P.ゼルキン、レヴァイン&ボストン響~豪華な顔ぶれが奏でる米現代音楽界の巨星C.ウォリネンの世界
小澤征爾の後を継いで2004年よりボストン響の音楽監督に就任したレヴァインはとりわけ現代音楽の演奏、普及に積極的に取り組み、2011年にそのポストを退くまで実に12作品の世界初演を行った。このディスクではアメリカ東海岸を代表するウォリネンの10年ほど前の大作を2曲収録している。
ウォリネンはニューヨーク出身。アメリカで独自の発展を遂げた12音技法のひとつの考え方であるピッチクラスセット理論を基礎とした作曲を行っている。交響曲第8番は無調音楽特有の厳しい表情の中に時折り見せるクリスタルのように澄み切った抒情が魅力的。ボストン響の見事なアンサンブル、各奏者の妙技、名人芸が聴きどころ。武満徹とも親交の深かったピーター・ゼルキンをソリストに配したピアノ協奏曲は円熟期を迎えたゼルキンの枯淡とは程遠い切れ味の鋭いヴィルトゥオーゾぶりに驚嘆。
いずれもボストン・シンフォニー・ホールで数日間、念入りに行われたセッション録音。2016年下半期の現代音楽部門要注目ディスク。
(東武ランドシステム)
【収録曲目】
チャールズ・ウォリネン(1938-)
交響曲第8番「神学上の見解」(2005-06)
ピアノ協奏曲第4番(2003)
【演奏】
ジェームズ・レヴァイン(指揮)
ボストン交響楽団
ピーター・ゼルキン(ピアノ)
【録音】
2007年2月15-17日、ボストン(交響曲)
2005年3月24-26、28日、ボストン(協奏曲)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年11月20日 00:00