めたドナルド“ティー”カーソンのピアノ・トリオにより伴奏をされています。ベースはダイナ・ワシントンの伴奏を長年務めたキーター・ベッツ(b)、ジョー・ハリス(ds)というメンバー。スティーヴィー・ワンダーが数ヶ月後にアップテンポなアレンジで発表した『フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ』は、当時の大ヒットナンバー。十八番のスキャットなど、存分に歌唱が楽しめる内容です。
当時、シャトークア・インスティチュートでは、当時不定期に開催されるコンサートの録音は行っていなかったそうですが、サウンド・エンジニアがエラ本人より許諾を得て録音した作品は、本作のエグゼクティヴ・プロデューサーのGina Alley-Crook氏の夫が、自宅にあった父のコレクションの中からみつけたというオープンリールテープに収められた貴重な音源。当時のサウンドエンジニアがジャズに熱心な所有者に譲り渡したものでした。この貴重な音源を今回CD化に至らしめた熱心なジャズ愛好家たちが残した功績は計り知れないものがあります。
50年後半から60年代にかけてエラは、コール・ポーター・ソングブック(56年)、ロジャース&ハート・ソング・ブック(56年)、デューク・エリントン・ソングブック(57年)、アーヴィング・バーリン・ソングブック(57年)、ジョージ・アンド・アイラ・ガーシュウィン・ソングブック(59年)、ハロルド・アーレン・ソング・ブック(61年)、ジェローム・カーン・ソングブック(63年)、ジョニー・マーサー・ソングブック(64年)と数々のソングブック集を吹き込んだ時期であり1960年に発表した『エラ・イン・ベルリン』は、ジャズ史上屈指の名盤として色あせない作品。そんな代表作を発表した時期という事もあるとても貴重な音源だということは間違いありません。
13回のグラミー賞受賞に加え名誉博士号、大統領自由勲章を授与されるなど人気の絶えないジャズ・ボーカルの女王エラ・フィッツジェラルドが、この世を去り2016年で20年。2017年には生誕100周年を迎えるエラのファンに残された嬉しい発掘音源。この貴重な音源を、どうかお見逃しなく!
【収録内容】
1. It's All Right with Me
2. I'm beginning to See the Light
3. Blue Skies / On a Clear Day
4. For Once in My Life
5. The Object of My Affection
6. Sunny / Goin’ out of My Head
7. What What Happens
8. Midnight Sun
9. A Tisket a Tasket
10. The Lady Is a Tramp
11. One Note Samba
【パーソネル】
Ella Fitzgerald – vocal
Tee Carson – piano
Keter Betts – double bass
Joe Harris – drums
掲載: 2016年04月18日 11:45