坂入&ユヴェントスの“運命”がついにディスク化!石上真由子を迎えた“ツィガーヌ”も必聴!
坂入&ユヴェントスの『運命』ついにディスク化!
注目ソリストを迎えたラヴェルも必聴。
東京ユヴェントス・フィルハーモニー第18回定期演奏会のライヴ録音です。同オーケストラが度々演奏会を開き、準本拠地となった感もある第一生命ホールで、以下のプログラムにより2019年3月10日(日)14:00に開演されました。当日、筆者は1階前列で聴きました。
<プログラム>
ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 Op.93
ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲(※)
ラヴェル:ツィガーヌ(※)
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67「運命」
ヴァイオリン:石上真由子(※)
演奏:東京ユヴェントス・フィルハーモニー
指揮:坂入 健司郎
このCDにはプログラムの後半2曲のみが収録されていますが、前半のベートーヴェンの第8、ストラヴィンスキーの協奏曲も素晴らしい演奏でした。ベートーヴェンの第8は、ある高名な音楽評論家の方が、休憩中に「第1楽章はまるでクナッパーツブッシュみたいだったね」と語ったほど、スケール雄大で力のこもった、モダン楽器による大演奏でした。そして石上真由子をわざわざ京都から招いたストラヴィンスキーの協奏曲は、この作品の価値を見直させるほどの名解釈、名演奏に唸らされました。この曲を弾くために彼女はロシアのデザイナー、ゴンチャローワ風の原色的なコスチュームで現れ、鋭い技巧とスピード感あふれるフレージングで、この作品のバレエ・リュス風の愉しさを徹底的に追究していました。今回のCDに入らなかった理由は良くわかりませんが、解釈は素晴らしいので、近い将来、演奏者が納得する形でのCD化か、再録音をしてほしいと思います。
ラヴェルのツィガーヌは、石上真由子の看板レパートリーの一つで、坂入健司郎はYouTubeで彼女が弾くツィガーヌを見て、共演を申し込んだと語っています。こんなにシャープで、スリリングで、色彩的なツィガーヌは滅多に耳にし得ないものと言えるでしょう。ベートーヴェンの「運命」は先で触れた「第8」と同様、力強いエネルギーに貫かれた演奏。冒頭から全メンバーが強く集中して、前に前に突き進んでゆきますが、第2楽章では絶妙な緊張の緩和があり、楽章後半になって音楽が豊かな味わいを加えてゆくところなど、指揮者とオーケストラの素晴らしい音楽性を実感させられました。第3楽章で再び音楽は緊張、凝縮へと向かい、終楽章へのブリッジパッセージが入念に描かれた後の素晴らしい響きの拡がり、解放感は、まさにこの作品を聴く醍醐味を示したものでした。コーダにはアッと驚く解釈がありましたが、これはCDをお聴きになってからのお楽しみとしておきましょう。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
2008年に慶應義塾の高校生・大学生を中心として結成されたオーケストラ「東京ユヴェントス・フィルハーモニー」。今では慶応出身者以外の社会人などもメンバーに名を連ね、年齢層も幅広く、演奏会のたびに充実した音楽を聴かせる名団体として広く知られています。2018年に創立10周年記念として行われた『千人の交響曲』の演奏会は大変な話題になりました(ALTL-012として発売中)。
今回のアルバムには2019年3月のライヴを収録。まずは新進気鋭のヴァイオリニスト石上真由子を迎えた『ツィガーヌ』。「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2019」でも同曲を共演し名演を聴かせており、改めてCDで聴けるのが嬉しい1曲。そしてカップリングは新たな時代を歩み出したユヴェントス・フィル渾身の『運命』!王道の名曲から目の醒めるような演奏を繰り出してくれます。いずれも名匠・坂入健司郎氏の力強い指揮ぶりに注目です。
(キングインターナショナル)
【曲目】
(1)ラヴェル:ツィガーヌ
(2)ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調『運命』 Op.67
【演奏】
石上真由子((1)ヴァイオリン)
坂入健司郎(指揮)
東京ユヴェントス・フィルハーモニー
【録音】
2019年3月10日/第一生命ホール(ライヴ)
<坂入健司郎>
1988年5月12日生まれ、神奈川県川崎市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。これまで指揮法を井上道義、小林研一郎、三河正典、山本七雄各氏に、チェロを望月直哉氏に師事。また、モスクワ放送響音楽総監督ウラディーミル・フェドセーエフ氏、元アルメニア国立放送交響楽団音楽監督井上喜惟氏と親交が深く、指揮のアドバイスを受け、アシスタントを務めている。
13歳ではじめて指揮台に立ち、2007年3月東京芸術劇場で行なわれたチャイコフスキーの『交響曲第4番』をメインとした演奏会で成功を収め、音楽現代2007年5月号において「クライマックスを作るのが実に上手く、白熱した名演となり未来の巨匠ぶりを存分に発揮していた。」と絶賛される。
2008年より東京ユヴェントス・フィルハーモニーを結成、現在まで音楽監督を務める。これまで、イェルク・デームス氏、ジェラール・プーレ氏、舘野泉氏など世界的なソリストとの共演や、数多くの日本初演・世界初演の指揮を手がける。
2015年1月、ミューザ川崎でマーラーの交響曲第2番『復活』を指揮した演奏会で好評を博したことを機に、同年3月に指揮者として初めて「かわさき産業親善大使」に就任。5月には、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭に出演を果たし、MOSTLY CLASSIC誌2015年8月号の特集「注目の気鋭指揮者」にも推挙された。
2016年、新鋭のプロフェッショナルオーケストラ、川崎室内管弦楽団を結成。音楽監督に就任。その活動は、2016年12月朝日新聞紙「旬」にて紹介された。その後、湯山玲子氏主宰「サロン・ド・爆クラ!」にて、シェーンベルク「月に憑かれたピエロ」の連続上演を企画・指揮、2018年には東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団に初客演しオルフ「カルミナ・ブラーナ」を指揮、成功を収めた。その他にもマレーシア国立芸術文化遺産大学に客演し、新作を世界初演するなど海外での指揮活動も行なっている。
<石上真由子>
5歳からヴァイオリンを始め、8歳の時にローマ国際音楽祭に招待される。高校2年生で第77回日本音楽コンクール第2位、併せて聴衆賞及びE・ナカミチ賞受賞。第7回ルーマニア国際音楽コンクール弦楽部門第1位、全部門最優秀賞及びコンチェルトデビュー賞受賞。第5回宗次エンジェルヴァイオリンコンクール第4位受賞。第14回チェコ音楽コンクールヴァイオリン部門第1位受賞。2017年9月バルトークコンクールにて特別賞受賞。NHKFM名曲リサイタルやリサイタル・ノヴァに出演。NHKテレビではドキュメンタリーや大阪フィルハーモニー交響楽団との共演も放送された。
東京交響楽団、京都市交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、ブラショフ国立交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京ニューシティ管弦楽団、セントラル愛知交響楽団など、国内外で多数のオーケストラと共演。ヨーロッパ各地でも演奏会に出演。ソロ活動と共に長岡京室内アンサンブル、アンサンブル九条山のメンバーとしても活躍している。森悠子氏らに師事。
(キングインターナショナル)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2019年08月07日 00:00