豪エロクアンスよりクリスマス3タイトル~レーマンの“クリスマス・オラトリオ”、ロペス=コボスのプーランク、他
オーストラリア・エロクアンスよりクリスマスをテーマとした凝った内容の3タイトルが復活。1つ目は独アルヒーフよりLP初期にリリースされたフリッツ・レーマン指揮のバッハ〝クリスマス・オラトリオ”。録音中にレーマンが急逝し、残りをギュンター・アルントが完成。初出時にフランス・ディスク大賞を獲得したモノラル時代の名盤です。他にロペス=コボスのデジタル初期録音、懐かしいプーランクのグローリアが、プレストン指揮のプーランクのクリスマス・モテットとのカップリングで復活。プレストは、デジタル初期にDGに録音した『クリスマス・キャロル集』も久々に登場します。クリスマスの聖なる夜を、宗教的な雰囲気とともに味わうのにふさわしい3タイトルです。
(タワーレコード)
レーマンによる未完の『クリスマス・オラトリオ』の全曲盤
《フリッツ・レーマン~J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ》
バッハのリバイバル録音の先駆者による最後の録音が、最新リマスタリングにより世界で初めてCD化されます。バッハの専門家ニコラス・アンダーソンが『クリスマス・オラトリオ』の背景と詳細、フリッツ・レーマンの経歴、録音プロジェクトについて新たに寄稿しています。
1956年3月20日、ミュンヘンで伝統的な聖金曜日のバッハ『マタイ受難曲』演奏中、フリッツ・レーマンは心臓発作によって突然世を去ることとなり、その前年の8月第1週に第4部までのカンタータを録音していた『クリスマス・オラトリオ』は未完成のままになってしまいました。
レーマンのバッハはその時代の〝規範〟でした。規模を小さくしたベルリン・フィルハーモニーはオーボエ・ダ・カッチャのような古楽器の最新型の複製を組み入れ、ギュンター・アルントによって1950年に設立されたばかりのベルリン・モテット合唱団の素晴らしく磨かれ、専門的に熟練した声の伴奏を務めました。DGは残り2部のカンタータの録音をギュンター・アルントの指揮で1956年6月と9月に行い、全曲を完成させました。
【参考】レーマン/アルント指揮の"クリスマス・オラトリオ”
初出LP(3枚組)布張りBOXのデザイン
【参考】上記LP-BOXに添付されたカルテ
【曲目】
J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオBWV248
DG初CD化(全曲盤)
【演奏】
ヘルムート・クレプス(福音史家/テノール)
グントヒルト・ウェーバー(天使/ソプラノ)
ジークリンデ・ワーグナー(コントラルト)
ハインツ・レーフス(ヘロデ王/バス)
フリッツ・レーマン(第1‐4部)(指揮)
ギュンター・アルント(第5‐6部)(指揮)
ベルリン・モテット合唱団
RIAS室内合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
【録音】
1955年8月3‐10日、1956年6月22、24、25日、9月15日、ベルリン、イエス・キリスト教会
クリスマスを華やかに彩るフランスの薫り高い宗教音楽集
《ロペス=コボス、プレストン、ハント~プーランク、サン=サーンス:合唱作品集》
カミーユ・サン=サーンスがミサ曲作品4を作曲したのはまだ21歳の時でしたが、声楽においても器楽においてもこの若さでその腕前は経験豊かな作曲家のレベルでした。パリ音楽院では16歳でオルガンの1等賞を取るなど優秀な生徒で、その時から本気で作曲に取り組み始めました。このミサ曲の4つの声楽パートは、多くのフランスのゴシック様式の大聖堂からの譲渡により提供された2つのオルガン(大きいものと小さいもの)の印象深い組み合わせとぴったりと合っています。リストはこの作品が宗教的な性格においても技術的な習熟度においてもこのジャンルの同時代の作品の中で最も目立っていると断言しました。今回、1978年2月に長年オルガニストと合唱指揮を担当していたドナルド・ハントの指揮のもとウースター大聖堂聖歌隊によりデッカに録音されたものが再発売されます。"
"フランシス・プーランクは伝統的な音楽に対する不遜な態度とサン=サーンスよりもさらに深く、さらに敬虔なカトリック信仰とを併せ持つ独特な存在で、評論家のクロード・ロスタンから「聖職者とガキ大将が同居している」と評されました。こうしたことが彼の宗教作品で実を結び、いくつかの傑作を残しています。その一つ『クリスマスのための4つのモテット』が1973年4月、サイモン・プレストンが音楽監督として在任していた時にオックスフォード・クライストチャーチ聖歌隊により録音されました。
プーランクが人生の終盤に書いた『グローリア』もこのアルバムの楽しく、祝祭の華やいだテーマに合っている曲です。1982年から始まったデジタル録音が、スイス・ロマンド管弦楽団の本拠地でありクラシック・デッカの録音場所となったジュネーヴのヴィクトリア・ホールで行われました。そこではエルネスト・アンセルメの指揮で他の追随を許さない非常に多くのフランス音楽が録音されましたが、ここではローザンヌ室内管弦楽団の首席指揮者を1990年から10年務め、スイスのアンサンブルと揺るぎない関係をすでに築いていたヘスス・ロペス=コボスの指揮で録音されています。
【参考】ロペス=コボス指揮のプーランクのグローリア
初出LPジャケット
【曲目】
1)プーランク:グローリア
2)プーランク:クリスマスのための4つのモテット*
3)サン=サーンス:4声のミサ曲 Op.4
シルヴィア・グリーンバーグ(S)
スイス・ロマンド放送合唱団
ローザンヌ・プロ・アルテ合唱団、
ヘスス・ロペス=コボス(指揮)(1)
オックスフォード・クライスト・チャーチ合唱団,サイモン・プレストン(2)
ウースター大聖堂合唱団 ドナルド・ハント(指揮)(3)
*DECCAより初CD化
録音:
1982年1月 ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール(1)
1973年4月 オックスフォード、マートン・カレッジ(2)
1978年2月 ウースター、ウースター大聖堂(3)
新旧のクリスマスキャロルがそれぞれ存在感を増す
《サイモン・プレストン~ウェストミンスター寺院のクリスマス》
サイモン・プレストンは1963年22歳の時にウェストミンスター寺院の副オルガニストに就任して1967年まで在職し、その後1981年に再び戻って正オルガニストと聖歌隊隊長になりました。この職務でプレストンは3つのクリスマス礼拝を担当し、それが1984年録音のこのDGのアルバムで演奏されています。 プレストンは作曲されてから10年ほどのイギリスの作曲家による現代版クリスマスキャロルを偶然見つけました。その中にはエリザベス・ポストンの「林檎の木なるイエス・キリスト」を始め、故ピーター・マックスウェル・デイヴィス、アーサー・オールドハム、ピーター・ウィッシャートにより伝統的な詞に曲を付けられたものがあります。また、現代の詩人の詩から採られているもの、例えばベンジャミン・ブリテンの「羊飼いのキャロル」はアメリカ西部のカウボーイの言葉を使用したW.H.オーデンのテキストによるものです。それらの曲は15世紀のイギリスのキャロル「光を放て、エルサレムよ」のようなオリジナルの形の中世の曲や古いキャロルの編曲(「ひいらぎとつたは」「もろびと声あげ」)と並んでその存在感を見せつけています。
【参考】当CDの初出盤ジャケット・デザイン
【曲目】
1) 伝承曲:Up! awake! from highest steeple (Wachet auf!)(ヤーコプ・プレトリウス編)
2) アーサー・オールドハム:Remember O thou man
3) 伝承曲:There stood in Heaven a Linden Tree (G.H.Palmer編)
4) ピーター・ウィッシャート:Alleluya, A New Work is come on Hand
5) シャルパンティエ:Salve puerile (ジョン・ラター編)
6) 伝承曲:ひいらぎとつたは (H.ウォルフォード・デイヴィス編)
7) ポストン:林檎の木なるイエス・キリスト
8) プレトリウス:Resonet in laudibus (Herbert Birtner編)
9) 伝承曲:Ding Dong! Merrily on high (チャールズ・ウッド編)
10) マックスウェル・デイヴィス:Nowell (Out of your Sleep Arise)
11) ハンマーシュミット:Alleluja! Freuet euch, ihr Christen alle
12) 伝承曲:Up! Good Christen folk, and listen (G.R.ウッドワード編)
13) 伝承曲:もろびと声あげ (R.L.ピアソール編)
14) メンデルスゾーン:天には栄え
15) シャイト:みどり児ベツレヘムにうまれたまえり
16) 伝承曲:Rocking (サー・デイヴィッド・ウィルコックス編)
17) ジョン・ガードナー:Tomorrow shall be my Dancing Day
18) 伝承曲:光を放て、エルサレムよ
19) ブリテン:羊飼いのキャロル
20) 伝承曲:Good King Wenceslas
【演奏】
クリストファー・ヘーリック(オルガン)
サイモン・プレストン(指揮)
ウェストミンスター寺院聖歌隊
【録音】
1984年2月28日‐3月2日、ロンドン、ウェストミンスター寺院
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2017年10月18日 00:00