〈タワーレコードが平成ミュージックムーヴメントから振り返る10枚+α〉ボーカロイド編
ボーカロイドとは…
2007年に誕生し、単なるボーカロイドツールから、今では「キャラクター」として世界中で認知される存在となった初音ミク。そして、「メルト」という衝撃的な楽曲の登場を機に、様々なユーザーがオリジナル曲を投稿し、次第に楽曲だけではなく、一つの映像作品として、イラストレーターや映像作家と組んで動画を作成する時代へと変貌を遂げていきました。昨今では、コンポーザーが自身でセルフカヴァーした楽曲を発表し、シンガーソングライターとして作品をリリースするなど、ネット上だけに留まらず、徐々にサブカルチャーからメインカルチャーへと浸透しつつあります。様々な時代を経て、ネットで生まれた「ボーカロイド」という一つの音楽文化は、色褪せることなく、今もなお変化し続けています。
●バイヤー厳選!平成ボカロを振り返る10曲
黒うさP/初音ミク『千本桜』
ボカロシーンの中から生まれた数々の楽曲の中でも、今や世代や国境を越え人気を博している楽曲。「和」を意識した様々な要素が散りばめられており、日本人に馴染みやすく、和楽器バンドや小林幸子が歌うなどして、一般的にも認知されていきました。
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ハチ/GUMI『マトリョシカ』
2017年にニコニコ動画において1000万再生を突破し、全ボカロ曲の中で通算4曲目のVOCALOID神話入りを達成しました。楽曲・PV共に自身が制作。米津玄師名義のライブでも、生バンドでセルフカバーとして演奏しています。
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ryo(supercell)/初音ミク『メルト』
ボカロの歴史を築いたともいえる伝説的楽曲。プロデューサーのryoは、2007年~2008年のボカロ黎明期と称される時代に活躍し、ボーカロイドの人気の礎を築きました。後にsupercell結成のきっかけにもなった曲です。
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じん(自然の敵P)/初音ミク『カゲロウデイズ』
2011年にネット投稿され、爆発的な人気を得た楽曲。歌詞には物語が描かれており、じんによるマルチメディアプロジェクト「カゲロウプロジェクト」の発端となった楽曲で、この曲を軸に壮大なスケールのプロジェクトが構成されていきました。
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DECO*27/GUMI『モザイクロール』
DECO*27の代表曲と言える楽曲。投稿当時、週間VOCALOIDランキングでGUMIオリジナルとして初めて1位を獲得し、ニコニコ動画においてGUMI人気の火付け役となりました。2018年には1000万再生を達成し、神話入りを果たしました。
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Neru/鏡音リン『ロストワンの号哭』
2010年代のボカロシーンで、欠かせない一曲。「号哭」とは、大声をあげて泣き叫ぶこと。歌詞では、まさに心の中で泣き叫び、葛藤に苦しむアダルトチルドレンの様が表されています。サビでの高音や特徴的なリズムの良さからも人気が高い楽曲です。
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wowaka(現実逃避P)/初音ミク『ローリンガール』
イントロのピアノに心掴まれるwowakaの9作目。投稿から2日と5時間27分という驚異的な速度で殿堂入りを達成しました。歌詞には、ロンリーガールの孤独と、転がるような人生の中で傷つきながらも、必死に生きようとする様が描かれています。
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バルーン/flower『シャルル』
須田景凪としても活動する、バルーンの代表曲。その爆発的なヒットはとどまることなく、再生回数1000万突破、カラオケでも常に上位をキープしている人気曲。1stアルバム「Corridor」には、本人によるセルフカヴァーも収録されています。
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ika_mo/初音ミク『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』
2007年に投稿された、初音ミクの代表曲。ボーカロイドが一般的に無名だった時代に、人気・知名度の向上に大きく貢献し、キャラクターとしての初音ミクの人気に火をつけた楽曲でもあります。
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ハチ/初音ミク『砂の惑星』
初音ミク10年の節目となる2017年。マジカルミライ2017のテーマソングとして、ハチ名義としては約3年9ヵ月ぶりにボカロオリジナル曲として発表。動画公開から約5時間半という驚異のスピードで殿堂入りを記録。ボカロへの愛が詰まった一曲です。
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●平成~令和へその音楽の系譜を受け継ぐアーティストをピックアップ
春野/初音ミク『深昏睡』
2017年に投稿開始。以前は歌い手をしていた経歴があり、セルフカヴァーも発表しています。フォークトロニカ等に影響を受け、ゆったりとしたエレクトロ・サウンドを特徴とした、チルアウトな楽曲群。すでに舞台や映像作品の劇伴などでも活躍中の期待の新人です!
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タグ : 平成の一枚
掲載: 2019年05月15日 10:00