WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.187
ソニー・スティット『ペン・オブ・クインシー』(1956)
ソニー・スティット(as)
サド・ジョーンズ(tp)、ジョー・ニューマン(tp)、ジミー・クリーヴランド(tb)on tracks 3, 5 & 6
ジミー・ノッティンガム(tp)、アーニー・ロイヤル(tp)、J.J.ジョンソン(tb)on Tracks 1, 2, 4 & 8
アンソニー・オルテガ(fl,as)、セルダン・パウエル(ts)、セシル・ペイン(bs)on Tracks 1-6 & 8
ハンク・ジョーンズ(p)
フレディ・グリーン(g)
オスカー・ペティフォード(b)
ジョー・ジョーンズ(ds)
クインシー・ジョーンズ(arr)
1955年9月30日、10月9日ニューヨークにて録音
曲目(オリジナルLP時):
01.マイ・ファニー・ヴァレンタイン
02.ソニーズ・バニー
03.降っても晴れても
04.ラヴ・ウォークト・イン
05.イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ
06.クインス
07.スターダスト
08.ラヴァー
【アルバム紹介】
1.パーカーと同時代、同系列のアルト・サックス・レジェンド、ソニー・スティット
2.クインシー・ジョーンズのアレンジによる豪華メンバーのラージ・アンサンブルがバック
3.スティットのオリジナル2曲、有名スタンダード6曲で構成
今回紹介するソニー・スティットは、これまでご紹介してきたアルト・サックス奏者同様、チャーリー・パーカーのスタイルを継承しているとはいえ、年齢的には4歳ほどの差でしかなく、ほぼ同時代にビバップを演奏していた同系列のサックス・プレイヤーといっても良い存在です。またスティットはテナー・サックスにも長けていた部分はその偉大さを語る上で重要なポイントになっています。
本作ではアルト・サックス一本でのレコーディングに臨んでいますが、バックにはクインシー・ジョーンズのアレンジによるマックス10人編成のラージ・アンサンブルがついたゴージャスなサウンドが特徴になっています。
メンバーの顔ぶれはトランペットのサド・ジョーンズ、トロンボーンのJ・J・ジョンソンら、名手揃いで、リズム・セクションもピアノのハンク・ジョーンズ、リズム・ギターのフレディ・グリーン他、選り抜きのメンバーが顔を揃えています。
取り上げている楽曲は2曲目“ソニーズ・バニー”、6曲目“クインス”がソニー・スティットのオリジナルである以外はすべて有名スタンダードのナンバーで彩られています。バラード・ナンバーとして演奏されることの多いスタンダード楽曲が占めていますが、そこはクインシー・ジョーンズによるスティットのアルトを活かした巧みなアレンジにより、魅力的に生まれ変わっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ソニー・スティット節100%な“イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ”。
7曲めのバラード“スターダスト”も名演ですが、こちらはリズム・セクションとのスモール・コンボ編成での演奏になっていますので、クインシーのラージ・アンサンブルをバックにしたソニー・スティット節を堪能するには5曲目の“イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ”での演奏がお薦めです。
この曲はすぐれた作編曲家であったタッド・ダメロンが書いた代表曲で、40年代のサラ・ヴォーンの歌唱が初演、以後チェット・ベイカーやビル・エヴァンス等数々の名演が残っている名曲になります。
ハンク・ジョーンズのロマンティックなピアノによる導入部に続き、ソニー・スティットが堂々たるブロウでテーマ・メロディーを奏でてゆきますが、所々に入るオブリガートが絶品です。そのバックをホーン・アンサンブルがどこまでも続く地平線のごとく広がります。そしてソロが始まるとまるで歌詞がついて歌っているかのような流暢なアルト・サックスのフレージングは脱帽ものです。ソニー・スティットの底知れぬビバッパーとしての力量を知ることができます。
2022年はソニー・スティット没後40年になります。その最晩年1982年は病気を押しての日本ツアーが組まれましたが、途中で容体悪化のため急遽帰国、その3日後に亡くなる、という最期は多くのジャズ・ファンの涙をさそいました。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年07月15日 10:00