クリヴィヌ&フランス国立管によるドビュッシー“海”、管弦楽のための“映像”
エマヌエル・クリヴィヌの、3回目のドビュッシー「海」の録音
ドビュッシーは、1903~1904年にブルゴーニュで『海』(3つの交響的素描)を作曲し始めました。これらは単に海の風景を絵画的に描写し音楽化するというだけでなく、その物語を時間の経過とともに刻々と趣を変えていく豊かな海から受ける心象、実在から受ける感銘、を音楽化したものです。ドビュッシーにとっては、ベートーヴェンの「田園交響曲」よりも自然についての生き生きとさせる要素や気象現象を描写することを否定しているわけではありません。代わりに、彼は発明し、彼は芸術を通じて自然に反応し、それとは対照的に何かを模索したのです。この「海」は、当時主にフランスの芸術界に広がっていたオリエンタリズム、ジャポニスムへの関心が多く含まれており、より劇的で、肯定的であり、軽快さは無いものの、かすかな霧によって強力な衝動に置き換えられます。ドビュッシーの生涯にわたる海の愛情を反映して、さらにエクスタシー感覚を掻き立てられた音楽となったのです。
1905年3月5日に完成され、同年10月15日、カミーユ・シュヴィヤール指揮のラムルー演奏会で初演されました。ドビュッシーはその後、フィナーレ237~244小節目ではファンファーレがありましたが、それは不適切だったと判断し、1909年に新しいエディション(現在通常演奏されている)が出版されたときには、その部分がカットされました。
このアルバムの最終トラックに、そのファンファーレ部分が含まれた版による演奏の抜粋も収録されています。
フランスの名指揮者クリヴィヌが、最も得意とする作曲家の1人であるドビュッシー。クリヴィヌは、国立リヨン管弦楽団(DENON)、ルクセンブルク・フィル(Timpani)と「海」を録音していましたが、今回、音楽監督となったフランス国立管弦楽との録音となります。クリヴィヌのあふれ出す響きの想像力は、鮮やかなコントラスト、クリーンなテクスチャー、各楽器のバランスを統制し、見事なドビュッシーの官能的な音楽を描き出しています。
(ワーナーミュージック)
※国内盤はSACDハイブリッドでの発売!
【曲目】
ドビュッシー:
1) 『海』(1909年版)
2) 管弦楽のための『映像』
3) 『海』の「風と海の対話」より(初版トランペットのファンファーレ付部分)
【演奏】
エマヌエル・クリヴィヌ(指揮)
フランス国立管弦楽団
【録音】
2017年3月7-9日、5月27-30日、オーディトリウム・ラジオ・フランス