レ・パシオン・ド・ラーム~『ヴァラエティ ~ ビーバー、フックス、シュメルツァーのヴァイオリン作品による変奏の芸術』
切れ味のある斬新なリズム的解釈によるオーストリア・バロックの弦楽器の清華。スイス・ベルン発の気鋭のピリオド楽器アンサンブルによるDHMへのセカンド・アルバム。
このアルバムは、オーストリアのバロック作曲家である、ビーバー、フックス、シュメルツァーの3人の弦楽器のための作品を集めたものです。
特に「パルティータ」(このアルバム内では、パルテ、パルティアとも)という形式にこだわっています。
J.S.バッハ以降の18世紀ドイツにおいて、「共通の主題やモチーフないしは情緒によって、統一性をもって構成された組曲」という意味ですが、ここに収録された作曲家が活躍した17世紀では「変奏曲」の意味でした。
ヴァイオリンを中心とする弦楽器の鮮やかな技巧、スコルダトゥーラ(変則調弦あるいは特殊調弦)による響きの面白さ、作品に付された表題的な要素、打楽器の効果など、多彩な名技性が発揮された音楽が集められています。
「レ・パシオン・ド・ラーム」は、4年間の入念な準備期間を経て、高度なピリオド楽器演奏と歴史的知識を持ったヨーロッパの奏者によってベルンで結成されたアンサンブル。楽団名の意味は、1649年に哲学者ルネ・デカルトによって執筆された著作物「情念論」から取られました。リーダーは、ベルン生まれでヨーロッパ各地の古楽音楽祭に出演し高い評価を得ているバロック・ヴァイオリニスト、メレット・リューティ。メンバーには、フライブルク・バロックオーケストラのメンバー、アントワープ音楽院教授、ベルン芸術大学の教授なども含まれています。このアンサンブルの鮮烈な演奏はたちまち話題となり、このアルバムでも、どれもがヴァイオリンの妙技による楽しい作品が盛り込まれ、華やかに演奏されています。
なお、このアルバムに2曲が含まれているビーバーの『技巧的で楽しい合奏音楽』からのパルティアは、彼らのファースト・アルバムである「SPICY」にも含まれており、来年以降に発売される次作でも取り上げられ、この曲集の全曲の録音が完結することになります。
(ソニーミュージック)
『ヴァラエティ ~ ビーバー、フックス、シュメルツァーのヴァイオリン作品による変奏の芸術』
【曲目】
1. ビーバー:『宗教的・世俗的弦楽曲集』より「ソナタ第3番」
2-11. ビーバー:『技巧的で楽しい合奏音楽』より「パルティア第1番 ニ短調」
12-13. ビーバー:『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第5番 ハ短調』より「パルテI&II」
14. フックス:7声のロンドー
15. ビーバー:『宗教的・世俗的弦楽曲集』より「ソナタ第1番」
16. シュメルツァー:『1つの弦楽器のためのソナタ集』より「ソナタ第3番 ト短調」
17-21. ビーバー:『技巧的で楽しい合奏音楽』より「パルティア第5番 変ホ長調」
【演奏】
レ・パシオン・ド・ラーム(ピリオド楽器アンサンブル)
【録音】
2018年11月6-8日、オーストリア、フォアアールベルク州、ザンクト・ゲロルト修道院
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2019年08月16日 00:00