WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.79
ジューン・クリスティ『サムシング・クール』(1955)
ジューン・クリスティ(vo)
ピート・ルゴロ楽団
1953~55年録音
曲目:
01.サムシング・クール
02.イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー
03.ロンリー・ハウス
04.今こそ夢のかなう時
05.ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ
06.ミッドナイト・サン
07.アイル・テイク・ロマンス
08.ア・ストレンジャー・コールド・ザ・ブルース
09.アイ・シュッド・ケア
10.朝日のようにさわやかに
11.アイム・スリルド
【アルバム紹介】
1.シルキーでクールなヴォーカルが魅力、ジューン・クリスティの大ヒット作
2.オリジナルのモノラル盤、再レコーディングのステレオ盤あり
3.バックのピート・ルゴロ楽団はウェスト・コースト・ジャズの名手揃い
前回ご紹介しました女性ジャズ・シンガーのアニタ・オデイはシカゴ育ちの生い立ちでしたが、シカゴから南下してゆくと、セントルイスに近づいたところにある大きな街がスプリングフィールドでイリノイ州の州都にあたります。
その地で生まれ、後にシカゴに出てジャズ・シンガーとして本格的に活動を始めたのがジューン・クリスティです。
スタン・ケントン楽団の専属歌手だったアニタ・オデイが楽団から独立後、オーディションを受けて次のシンガーとなったのが彼女でした。
本作はジューン・クリスティの名を一躍有名にした大ヒット作で、持ち味のシルキーでクールなヴォーカルの魅力がいっぱいつまった、全11曲のスタンダード集です。
このアルバムは、元々はオリジナル盤は7曲入りの10インチ盤としてリリースされ、その後、4曲を加えて11曲の12インチのモノラル盤で再発され、さらに1960年にはステレオ録音で再レコーディングされてリリースされています。モノ盤、ステレオ盤ともジャケット・ザインは似せていますが、前者はジューン・クリスティが瞼を閉じていて、後者は開いているということで区別できます(輸入盤CDはモノ盤とステレオ盤を1CDに収録)。
バックは、この後、1960年代初頭までジューン・クリスティのアルバムでアレンジを手掛けることになるピート・ルゴロが担当し、参加ミュージシャンはウェスト・コースト・ジャズの名手が揃っており、彼女の夫であるテナー・サックスのボブ・クーパー、アルト・サックスのバド・シャンク、トランペットのショーティ・ロジャース、ドラマーのシェリー・マンらが名を連ねています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
表情豊かで、クールなヴォーカルが味わえるタイトル曲“サムシング・クール”。
ピート・ルゴロのドリーミーなアレンジのイントロが聴こえてきたと思ったら、すぐ「サムシング・クール」と歌い始めるジューン・クリスティ。その滑らかでクールに響く歌声に一気に引き込まれてしまいます。
アルバム1曲目を飾るこのバラード・ソングは、ジューン・クリスティの魅惑のクール・ヴォイスとここに収録された全曲の持つ雰囲気を集約した1曲になっています。
穏やかな気候のある夜の日、心身ともにリラックスしながら聴きたい女性ジャズ・ヴォーカルです。
SHM-CD国内盤(一般普及盤)
輸入盤CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2020年05月29日 10:00