自ら考案した新方式によるグランド・ピアノでの初録音!『ダニエル・バレンボイム~On My New Piano』
バレンボイムは、2011年にフランツ・リストが使用したグランド・ピアノのリストア・プロジェクトに参加した際、グランド・ピアノの構造を詳しく調べていくうちに、弦の張り方を変更することでグランド・ピアノの音質が飛躍的に変わるという発想を得ます。この考えを元にピアノ職人のクリス・メーン氏と共に製作を進めたのです。従来型のグランド・ピアノの場合、低音域と中音域の弦を左右に交差させているため、交差している上の弦と下の弦との間で干渉を起こし、音が濁ってしまうのです。そこで、すべての弦が平行にパラレル(ダブルブリッジ)に張ることによって、交差を避けることで、従来型ピアノに比べて抜本的な音色の改善を図ることに成功したのです。19世紀後半にC. F. セオドア・スタインウェイによって確立された現代のグランド・ピアノは、当時の技術で平行に弦を張るための長いプレートを鋳造することは難しかったため、弦を交差させる構造となっており、その後の技術が発達してもピアノの構造を元から変更しようとするピアノ・メーカーは出現することなく現代に至っていたのです。それ以前のフォルテ・ピアノ(歴史的ピアノ)では平行に弦は張られていましたが、その純粋で精細な音、現代ピアノの力強さの両方を持ち合わせたグランド・ピアノをバレンボイムは開発、鍵盤も自らの手に合わせて若干狭く作られているそうです。バレンボイム自身の演奏で、この楽器の魅力が発揮される作品が選曲されています。
(ユニバーサルミュージック)
【収録曲目】
D.スカルラッティ:ソナタ ハ長調 K.159
D.スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.9
D.スカルラッティ:ソナタ ホ長調 K.380
ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80
ショパン:バラード第1番ト短調 Op.23
リスト:ワーグナーの舞台神聖祝祭劇『パルジファル』からの「聖杯への厳かな行進」S.450
リスト:『詩的で宗教的な調べ』S.173より「葬送行進曲」
リスト:メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」
【演奏】
ダニエル・バレンボイム(バレンボイム考案の新方式によるグランド・ピアノ)
【録音】
2015年10月、ベルリン、テルデックス・スタジオ
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年10月13日 16:30