Boris Vian(ボリス・ヴィアン)"作曲家"としての作品を集めた編集盤『Chansons 1952-1962』
ボリス・ヴィアン。抽象的かつシュルレアリスムな文体はフランス語以外の言語では正確に意味を掴み切れないと言われる程難解でありながら、随所に見られる瑞々しさによって読み手を衝動的に揺さぶっていく作家で、未だに文学界を牽制し続けるフレッシュな存在でい続けています。39 歳にて夭折したボリス・ヴィアンですが、同時代のアメリカの路上にいたビート詩人たち( バロウズ、ケルアック、ギンズバーグ) と同様にジャズからの影響を多大に受けており、実際にトランペッターや歌手としても活動、さらには優れた作曲家としての面も併せ持っていた多才な人でもありました。彼の残した曲は500 曲以上(!!)と言われており、そのいずれにも文章の世界と同様の儚さと美しさが宿っています。
存在自体は割と知られているものの、その数の多さと希少性からなかなかアーカイブされることがなかった彼の作曲集ですが、ここに来て決定版が登場しました!ボリス・ヴィアン自身はもちろんのことアンリ・サルヴァドールなど他の名歌手によるバージョンまで網羅、1945 年から1962 年の期間に残されているヴィアン関係楽曲をまるっとカバーしているボックスセット、CD にして10 枚組という大ボリュームです!これを普通にアーカイブしようとしたら何年かかるか&いくらかかるのかという状況であるだけに、これは大変素晴らしい朗報!
フランスのシャンソン歌手であるジョルジュ・ブラッサンスはこう語っています───「ボリス・ヴィアンは新しい世界と歌を発見する為に生き急いだ孤独な冒険者のひとりだった。彼の歌がなければ私たちは何かを逃してしまうことになる。そこには芸術作品の興味と機会である、かけがえのなく他に例えようもないものが含まれている。ヴィアンの音楽を嫌いなひともいると聞くが、それはむしろ彼らにとって良いことだ!犬が自らのしっぽを必要とするのと同じように、彼らがボリス・ヴィアンの音楽を必要とする瞬間も必ずやってくるのだから」
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掲載: 2020年01月14日 13:14