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Blackfield(ブラックフィールド)|アヴィヴ・ゲフィンとスティーヴン・ウィルソンによるアート・ロック・プロジェクト約3年振りとなる最新作『For The Music』

Blackfield(ブラックフィールド)『For The Music』

イスラエルを代表するロック・アーティスト、アヴィヴ・ゲフィンと、ポーキュパイン・トゥリーの中心人物であり現代プログ・ロック・シーンにおける最重要人物としても知られる、英国が誇るアイコン、スティーヴン・ウィルソン。この二人がタッグを組み、長尺なプログ・ロックではなく3分台のポップ・フォーマットの中で自由のその音楽的創造性を羽ばたかせる、現代のアート・ロック・プロジェクトが、このブラックフィールドだ。

2000年、もともとポーキュパイン・トゥリーのファンだったというアヴィヴが彼らをイスラエルに呼びショウを開催したことがきっかけとなり、スティーヴン・ウィルソンと交流を深めながら始動させたこのブラックフィールド。ポーキュパイン・トゥリーとしての活動の他、ソロ・アーティストとしても活動し、イエスやキング・クリムゾンといった歴史的名盤の最新ミックスを任されるなど、現代プログ・ロック・シーン最大のアイコンともいえるスティーヴンが、3分台というトラディショナルなポップ・ソング・フォーマットが持つ可能性を押し広げ、そこにアヴィヴの持つのロック/ポップ・スタイルを融合させながら、肉感的かつ温かみのあるメランコリックなサウンドを創り上げる、まさにアート・ロックを現代に蘇らせるかのような存在感を持つプロジェクトだ。

2004年にアルバム『BLACKFIELD』でその姿を明らかにした彼らは、現在までに5枚のアルバムを発表、結成当初はアヴィヴとスティーヴンの二人ががっつりとタッグを組み、二人の才能が生み出す豊かな創造性をサウンドに乗せてきたのだが、2009年以降はアヴィヴ・ゲフィンがメイン・パーソンとなり、アヴィヴが持つ「陽」の要素を大きく打ち出した作品をリリースしてきた。2017年発表の前作『BLACKFIELD V』ではアラン・パーソンズをプロデュースに迎え、スティーヴン色を再び持ち込んだサウンドを提示してくれた彼らが、『OPEN MIND』というベスト・アルバム(2018年発表)を間に挟み、いよいよ通算6作目となるスタジオ・アルバム『FOR THE MUSIC』をここに完成させた!

今作『FOR THE MUSIC』ではアヴィヴがソングライティングやプロダクション、リード・ヴォーカルやギター、キーボードなどを担当し、クリエイティヴなコントロールを担う形をとっているが、スティーヴンもそのクリエイティヴなプロセスにおいて様々な要素をサウンドに持ち込み、3曲でヴォーカルを担当するなど、大きくこの作品に関わっている。

サイケデリックなサウンドと完璧なポップ・センスとを融合させながら、シリアスで、時にダークな感覚を内に秘めた楽曲全10曲を収録したこの『FOR THE MUSIC』は、このブラックフィールドというアート・ロック・プロジェクトにとってより大胆で、より広がりを持つアルバムだと言えるだろう。現在公開されている「Summer's Gone」と「Under My Skin」を聴けば、壮大なシンセの響きとどこか哀愁を感じさせながらも美麗なメロディとが融合する、3分台というコンパクトな曲構成とヴァース/コーラスという典型的なポップ・ソング・フォーマットを持ちながらも、決して一筋縄ではいかない独自な空間をうみだす彼らの精巧なソングライティング/サウンド・クラフトの水準の高さをまざまざと感じ取ることが出来るだろう。

『FOR THE MUSIC』、サイケデリックな肌触りと明るさとセピア色の色彩を併せ持つメロディ・ライン、そして見事に組み立てられた一つ一つの音が融合しながら広がりをうみだしていく、コンパクトでありながら壮大なこのアルバムは、まさにポップ・フォーマットの持つ「可能性」を最大限に押し広げた見事なアルバムなのだ。


輸入盤CD


輸入盤LP


【収録曲】
01. For the Music
02. After All
03. Garden of Sin
04. Under My Skin
05. Over & Over
06. Falling
07. White Nights
08. Summer's Gone
09. It's so Hard

タグ : プログレッシブロック (Progressive Rock)

掲載: 2020年11月10日 17:36