〈2017年アーティストの一番のお気に入りCDは？〉VIDEOTAPEMUSIC編

謎の電波塔から発信された架空のラジオ番組-そんなイメージも膨らむ2年ぶりのニュー・アルバム。cero以降の現代的エキゾ解釈の新型を展開してみせた前作『世界各国の夜』は各所で大きな話題を集めたが、本作ではよりディープに自身の音楽世界を構築。エキゾチカ～ムード音楽～各種ラテン・ミュージック～レゲエ/ダブなど構成要素こそ前作を継承しているものの、全体を覆う幽玄な雰囲気は前回になかったもの。ジャケットを手掛けた坂本慎太郎の諸作とも通じる、VIDEOTAPEMUSIC流の涅槃音楽集とでも言えるだろうか。そこに華を添えるのは、思い出野郎Aチームのメンバーや荒内佑(cero)、鶴岡龍ら盟友たち。ムーンバートン的なムードも漂わせるNOPPALをフィーチャーしたナンバー"Her Favorite Moments"では新境地も開拓しているほか、フィールド・レコーディング音源も導入。彼のディスコグラフィーのなかでも重要な位置を占めることになるだろう意欲作だ。
bounce (C)大石始

VIDEOTAPEMUSIC 「Fiction Romance」

▼選盤テーマ：2017年、一番聴いたCDは？

ゆるふわギャング『Mars Ice House』

車でたくさん聞いたし、多分この先もこれを聴くと2017年の景色を思い出す気がする。夜の国道沿いにとても合うし、いま目に入ってくる景色に対して、とても切実に作られていると思いました。ライブも何度か見たけどとてもかっこよかったです。

ゆるふわギャング「Dippin' Shake」

▼選盤テーマ：2017年、一番気になったアーティストは

Duke Ellington『Far East Suite』

1920年代からコットンクラブで「ジャングルミュージック」と称したサウンドで、独自のエキゾチシズムを掘り下げ続けたデュークエリントン。自分のアルバム製作中にふとエキゾチカとしてのデュークエリントンに興味が湧いて色々と調べたのですが、来年以降も引き続き掘り下げたいです。こちらはエリントンが日本などのアジア諸国を題材にしたアルバム。

▼2017年印象に残った出来事は？

ひたすら自分のアルバム制作に明け暮れたって感じです。ずっと大ファンだったCrazy Ken Bandの映像を作ったのも個人的に大きい出来事でした。

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