D.オイストラフ門下のミヒャエル・ヴァイマン新録音!ヴァイオリン編曲集『ドッペルゲンガー』
ミヒャエル・ヴァイマンとディーナ・ヨッフェ夫妻
ミヒャエル・ヴァイマン(1953年生まれ)は、この新作リリースについて、次のように書いています。
「素晴らしい楽曲は、作曲家が別の楽器のために新しいバージョンを作成すると、新しいファセット(切子面)と色彩を獲得します。バッハのコンチェルトや彼の他の作品は、この鮮やかな例です。作曲家自身が作成した新しいバージョンについて我々が話すのは、生まれたばかりのドッペルゲンガー(影法師)についてだけではありません。作曲家は、時には意識的に、時には直感的に、その作品の新しいバージョンが新しい生命を創造する可能性を感じていたと、私は思います。このアルバムに収録されている作品はすべてこのようなカテゴリに属しています」。
ミヒャエル・ヴァイマンはウクライナで生まれました。彼の故郷のストヤルスキー音楽学校を卒業後、伝説のヴァイオリニスト、ダヴィド・オイストラフとセミョーン・スニトコフスキーのもと、モスクワのチャイコフスキー音楽院で学びました。特に注目すべきは、彼のレパートリーの驚くべき広さで、ベートーベン、ブラームス、プロコフィエフ、フランク、及びシューマンの全てのヴァイオリン・ソナタと、シューベルトとショスタコーヴィリのヴァイオリンと管弦楽のための作品全てを含んでいます。ヴァイマンは、現代作曲家の数々の作品の初演者でもあります。
(メーカーインフォより翻訳:タワーレコード)
旧ソ連出身には2人の有名なヴァイマン姓のヴァイオリニストがいます。一人は1926年生まれで1977年に亡くなったミハイル・ヴァイマン。このヴァイマンはレニングラード音楽院でアウアー門下のユーリ・エイドリンに学び、1951年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝したレオニード・コーガンに次ぐ第2位を獲得。ソリストとして活躍し、来日公演も行いました。1949年より母校で教育に携わり、1966年には教授となりました。潮田益子、前橋汀子、フィリップ・ヒルシュホルン、セルゲイ・スタドレルらの師として知られています。
もう一人のヴァイマンが、このCDで演奏している1953年生まれで現役奏者のミヒャエル・ヴァイマンです。モスクワのチャイコフスキー音楽院で巨匠ダヴィド・オイストラフとセミョーン・スニトコフスキーに学び、1977年ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールに第2位入賞しました。ちなみにこの時の優勝はワジム・ブロドスキ、第3位はザハール・ブロン、第5位はヒロ・クロサキ、第6位は澤和樹(東京藝術大学学長)でした。1980年、チャイコフスキー音楽院の中央音楽学校で教鞭を執り、様々な音楽学校で後進の育成にあたりました。日本とのつながりも深く、1995年から数年間、愛知県立芸術大学の客員教授として招かれたこともあります。現在はソリストとしての活動とともに、ケルン音楽大学の教授という要職にあり、世界各地のコンクールの審査員としても活躍しています。
このCDでピアノを務めているのがヴァイマンの妻で名ピアニストのディーナ・ヨッフェ(1952~)であることも注目されます。ラトビアのリガ出身で、モスクワ音楽院においてゲンリヒ・ネイガウス流派の名教師ヴェラ・ゴルノスタエヴァに師事。シューマンおよびショパン国際ピアノコンクールで最上位を獲得し、ソリストとして輝かしいキャリアを収めました。1989年以来、教育者としても活動し、1995年から5年間、夫とともに愛知県立芸術大学の客員教授を務めました。現在はバルセロナのリセウ音楽院の特別教授、北京の中央音楽学院の客員教授を務め、国際ピアノ・コンクールの審査員にも招かれています。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
【曲目】
1. ミエチスワフ・ヴァインベルグ:モルダヴァの主題による狂詩曲 Op.47-3
(管弦楽作品の、D.オイストラフ編曲によるヴァイオリンとピアノ版)
2. リスト:「三人のジプシー」
(1860年に歌曲として書かれた作品のヴァイオリンとピアノ版:1864年)
3. ブラームス:ソナタ第1番 ヘ短調 op.120-1
(クラリネットとピアノのための作品の、ヴァイオリンとピアノ改訂版)
4. シューマン:アダージョとアレグロ op.70
(ホルンとピアノのための作品の、ヴァイオリンとピアノ版)
5. ブラームス:ソナタ第2番 ヘ短調 op.120-2
(クラリネットとピアノのための作品の、ヴァイオリンとピアノ改訂版)
【演奏】
ミヒャエル・ヴァイマン(ヴァイオリン)
ディーナ・ヨッフェ(ピアノ)
使用ピアノ:SHIGERU KAWAI EX
【録音】
2017年12月18-20日、ドイツ、クレーフェルトでの録音
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2018年10月11日 18:00