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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.11

キャノンボール・アダレイ『サムシン・エルス』(1958)

CA

キャノンボール・アダレイ(as)
マイルス・デイヴィス(tp)
ハンク・ジョーンズ(p)
サム・ジョーンズ(b)
アート・ブレイキー(ds)

1958年3月9日録音

曲目:
1.枯葉
2.ラヴ・フォー・セール
3.サムシン・エルス
4.ワン・フォー・ダディー・オー
5.ダンシング・イン・ザ・ダーク

【アルバム紹介】
1.キャノンボール・アダレイ名義のアルバム、しかし実質的なリーダーは・・・
2.ジャズ史に残る大名演“枯葉”
3.アルバム・タイトルの意味は?

ドラムスのアート・ブレイキーは自身が率いるザ・ジャズメッセンジャーズの代表作『モーニン』をレコーディングする7ヵ月前、同じスタジオでザ・ジャズメッセンジャーズの面々とは全く違うメンバーといっしょにいました。アルト・サックスのキャノンボール・アダレイらとのセッションでした。その時のレコーディングはこの『サムシン・エルス』というアルバムになりました。

“チャーリー・パーカーの再来“とも呼ばれ、並みならぬアルト・サックスの才能を発揮したキャノンボール・アダレイ。ブルーノート・レーベルでの代表作が本作であり、トランペットにはマイルス・デイヴィスが参加していることでも有名な一作です。この頃、キャノンボールはマイルスのバンドのメンバーでもありました。

このアルバム、名義上はキャノンボール・アダレイとなっておりますが、実質的なリーダーはマイルス・デイヴィスであることはジャズ・ファンの間ではお馴染み。この当時、マイルスはすでに米コロムビアと契約してしまった後で、ブルーノートで自分の名を冠したリーダー・アルバムはリリースできなかったのです。そこでキャノンボールをリーダーにして本作をレコーディングしたという訳です。一方で、ブルーノート・レーベルのオーナーであるアルフレッド・ライオンが、数年前に麻薬中毒でレコーディングが思うように行かなくて苦しんでいたマイルスを助けたという恩義を返す目的があったとも伝えられております。

音楽的なディレクションを握っていたのはマイルス・デイヴィス、それにより生まれた名演が1曲目の“枯葉”です。シャンソンの名曲として名高い曲ですが、それを実に見事なアレンジによって世に送り出しました。このピアノとベースによる低音の独特のラインで始まり、徐々にホーンが加わりつつ、落ち着いたところで小ブレイク、そこから静かに、そして渋く、ミュート・トランペットでテーマを吹き始めるマイルス。一瞬にして空気が変わる凄さを味わえます。

またピアノにはハンク・ジョーンズ、ベースにはサム・ジョーンズという名手ぞろいなところも功を奏し、“ラヴ・フォー・セール”、“ダンシング・イン・ザ・ダーク”といったスタンダード曲から、マイルスのオリジナルでタイトル曲“サムシン・エルス”、キャノンボールの弟のナット・アダレイとサム・ジョーンズの共作のブルース“ワン・フォー・ダディー・オー”まで、粋な演奏で聴かせてくれます。

このアルバムのタイトルである“サムシン・エルス”の意味とは?
直訳すると“何か他のもの”ですが、このアルバムの素晴らしさゆえ“何か特別なもの”といった解釈がなされています。カッコイイ英語表現の一例です。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
“枯葉“ともう1曲、“ラヴ・フォー・セール”。

本アルバムの“枯葉”は先述の通り、同曲の決定的な名演のひとつでそれは誰もが認めるところですが、スタンダード曲の“ラヴ・フォー・セール”も数ある演奏の中で極め付けの名演といえるものです。
この曲は多くのスタンダード・ソングを書いたことで知られているコール・ポーターによるナンバーで、女性シンガーが多く歌っている1曲です。
この録音の約2ヵ月半後、マイルスはキャノンボールと米コロムビアのスタジオでこの曲を録音しており、そのテイクはアルバム『1958マイルス』で聴くことができます。
メンバーは傑作『カインド・オブ・ブルー』と同じ、マイルス、キャノンボールに加え、テナー・サックスにジョン・コルトレーン、ピアノにビル・エヴァンス、ベースにポール・チェンバース、ドラムスにジミー・コブという顔ぶれで、12分近くに渡る熱演を繰り広げています。マイルスはここでもミュート・トランペットのプレイを存分に披露していますので、聴き比べてみるのも面白いでしょう。

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2019年01月25日 10:00