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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.74

ミリー・ヴァーノン『イントロデューシング』(1956)

MV

ミリー・ヴァーノン(vo)
ルビー・ブラフ(tp)
ジミー・レイニー(g)
デイヴ・マッケンナ(p)
ワイアット・ルーサー(b)
ジョー・ジョーンズ(ds)

1956年2月、ニューヨークにて録音

曲目:
01.ウィープ・フォー・ザ・ボーイ
02.モーメンツ・ライク・ジス
03.スプリング・イズ・ヒア
04.セント・ジェームス病院
05.マイ・シップ
06.今年のキッス
07.ムーン・レイ
08.エヴリシング・バット・ユー
09.エヴリ・タイム
10.ブルー・レイン
11.アイ・ドント・ノウ・ホワット・カインド・オブ・ブルース・アイヴ・ガット
12.アイ・ゲス・アイル・ハヴ・トゥ・ハング・マイ・ティアーズ・アウト・トゥ・ドライ

【アルバム紹介】
1."向田邦子の愛したジャズ名盤"として知られる幻の女性シンガーの傑作
2.オリジナル盤はいまだに中古市場では高値のレア盤
3.スモーキーな声質、温もりのある低域が特徴

“向田邦子の愛したジャズ名盤”として知られる女性シンガー、ミリー・ヴァーノンの傑作です。
前回の秋吉敏子のアルバムをリリースした、ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルの創設者ジョージ・ウェインのレーベル、ストリーヴィルは、ボストンで同名のナイトクラブの経営と並行して、1953年に創設されたジャズ・レーベル。本作はここから発売されたアルバム中、もっともレアな1枚です。

ミリー・ヴァーノンはその経歴があまり知られていない女性シンガーで、この時は26歳でした。
レコーディングしたアルバム数も非常に少ないため、本作のオリジナル盤はいまだに中古市場では高値の逸品です。

スモーキーな声質で、ビリー・ホリデイ・ライクなところもありながら、温もりのある低域が特徴ゆえ、とてもムーディな雰囲気を醸し出し、スモール・コンボをバックに、バラード調のスタンダード・ナンバーを中心にしっとりと歌い上げたヴォーカル・アルバムといえます。

参加メンバーもギターのジミー・レイニー、ドラムスのジョー・ジョーンズ、トランペットのルビー・ブラフら名プレイヤーが味のあるプレイで彼女のヴォーカルを引き立てます。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
向田邦子さんもよく聴いた“スプリング・イズ・ヒア”。

先述の通り、ドラマの脚本家であり、エッセイストの向田邦子さんが愛聴したジャズ名盤と言われている本作ですが、彼女のエッセイの中で「水羊羹を食べる時の音楽」としてこの曲名を挙げています。
もともとはミュージカル・ソング、作詞がロレンツ・ハート、作曲はリチャード・ロジャースのコンビによるもので、彼らは“マイ・ファニー・ヴァレンタイン”、“ブルー・ムーン”、“ミス・ジョーンズに会ったかい”など他にも数々の有名なジャズ・スタンダード曲を世に送り出しています。
ここでの“スプリング・イズ・ヒア”は導入のバース部分はジミー・レイニーのギター・ソロの伴奏で静かに歌いだされ、やがてバックの演奏とともに、ロマンティックなメロディをミリ―・ヴァーノンがゆったりと、温もりのある歌声で聴かせます。
春の陽気の中で目を閉じて聴いてみると、心の中まで新緑があふれてきそうな、そんな名唱です。

国内盤(一般普及盤)

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2020年04月24日 10:00