スワヴェク・ヤスクウケ(Slawek Jaskulke)、新作はベストセラー作『夢の中へ(SENNE)』の続編
マジカルで抒情的なあのアンビエント・ピアノ・ワールドが再び。貴重な1935年製マルムシュー社グランドピアノで響きわたる天上からの音色。
2ケ月連続新作リリースの第2弾は圧倒的な評価を得たベストセラー作『夢の中へ』の続編。昨年の「ザ・ピアノ・エラ2017」でもこのアルバムから数曲披露し、アップライトピアノによる超絶ピアニッシモの音世界は公演後も話題となっただけに、まさに待望の続編アルバム。
前作『夢の中へ』はピアノの12鍵がそれぞれ主音になった6つの調を使って作曲されたが、今回は残り6つの調で作曲されている。そして前作は彼の娘が「眠るときの音楽を聴かせて」とせがまれ、それがアイデアとなって制作されたが今回も同様のコンセプト。また当初はアップライトピアノを使用する予定だったが、今回は世界に2台しか存在しないスウェーデンの1935年製マルムシュー社グランドピアノを使用。さらにスワヴェク用にモジュレイターをセットして深く温かな音色であると同時に、若干硬めのリバーブの響きがコーティングされながらも不思議とサウンドに奥行きと温度を与え、天上の音楽のような効果をもたらせている。
そして今回も『夢の中へ』同様、通常の440Hzより低い「宇宙の周波数」「人間の心身に良い影響を及ぼす周波数」とも言われる432Hzチューニングを採用。美しいシークエンスの連続と穏やかな残響音による空間は、モノクロの8ミリ映像のような世界。ポスト・クラシカル、ミニマル・ミュージック、ジャズの技法等すべてを包み込む、創造性に満ちたアンビエント・ピアノ・ソロ作。2年越しのプロジェクトの、エピローグ的な最終曲も感動的。
2018年5月 ワルシャワ録音
スワヴェク・ヤスクスケ (作曲、グランドピアノ)
掲載: 2018年07月10日 17:28