『激ロック』スペシャルコーナー【10月レコメンドアイテム】
AMARANTHE / 『Helix』
GENRE:MELODIC METAL, ELECTRO
パワー・アップしたトリプル・ヴォーカルで
メロディック・メタルのさらなる開拓に挑む新生AMARANTHE初アルバム!
バンドの代名詞でもあるトリプル・ヴォーカルのひとりで、ソングライティングにも関わっていたJake E(Vo)が脱退したことで、音楽性が変わってしまうのではないかといった心配をしていたファンも、少なからずいただろう。しかし、メイン・ソングライターのOlof Morck(Gt/Key)の言うとおり、OlofとElize Ryd(Vo)で完璧にAMARANTHEらしい名曲ができるということが、ここに証明された。しかも、新ヴォーカリスト Nils Molinの声質も、さらに迫力を増しタフになった彼らの楽曲にマッチしているし、これは完全なるパワー・アップと言っていいだろう。Olofの音楽に捧げる情熱が感じられるエレクトロ表現とシンセ・サウンドも、より深く斬り込んだものになっている。
山本 真由【ライター推薦】
CHTHONIC / 『Battlefields Of Asura』
GENRE:SYMPHONIC DEATH METAL, MELODIC DEATH METAL
“現役国会議員”Freddy Lim率いるアジアのメタル・キング、CHTHONIC
約5年ぶりとなるフル・アルバムをリリース!
大きな環境の変化がありながらも、台湾のトライバルなスピリットをサウンドに反映させるその手法はもちろん、アグレッシヴで壮大なサウンドを今作でも全力で展開するCHTHONICのニュー・アルバム。聴くものを鼓舞するようなインストから、Track.2、Track.3とCHTHONIC節ど真ん中のトラックが続く作品序盤の段階で、疑念も余裕で吹っ飛ぶはず。LAMB OF GODよりRandy Blythe(Vo)をゲストに迎えたTrack.5、香港の民主化デモを支持して逮捕されるなど、弾圧を受け続けるアジアの歌姫、Denise HoをフィーチャーしたTrack.10など、話題性も事欠かない。ボーナス・トラックとなる「Takao」のライヴ音源は衝撃的なので最後までしっかり聴くべし。
米沢 彰【ライター推薦】
GRETA VAN FLEET / 『Anthem Of The Peaceful Army』
GENRE:HARD ROCK, BLUES ROCK
クラシック・ロックを継承するUS新人バンド、GRETA VAN FLEET
アメリカ/カナダiTunesロック・チャート1位獲得の若手注目株によるデビュー作!
クラシック・ロックの正当なる継承者にして、驚異の新人としてすでに話題沸騰、Kiszka兄弟とその親友という平均年齢20歳の4人組による、デビュー・フル・アルバムがいよいよ登場。王道のハード・ロックを基調に、ソウルやブルースといった音楽を、貫禄すら漂うテクニックで見事に咀嚼し、引き出しの多いギター、しなやかなグルーヴを生み出すベース&ドラムス、迫力のシャウトとソウルフルなハイトーン・ヴォーカルによる絶妙なバンド・アンサンブルから生み出される楽曲群は、言葉どおりの意味で“クラシック”なアンセムと成り得るクオリティを誇る。LED ZEPPELINが引き合いに出されることに本人たちもいい加減うんざりしているようだが、模倣ではない“本物”っぷりを証明してみせた1枚と言えるだろう。
井上 光一【ライター推薦】
COHEED AND CAMBRIA / 『The Unheavenly Creatures』
GENRE:ROCK, PROGRESSIVE ROCK
孤高のプログレッシヴ・エモ・ロック・バンド、COHEED AND CAMBRIA
Roadrunner Records移籍第1弾アルバムで壮大なSFストーリー新章開幕!
孤高のプログレッシヴ・エモ・ロック・バンド COHEED AND CAMBRIAが、ライフワークとも言えるSF作品“The Amory Wars”の世界にカムバック! 今作はRoadrunner Records移籍第1弾作でもあり(※日本ではRoadrunner Recordsよりアルバム『Year Of The Black Rainbow』をリリースしているが、ワールドワイドでは初)、彼らがこれまで7作にわたってコンセプト・アルバムとして描き続けてきた物語の世界観を引き継いだ作品となった。もちろんフロントマン Claudio Sanchez(Vo/Gt)の存在感たっぷりのハイトーン・ヴォーカルも健在。壮大なスペース・オペラにぴったりの伸び伸びとしたメロディが、少々難解なプログレッシヴ・パートもストーリーのアクセントにしてしまう。今後の展開にも期待が高まる1枚。
山本 真由【ライター推薦】
THE STORY SO FAR / 『Proper Dose』
GENRE:POP PUNK
日本でも知名度の高いポップ・パンク・バンド、THE STORY SO FAR
シンガロング必至のメロディ満載の最新作!
聴いているだけで、青春の日々が蘇るような、胸のすくような思いがするメロディと疾走感――ポップ・パンクってそういうものだろう、と考える人にはまさにドンピシャな1枚。すでに幾度かの来日公演も経験済み、ここ日本でも知名度の高い、USカリフォルニア産の5人組による待望の最新作だ。NEW FOUND GLORYの楽曲からその名を拝借したようなバンドであるというのは伊達ではない。力強くどこか繊細、切なさをも感じさせるシンガロング必至のメロディ満載の、アコースティックのバラード曲もしっかりと押さえている。アルバム全体を通して優等生すぎるきらいもなくはないが、中堅ならではの安定感は確かなものがあり、同系統のバンドではトップ・クラスのクオリティと言えるだろう。
井上 光一【ライター推薦】
ALKALINE TRIO / 『Is This Thing Cursed?』
GENRE:POP PUNK
シーンを支え続けてきたパンク・バンド ALKALINE TRIOが
いぶし銀の魅力あるニュー・アルバムを完成!
90年代からパンク・シーンを支え続けてきたバンドのひとつ、ALKALINE TRIO。王道で親しみやすいメロディに、力強いパンクらしさと疾走感も併せ持った彼らが、9作目となるニュー・アルバムをリリースした。近年は、BLINK-182のメンバーとしても活動しているMatt Skiba(Vo/Gt)だが、やはりBLINK-182のキャッチーさとはまた種類の違う、哀愁も含んだALKALINE TRIO節のメロディとDan Andriano(Ba/Vo)との渋みのあるハーモニーは聴いていてホッとする。エッジの効いたパンク・ソングだけでなく、カントリー調の楽曲や、エモーショナルなミドル・テンポの楽曲もバランスよく盛り込まれており、完成度の高い、いぶし銀の魅力ある作品となっている。
山本 真由【ライター推薦】
KID ROCK / 『Greatest Hits: You Never Saw Coming』
GENRE:ROCK, COUNTRY MUSIC, HIP HOP
“アメリカらしさ”を体現し続けるKID ROCK
多彩なアメリカン・ロックの粋が詰まったベスト盤!!
良くも悪くも、ある種の“アメリカらしさ”を体現し続ける男、KID ROCKのベスト盤が到着。累計アルバム・セールスは2,600万枚を超えるスーパー・スターながら、ここ日本における知名度は寂しい限りで、ラップ・メタル~ニューメタルが全盛期を迎えようとしていた90年代後半をよく知っている人であれば、彼の出世作『Devil Without A Cause』(1998年)のイメージが強く印象に残っているかもしれない。とはいえ彼の本質は、本作に収められた多彩なヒット曲を聴けばわかるように、ロック、カントリー、ブルース、ファンク、ヒップ・ホップなど多くの要素を独自のミクスチャー感覚で料理し、良質な楽曲に仕上げる手腕にある。懐の深いアメリカン・ロックの粋が詰まった好盤であり、入門編としても最適な1枚だ。
井上 光一【ライター推薦】
OTEP / 『Kult 45』
GENRE:NU METAL, ALTERNATIVE METAL, RAP METAL
紅一点フロント・ウーマン、Otep Shamaya率いるOTEP
女性としての怒りと共に現代アメリカに一撃を加えるニュー・アルバム!
強烈なカリスマ性を放つ紅一点のフロント・ウーマン Otep Shamaya(Vo)率いるOTEPの通算8枚目となる最新作。本作でも基本路線は変わることなく、現代アメリカの持つ病理、闇を抉り出し、女性としての強烈な怒りと共に、容赦なき一撃を加える1枚である。横ノリを重視するリフ主体のヘヴィ・グルーヴ、ラップ風のアジテートする歌唱とシャウトは、90年代後半から00年代前半への回帰と言えるサウンドであるし、RAGE AGAINST THE MACHINEの名曲「Wake Up」のカバーもできすぎなくらいではあるが、ある種の既視感の強さが、本作の評価が割れる要因にはなりそうだ。孤独な静寂に満ちたバラード曲「Be Brave」のように、アクセントになる歌モノの楽曲が、もう2、3曲あっても良かったかもしれない。
井上 光一【ライター推薦】
ZARDONIC / 『Become』
GENRE:DRUM & BASS, INDUSTRIAL ROCK
EDMとヘヴィ・ロックの垣根を取っ払う
ベネズエラのDJ/サウンド・クリエイター、ZARDONICの挑戦!
“LOUD PARK 16”にも出演したベネズエラのDJ/サウンド・クリエイター ZARDONICが、世界から注目を浴びた前作『Antihero』から2年半、ニュー・アルバム『Become』をリリース。今作も、ヘヴィで攻撃的なスタイルのドラムンベースを軸に、ヒップホップ、メタル、ハードコアなど様々なアプローチを盛り込んだアゲアゲ・サウンドを展開。さらに、今作ではTHE QEMISTSやCELLDWELLERといった、エレクトロニック・ロック・アーティストもフィーチャリング参加。フックの効いたZARDONICの世界観に、ロック・ファンでも聴きやすいキャッチーさも加わった、相性抜群のコラボレーションも聴きどころだ。EDMとヘヴィ・ロックの垣根を取っ払った彼の挑戦はネクスト・ステージに進んでいる。
山本 真由【ライター推薦】
NASHVILLE PUSSY / 『Pleased To Eat You』
GENRE:HARD ROCK, SOUTHERN ROCK
衝撃的なデビューから20年――NASHVILLE PUSSYが
純度120パーセントのハード・ロックンロールを極めた新作を投下!
あらゆる意味で衝撃的なデビュー作『Let Them Eat Pussy』(1998年)から早20年、アメリカはジョージア州アトランタの男女4人組による、容赦なくダーティで猥雑、誰かが決めた“正しさ”で検閲されることなどない、されようがない純度120パーセントのハード・ロックンロールを極めた、通算7枚目となるニュー・アルバムだ。MOTORHEADやAC/DCを燃料とし、サザン・ロック譲りの粘っこいリフ、ブルージーなスライド・ギター、ニューオリンズ風味なハモンド・オルガンの導入も味わい深く、NAZARETHやSteve Earleのカバー曲も堂々収録。うだつの上がらない日々や府抜けた気分を打破したければ、女傑 Ruyter Suys(Gt)による衰え知らずのロック魂が迸るギター・ソロを、限りなく爆音で浴びるべし。
井上 光一【ライター推薦】
BLACK PEAKS / 『All That Divides』
GENRE:PROGRESSIVE ROCK, POST HARDCORE
UKブライトン出身の4人組、BLACK PEAKS
変幻自在なツイン・ヴォーカルで存在感を放つ2ndアルバムをリリース!
2012年に結成され、同郷のARCHITECTSを始めとした大物バンドとのヨーロッパ・ツアー経験を持つUKブライトン出身の4人組 BLACK PEAKSが、“Rise Records”移籍作となる2ndアルバムをリリース。MASTODONを思わせる泥臭いプログレッシヴなリフとポスト・ハードコア・テイストのダイナミックなサウンドを基調とし、メロディアスで歌心溢れるクリーン・パートからエモーショナルなシャウトまで、ツイン・ヴォーカルで織り成す変幻自在な歌唱が強烈な存在感を放っている。浮遊感のあるアルペジオが幻想的な「Can't Sleep」、壮大に展開する「Across The Great Divide」~「Home」、荒れ狂うド迫力のビートが心地よい「Eternal Light」と、若手ながらすでに貫禄たっぷりの作風で、今後に期待したくなる1枚だ。
菅谷 透【ライター推薦】
THOU / 『Magus』
GENRE:DOOM METAL, POST METAL
ルイジアナ出身のスラッジ/ドゥーム・メタル・バンド、THOU
暴力的な強烈サウンドが鳴り響くフル・アルバム完成!
前作アルバム『Heathen』が海外メディアから高い評価を受けたルイジアナ出身のスラッジ/ドゥーム・メタル・バンド、THOU。『Heathen』のリリース後には盟友 THE BODYとの共同制作アルバムや、それぞれ作風の異なるEP 3部作を発表した彼らが、満を持してフル・アルバム『Magus』をリリースした。どす黒く重々しいリフにBryan Funck(Vo)の狂気を孕んだような叫びが乗った暴力的なサウンドはまさに強烈で、おまけに10分前後の曲がずらりと並んでおり、初めは取っ付きづらさを感じる向きもあるかもしれないが、重轟音の中で鳴り響くアルペジオはひたすらに美しく、時折挟まれるショート・トラックも作品の芸術性を高めることに貢献している。ラスト・トラック「Supremacy」を聴き終われば、心地よい満足感に包まれるだろう。
菅谷 透【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2018年10月23日 09:36