ゲルギエフが20年を経て“火の鳥”を再録音!~LSOアメリカ・ライヴ
ゲルギエフとロンドン交響楽団は2015 年10 月にアメリカ・ツアーを行いました。ゲルギエフの8年におよぶ首席指揮者職最後の海外ツアーで、24日の公演をニューヨークのFM が放送用に収録し、その音源を2枚組CDとして発売。
まず目を引くのがストラヴィンスキーの“火の鳥”。ゲルギエフはキーロフ劇場管弦楽団(マリインスキー劇場管弦楽団)と1995年に録音(当時『レコード芸術』誌準特選)していますが、20年ぶりの再録となりました。今回も1910年全曲版で、テンポ等基本的な解釈は違わないものの、説得力と語り口の巧さが凄い。冒頭から徐々に盛り上げていく自然さ、金管はロシア伝統の咆哮など、自在な指揮ぶりはほとんど神業。
興味深いのがバルトーク。かつて歌劇“青ひげ公の城”のCDで優れた解釈を評価されていたこともあり、猟奇的な“中国の不思議な役人”と天国的なピアノ協奏曲第3番をどう料理するか興味津々。これが期待以上の出来。バルトークの精密なスコアはゲルギエフにうってつけですが、LSOの名人芸もあいまって驚きの世界を作り上げています。ことにバルトークの冷たいまでに透明なオーケストレーションを類稀なバランスで再現、もちろんバルトークならではの暴力的エネルギーも申し分なしの充実感。ピアノ協奏曲第3 番はブロンフマンの超絶技巧をあくまで抑え、宗教的ともいえる純な世界を描きます。
聴衆の熱狂に応え、プロコフィエフの“ロミオとジュリエット”から「モンタギュー家とキャピュレット家」をアンコール演奏。携帯のCMで有名になった曲あの曲をゲルギエフとLSO の演奏で聴くことができます。それもアメリカの聴衆への告別で、ゲルギエフの演奏も感慨深いものがあります。
(キングインターナショナル)
【収録曲目】
ストラヴィンスキー:バレエ音楽“火の鳥”(1910年版) 全曲
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
バルトーク:バレエ組曲“中国の不思議な役人”
プロコフィエフ:バレエ音楽“ロミオとジュリエット”より「モンタギュー家とキャピュレット家」
【演奏】
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
ロンドン交響楽団
イェフィム・ブロンフマン(ピアノ)
【録音】
2015年10月24日、ニュージャージー・パフォーミング&アーツセンター、ライヴ
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年08月31日 14:29